弊社の専属講師として、ご活躍いただいている南雲明彦さんの新しい著書「泣いて、笑って、母でよかった〜読字障害・南雲明彦と母・信子の9200日」(著者/小菅 宏氏 出版社/WAVE出版)が出版されました。

ご本人の赤裸々な体験が綴られた前作「僕は、字が読めない。〜読字障害と戦いつづけた南雲明彦」(著者/小菅 宏氏 出版社/集英社インターナショナル)とは違い、本作は、南雲明彦さんの母・信子さんの日記を中心に、母親からの目線で綴られています。南雲さん御本人も、「読字障害を持った特別な子どもと母親の話という見方ではなく、現代社会の中で、子育てに頑張っておられるお母さん、お父さんにも、是非、読んでいただきたい作品です」と話されるように、随所に「子育てのヒント」が盛り込まれています。本作が完成するまでのお話、親子のエピソードなど、現在の南雲さんのメッセージをインタビューさせていただきました。


SB 「本作も、前作同様に、小菅宏さんが書かれていますが、二作目となり、南雲さんと小菅さんの間で、お仕事をされる際に、何か変化はありましたか?」

南雲 「そんなに小菅さんとの仕事の上での関係は、変わっていないと思います。本作も、基本的な想いは前作と同じで、「ディスレクシアの啓発」「家族愛」が大きなテーマとしてあります。ただ、本を二冊出版したことによって、新しい出逢いが確実に増えてきました。この出逢いを大切にし、どう生かしていくかというのが今後のテーマです。」

SB 「今回は、前作と違って、お母様の目線で書かれた作品になっていますよね。この部分について、取材前に、何かお母様とお話しされましたか?」

南雲 「母は、意外にも企画を説明したときに、「いいじゃない。」と、あっけらかんとしていましたね。笑 だから、話したことと言えば、それほど、多くなかった気がします。これが一作目の本であったなら、話は違っていたと思いますが、一冊目の本が出ていたので、「明彦の活動の為になるなら」と言ってくれました。とても、ありがたいことです。」

SB 「この度、WAVE出版から、新しい書籍が発刊されましたが、前作と本作のコンセプトの大きな違いがあれば、教えてください。」

南雲 「やはり、今回は、本の表紙を見てもらえば、前作と一目瞭然なのですが、ほんわかしたような温もりがある作りになっています。内容は基本的に、母親の目線が主体としてあって、前作は「子どもの気持ち」、本作は「母の気持ち」というコンセプトの違いがあります。今回の本は、私の出生の時から話が展開しています。正直、この本を読んで、初めて知った、母の気持ちがいっぱいありました。」

SB 「本作は、南雲さんが生まれてから今日までを時系列で追いかける構成になっていますが、南雲さんご本人が、「この部分」を是非読んで欲しい、というところはありますか?」

南雲 「個人的には、第四期(二〇〇六年七月〜二〇一〇年七月三十一日現在)の部分です。ディスレクシアと知った後から現在までの話が中心ですが、ここでは、母の心境に確実に変化が現れてきています。それは、今までの子どもが苦しんできた謎が解けた安堵感と、早く気づいていればという後悔の念です。でも、今でも変わらずに見守ってくれる親のありがたさ、大切さと、早期発見早期対処の必要性を感じて頂けたらと思います。」

SB 「同様に、お母様の立場で、「この部分」を是非読んで欲しい、というところはありますか?」

「ディスレクシアと知る前までの子育て全般の部分です。「生育歴」という言葉だけでは語り尽くせない、親の葛藤と試行錯誤の繰り返しの記録ですし、これをお読み頂ければ、私が特別な事例ではなく、誰にでも起こりえる事だということがおわかり頂けると思います。」

SB 「前出の質問と重なる部分はあるかと思いますが、南雲さんにとって、お母様の存在というのは、どのような存在なんでしょうか?また、それは、年齢を重ねるごとに変化してきましたか?」


