体罰の根っこについて考える
~上下関係から信頼関係へ~

長谷川 満 はせがわみつる

家庭教師システム学院 代表
ペアレントセミナー 主宰

想定する対象者

現場で多感な年代の子ども達と向き合う教職員の方々。家庭で子どもと向き合う保護者の皆さん。
いま問題となっているのは、体罰問題だけではなく、学校教育、家庭教育における「子どもと大人のコミュニケーションのあり方」こそが、向き合うべき課題なのではないでしょうか。

提供する価値・伝えたい事

体罰はなぜ起こるのでしょうか?
その根っこは、日本社会が古くから大切にしてきた『上下関係』にあります。
だからこそ、相撲や柔道などで多いのです。

上に立つ者は下の者を導いてやらねばならない。
下の者は上の者に従うべきだ。
そのような心理的土壌がある限り、体罰はなくなりません。

体罰の問題と『上下関係』は不可分の関係にあります。

本当は先生と生徒との間に『信頼関係』があれば、指導(学習および生活指導)は出来るのです。
『上下関係』は必要ありません。

では、どのようにすれば子どもと良好な『信頼関係』を築けるのか?

子どもと1対1で25年以上、家庭教師として関わる中で、いかにして子どもと信頼関係を築けばよいかはより良い指導を行うための最重要課題でした。

あくまでも一家庭教師の経験からしかお話しできませんが、私が子どもとどのようにして信頼関係をきずいているのか、それを具体例、実践例をもとにお話しさせて頂きたいと思っています。

内 容

●体罰はどうしていけないのか?
理由は、それらを子どもに言うことをきかせるために使っていると、クセになり、そうすることがあたり前になるだけでなく、自分の機嫌が悪い時にはたたく回数が増えたり、いつも以上に強くたたいてしまったりすることが避けられないからです。

私が家庭教師の仕事を始めた25年前には、よく親御さんから「遠慮なくひっぱたいてもらってもいいから、厳しく指導してやって下さい」と言われることもありました。指導に熱心になるあまり、時には体罰にあたるようなこともしたことがあります。
それも時には必要なんだと考えるようになると体罰をする時に持つ『心理的ハードル』が下がり、回数が増えました。
また、何か嫌なことがあったとき、たとえばその日の朝、夫婦ゲンカしたとか、そんなことがあると、いつもよりきつくたたいてる自分に気がつきました。
あっ、これは自分のイライラをぶつけてるだけや・・
その時、そう感じてからは、二度と子どもに体罰をすることも、怒鳴ることも、脅すこともしなくなりました。

●親と子、先生と生徒は『対等』な関係に 
今、振り返れば、「お前はこうあるべきだ。お前はそうなっていない。そうしようとも思っていない。お前は間違っている。お前のために俺がその根性を叩き直してやる。」という思いがあったのではないかと思います。
これは、体罰をされる多くの先生、親御さんに共通する心理ではないでしょうか。

私は今、親と子どもは『対等』であり、先生と生徒も『対等』だと考えています。つまり、そこには上下関係は必要ないと考えています。

●必要なのは『信頼関係』
その信頼関係はどのようにすれば築けるのか。
信頼関係の基本は、相手に対する尊敬と感謝です。
大人が子どもの管理者になるのではなく、子どもの理解者、支援者となるなら、子どももまた大人の言うことを理解してくれるようになります。

教育で大切なのは、「子どもとどのような関係を築けるか」だと考えます。
なぜなら、『いい関係』は子どもの意欲や能力を引き出し、思いやりの心を育て、道徳性を高めるからです。
いい関係とはどのようなもので、どのようにすればそれが築けるのか。

それを体験談もふまえ具体的にわかりやすくお話しさせて頂きます。

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