国が推進している施策に取り組む企業には、各種の助成金が支給されます。
しかし国内では、助成金の対象となる施策を実施しているにも関わらず、申請手続きをしていない企業が多く存在しています。
特に多いのが中小企業で、その理由としてよく挙げられるのが「どんな助成金があるのか分からない」「申請手続きのために労力を割けない」というものです。

助成金活用への第一歩は、その仕組みについて知り、心理的ハードルを下げることです。

今回は、各地の商工会議所や業界団体への助成金セミナーを通して、合計161億円の受給実績を誇り”助成金王子”の異名を持つ白石健吾氏から、助成金の基本と活用のポイント、さらに定番&最新の助成金制度を紹介していただきます。

※本記事の内容は2025年12月時点のものです。

Your Image【監修・取材先】
白石健吾氏

助成金制度推進センター 理事(運営:株式会社ユニプラス)
キャリアコンサルタント(国家資格)

中小企業に助成金活用は難しい?混同されがちな「補助金」との違い

中小企業の間で助成金活用が進まない最大の理由は、おそらく「何となく大変そう」という心理的ハードルの高さでしょう。しかし、助成金の取得が大変だと考えている経営者の多くは、「助成金」と「補助金」を混同しています。

「助成金」は、必要な書類を提出し、要件を満たすことで原則として支給される制度です。業種や財務状況に関係なく、国が定めた条件を満たしてさえいれば、必ず支給されます。しかも、助成金の使い道は自由に決めることができ、キャッシュフローの改善に役立てることもできるのです。

一方の「補助金」は、厳格な審査があり、採択を勝ち取るためには他社とも競い合わなくてはなりません。また、助成金に比べると申請書類の作成の難易度やオリジナル性も求められ、採択されるまでに相応の準備が求められます。何よりも、補助金は企業側がすでに支払ったコストの補填として支給されるもので、“後払い方式”です。常に資金繰りに苦戦している企業にとって、手間などの苦労の割にメリットが少ないと感じられるのも無理はないでしょう。

経営者の間で広まりがちな「補助金取得で苦労した」という話が助成金の話と混同されることで、多くの中小企業経営者は助成金に対してネガティブな印象を持っています。

しかし、実際の助成金は、条件に合致すれば、書類を申請すると支給されるものです。例えばコロナ禍に給付された「特別定額給付金」(10万円)のように、当時、多くの人が忙しい中でも手続きを行い、問題もなく10万円を受け取った経験があるはずです。助成金も、感覚としてはそれに近いものとイメージしていただくとよいでしょう。

今も、助成金を積極的に活用している企業は、年に何度も助成金を申請し、数十万~数百万の支給を受けています。これにより、資金調達が容易となり、事業運営が安定
さらに、その利益やメリットが従業員にまで還元されることで、福利厚生が充実して職場環境も良くなり、自ずと新規採用や従業員の定着率も向上していくのです。

中小企業が助成金申請の最初のハードルを越えるには?

助成金によるプラスの循環を起こすために、最大の壁となるのが“最初の申請”です。一度助成金を取得できた企業は、制度への理解が深まり、複数回の申請を通じて、安定的に資金を調達できるようになります。つまり、最初の一歩を早く踏み出した企業ほど、より多くのチャンスをつかみ、時代の競争に勝ち残っていけるのです。

最も簡単なのは、助成金制度の専門家に相談することです。自社に当てはまる助成金はどれかを教えてくれる専門家は、経営者の頼れる味方になります。最新の助成金制度や制度改正についても常に把握しているため、経営者自身が時間をかけて調べる必要もありません。

ここで気をつけたいのは、「税理士は助成金の専門家ではない」という点です。「お金のことは税理士に任せておけば大丈夫」と考える経営者は多いものの、助成金の申請は税理士法の範囲外で、実務に関わると違法となるケースがあります。

同じ士業でも社労士であれば、助成金の申請に関わることができます。ただし、社労士の業務は多岐にわたり、人によって労務関係や就業規則など専門が分かれています。助成金という特殊な領域を専門にしている社労士は一握りでしょう。なので、中小企業には毎年度、助成金の情報が届いていないという現状は、多くの中小企業が頷ける部分だと思います。

ですが、助成金の情報を聞いたとしてもそこからがスタート。どう進めていけばいいのか不安また心配な部分が多いと思います。

助成金制度は何千という種類があり、同じ助成金でも毎年条件が変わっていきます。その情報をすべて把握し、各社に最適な助成金をピックアップするというのは、本来の業務の片手間でできることではありません。継続的な活用を目指すのであれば、助成金サポートを専門で取り扱うコンサルタントや支援企業に頼る必要があります。

