現在、急速に変化する市場に対応するべく、どの組織にも今まで以上に強い連携とスピードが求められています。しかし実際には、階層による断絶や停滞感に悩まされる組織は少なくありません。この状況を打開するためには、個々が「自律型人材」として主体的に活躍することが重要です。

今回は、ゲームの提供を通じて組織内の協働を促進するビジネスゲームファシリテーターとして、多くの企業で体験型研修の講師を務めてきた徳一輝氏にお話を伺いました。徳氏が重視する、組織を活性化する「自律型人材」の育成のポイントについて解説します。

※本記事の内容は2026年3月時点のものです。

Your Image【監修・取材先】
徳 一輝氏

ビジネスゲーム ファシリテーター

 

現代の組織マネジメントの課題

現代の会社組織の最大の課題は、中間管理職の業務があまりに過酷であることです。その状況を揶揄した「中間管理職の罰ゲーム化」というワードも、世間で注目を集めました。

経営層と現場メンバーの間で組織を支える中間管理職に負荷がかかり過ぎると、企業はうまく機能しなくなります。その結果、緩やかに、けれど確実に停滞しているというのが、多くの企業の現状です。

なぜそれほど負担が大きいのでしょうか?背景には、多くの中間管理職が「プレイングマネージャー」という位置づけになっている点が挙げられます。自身が一人のプレイヤーとして現場で動きつつ、チームのマネジメントも担うのは容易なことではありません。

さらに現代はマネジメントに正解のない時代です。マーケットの変化、組織の中での価値観の多様化、DXなどへの対応は、すべて管理職の意志決定にかかっています。一般的なマネジメント研修を受講しただけで、これほど角的な課題を乗り越えるための実践的なスキルがすぐに身に付くわけではありません。

何より、これだけの業務量とプレッシャーに押しつぶされる管理職を間近に見ることで、チームのメンバーは「管理職になりたくない」という思いが強くなります。苦しむリーダーの力になるよりも今の立ち位置に留まることを優先し、そこで各々の成長も止まってしまうのです。

自律型人材がなぜ必要なのか

中間管理職だけが「プレイングマネージャー」として限界まで業務と責任を背負い、チームの他のメンバーは機能していないーこの現状を打破するためには、メンバーのパフォーマンスを上げて、管理職の負荷を減らす以外に方法はありません。

そこで鍵となるのが、自律型人材の育成です。自律型人材は、ただ与えられた仕事をこなすだけではありません。管理職の細かな指示を介さずとも、業務の正しい優先順位や新たに着手すべきことを自身で考え動くことができる人材です。

大切なのは、自律型人材としてチームのメンバーが管理職に依存せず、個々の判断力を向上させることです。

たとえメンバーに意欲があっても、次のアクションについて都度指示を仰がなくてはならない状況では、中間管理職の負担は軽減されません。また、メンバーが誤った判断を下して後処理に追われると、プレイングマネージャーである管理職は「自分でやったほうが早い」と考えるようになるでしょう。

目の前の業務に追われる現代の中間管理職は、どうしても中長期的視野を持ちにくい状況に置かれています。「メンバーの育成=新たな負担」と考えがちですが、自律型人材の育成は組織の仕組みを根本から変えるための取り組みであると理解する必要があります。

自律型人材を育成するための3つのポイント

では、メンバーを自律型人材として育てるには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは効果的な3つのポイントを紹介します。

①管理職の視点を共有する

まずメンバーに求められるのは、管理職側の視点の共有です。管理職が日々担っている業務量や意志決定の基準を理解することで、メンバーは初めてチームの中での自分の役割とその重要性を自覚できます。

管理職が1人で苦しんでいる状況や組織が停滞してしまっている問題点に気づき、自発的に「どの業務をできるようになるべきか」を考えるメンバーが増えることで、組織は正常なバランスを取り戻す第一歩を踏み出します。

②行動指針の解像度を上げる

次に重要なのは、実際にメンバーが自分で判断するときに迷わないよう、行動指針の解像度を上げることです。「自分で考えて動け」といった抽象的な指示だけでは、組織の方針と乖離した行動を招きかねず、かえってマネジメントの手間を増やしてしまいます。