中小企業が今知っておくべき3つの助成金

次に、中小企業にとって特に魅力的な3つの助成金をご紹介します。「初めての助成金申請にチャレンジしてみよう」と思われた経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

①キャリアアップ助成金

従業員の処遇改善や、正社員化を実施した企業に対して支払われる助成金です。
アルバイトやパートの時給アップや、スキルアップのための研修実施なども対象になります。

支給された助成金は、従業員の給与を上げたり、歓迎会や社員旅行を実施したりと、自由な用途で使うことができます。また支給されたからといって必ず何かに使わなければいけないという決まりもなく、そのまま蓄えておくことも可能です。

②働き方改革推進支援助成金

近年、特に注目されている助成金です。従業員の業務時間短縮に繋がる設備を導入した企業に支払われます。たとえば作業を自動化する機械や仕事で使用する車両などが対象です。

内容によっては数百万円規模の助成金を受給できるケースもあり、資金面の不安を抱えることなく大規模な設備投資に踏み切れる点が多くの企業から支持されています。

③両立支援等助成金

仕事と家庭の両立を支援する制度を整えている企業に対して支払われます。男性の育児休暇取得を含めた育児休暇制度、不妊治療の支援などが対象になります。

特に最近注目されているのは、介護離職を防止するための制度です。介護休暇の設定など、親の介護と仕事の両立をサポートする制度は、今後さらに高齢化が進む社会では重要な施策となります。
また、育休休暇を付与する助成金も大変人気です。女性従業員にはもちろんの事、最近は男性従業員に育休休暇を付与する助成金も多く活用されております。

上記3つの助成金は特に人気が高く注目されていますが、その他にも2025年の10月には新たな助成金が発表され、白石氏のお客様は上手く活用できており、大変喜んでいるとのこと。

社員研修、育休休暇を付与、パート・アルバイトの時給アップなど「そんなことは当たり前にやっている」という企業は多いでしょう。
しかし、同じ取り組みをしていても、書類を出すか出さないかだけで、資金調達で数十万円、数百万円の違いが生まれるのです。

助成金を活用すれば、中小企業はもっと活躍できる!

中小企業が抱える経営課題のほとんどは、「人」と「資金」の問題に集約されます。
助成金活用は、この2つのどちらにもアプローチできる魅力的な方法です。

助成金取得で資金にゆとりができれば、事業は活性化し、組織全体の雰囲気も明るく活気づいていきます。そして利益が生まれれば、従業員の待遇も改善して、より働きやすい職場になるでしょう。

今は人材獲得が難しい時代とされています。従業員が一度離職してしまうと、同水準の人材を雇うことは容易ではありません。
しかし、助成金を活用して福利厚生を充実させれば、「育休休暇制度導入済み」「介護休暇制度導入済み」「退職金制度導入済み」など求人募集時の訴求力も大きく高めることができます。

とくに近年の若い世代の求職者は安定志向で、額面的な給与の高さより、制度が充実していて「一目で優良企業だと分かること」を重視する傾向にあります。
今後ますます激化していく人材獲得競争を勝ち抜くために、中小企業こそ助成金を積極的に活用するべきであると言えます。

今回お話を伺った白石氏は、以前は議員秘書として国の制度を熟知し、国がどれだけ助成金制度を充実させても、肝心の中小企業へと情報が行き届いていない現状を目の当たりにしてきました。その経験から、現在はセミナー開催などによる情報発信、さらには各企業の助成金取得を着金までサポートするという事業を全国に展開しています。

白石氏の講演は、助成金取得の流れがイメージしやすく、助成金申請の心理的ハードルを下げることができると好評です。
助成金活用をテーマとし、会員企業に「商工会議所に入会してて良かった」と実感して頂く研修実施をお考えの商工会議所ご担当者様、「自社で取得できそうな助成金制度について詳しく知りたい」とお考えの企業様は、ぜひ次回の研修企画としてご検討ください!

白石健吾 しらいしけんご

助成金制度推進センター 理事(運営:株式会社ユニプラス) キャリアコンサルタント(国家資格)

大学在学時から衆議院議員秘書を務め、経営者に助成金情報が十分に伝わっていない現状を痛感。独立後は助成金の専門家として、中小企業に最新の情報を発信し、活用を推進。年100回超のセミナーの受講を機に、計161億円の受給実績を誇る。著書に『日本一わかりやすい申請すればもらえる助成金』。

講師ジャンル
実務知識 経営戦略・事業計画

プランタイトル

○○県の中小企業が当たり前に活用している助成金活用セミナー
~15,000社 160億円の実績を持つ講師が説明します~

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