まずは組織として「何を優先すべきか」を明確に言語化し、そのうえで個々の具体的な役割やKPIを設定します。

目指すべき方向が明確になれば、メンバーは迷いなく自律的に動けるようになります。

③組織の方針を理解し、自分なりに仮説を立てる

方針が明確になれば、次はそれを組織に浸透させていきます。メンバーが組織の方針や自分の役割を理解すると、実際に行動を起こす際に「今自分には、これが求められているはず」という仮説を立てられるようになります。

メンバーが管理職に対して「次に何をすればいいですか?」と指示待ちをするのではなく、「このように進めていいでしょうか?」と自分で考えた仮説に基づいて行動していけることが理想です。

このような自律型人材が増えることで、管理職は業務を委譲し、重要なマネジメント業務に集中できるようになります。

一人ひとりが自律型人材になることで組織は変わる!

自律型人材育成の必要性を感じつつも、「そんな時間は取れない」と感じている方も多いでしょう。そうした課題を解決するために、徳氏は、ビジネスゲームを用いた体感型の研修を提供しています。

徳氏が考案したゲームは、管理職とメンバーが同じ内容に取り組み、メンバー層でもマネジメントの難しさをリアルに体感できます。管理職の視点を疑似体験し、行動指針の重要性や、自ら考え動くことの成果を実感できるため、自律型人材の育成に必要な要素を短時間で習得できます。

また管理職にとっては、自分のマネジメントのやり方をゲーム上で再現することで、問題点を客観的に見つめ直すきっかけになります。実務での失敗は許されませんが、ゲームという「安全な場」であれば、失敗から学び、適切なフィードバックを受けることができます。

2時間程度のゲームとその後のフィードバックが、従業員の意識を根本から変えると、多くの企業から支持されています。「自律型人材を育てて組織文化を変革したい」とお考えの企業様は、ぜひ次回の研修企画としてご検討ください!

📌 自律型人材を育成するためのQ&A

Q1. 自律型人材とはどのような人材ですか?

A.管理職の意図を汲み取り、指示を待たずに「自走」できる人材です。
単に言われた仕事をこなすだけでなく、組織の目標を理解した上で「今、自分は何をすべきか」を自ら判断し、行動に移せる人を指します。管理職に依存せず、根拠のある「仮説」を持って動けるのが特徴です。

Q2. なぜ自律型人材の育成が、管理職の負担を減らすのですか?

A.メンバーが指示を待たずに「管理者の意図」を汲んで動けるようになるからです。
細かな指示出しやミスへの対応が減り、管理職は本来のマネジメント業務に集中できるようになります。

Q3. 部下に「自分で考えて動け」と言っても動かないのはなぜですか?

A.断基準となる「行動指針」が抽象的だからです。
組織の優先順位と言語化された具体的な役割(KPI)が示されて初めて、メンバーは迷わず動けるようになります。

Q4. 自律型人材を育てるために、まず何から始めるべきですか?

A.管理職の視点や意思決定の背景を共有することから始めます。
責任の重さや判断の意図を理解することで、メンバーの当事者意識が高まります。

Q5. 忙しい現場でも自律型人材育成は可能ですか?

A.可能です。むしろ、忙しい組織ほど必須です。
育成は追加業務ではなく、将来の負担軽減と生産性向上につながる投資です。短時間の体験型研修でも効果は期待できます。

徳 一輝 とくかずき

ビジネスゲーム ファシリテーター

飲食・フィットネス業界で教育設計や組織開発などを担当。その後、自律型人材育成などをテーマにした独自のビジネスゲームを活用し、体験型の学びを提供する研修講師に。管理職時代の成果が出ない自身の苦い経験から「誰でもできるマネジメント」を追求、迷いを絶ち、行動変容を促す実践型研修が好評。

講師ジャンル
ソフトスキル リーダーシップ

プランタイトル

自律型人材育成 研修
~ゲームで学ぶ社員の主体性育成~

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