南雲 「やはり、かけがえのない存在であるのは当然ですが、それと同時に共にさまざまな事を乗り越えてきた「戦友」でもあります。年齢を重ねるほど、懲りずに見守り続けてくれる家族という存在があるだけでも、人はこれほどまでに、強くなれるのかということを身にしみて、実感しています。」

SB 「前作、本作ともに、お母様がクローズアップされていますが、お父様は、どのような存在ですか?」

南雲 「父は、縁の下の力持ちのような存在で、母が軽いフットワークで動けるのは、父がいるからこそなのです。だから、母がクローズアップはされていますが、その原動力は、間違いなく、父の存在があるからこそです。」

SB 「同様に、ご兄妹は、どのような存在ですか?」


南雲 「兄妹は、とても、おおらかな性格をしていて、私が色々なことで悩み、考えている時でも、「大丈夫だよ」と、何の根拠もなく、言ってくれていましたね。笑 でも、そのスタンスが妙にホッとするのです。」

SB 「ひと昔前には、あまり問題にならなかったのですが、昨今、家庭内でのコミュニケーションが上手くいかず、そこから派生して、悲しむべき事件が起きているケースも多々ありますが、南雲さんの年代から見て、今、この国の「家族」にとって必要なことは何だと考えますか?」


南雲 「個人的な意見になりますが、家族の関係を良好に保つ為には、第三者の介入が必要不可欠だと思います。特に私の場合、引きこもっていた時に、家族だけで解決しようとすると、どうしても、互いに冷静さを失い、見つめなければいけない課題が違うことに替わってしまい、堂々巡りで前に進まないことが起こっていました。そんな時に、家族以外の人に助言を求める場所は、確保しておかないと、「愛」は、「憎悪」に変わってしまい、取り返しのつかない事態に陥ってしまいます。」

SB 「子育て中のお父さん、お母さんの中には、悩みを抱えながら、それを表に出せずに苦しんでいる人も多くいると思われますが、何か、現在、子育て中の皆さんへのメッセージはありますか?」

南雲 「親や家族だけで、悩みを抱えすぎるのは、おすすめできません。もちろん、誰にでも相談すればいいということではないと思いますが、一番大切なことは、親の心の安定であり、子どもの未来のことです。だから、信頼出来る人、機関に相談することは、情けないことではなく、むしろ、前向きな判断だと思います。」

SB 「最後に、これから、南雲さんが目指しておられる方向性や活動について、教えてください。」

南雲 「本を二冊、出版させて頂いたことによって、私の歩んできた25年は語り尽くされたと言っても、大袈裟ではないと思っています。私には、3年以内に「ディスレクシア」という言葉を全国の人に知ってもらうという目標があります。それを基本的な軸として、メディアへの露出を積極的に行い、それだけでは語り尽くせぬ経験や想いを、講演活動に込めて、地道に全国の人達に届けていきたいと思います。」

 

『泣いて、笑って、母でよかった~識字障害(ディスレクシア)・南雲明彦と母・信子の9200日』(WAVE出版)

 内容紹介

「21歳の夏、読字障害(ディスレクシア)という肩書ができた。」生きにくさの理由がわからず、家庭内暴力、自殺未遂、自傷行為の果てを繰り返す息子。その姿を身近で見守り、ともに戦ってきた母の実録報告——。

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子どもたちのSOSを見逃さない
~LD(学習障害)から未来へ~

南雲明彦 なぐもあきひこ
明蓬館(めいほうかん)高等学校
共育コーディネーター
21歳の時にLD(学習障害)の1つであるディスレクシア(読み書き障害)であることがわかる。高校時代より不登校、引きこもり、うつ病など、さまざまな経験をする。子どもがSOSを出せて、そのSOSを大人が見逃さないために何ができるのか。全国各地で講演をしながら、対話を続けている。

高校2年生の時に不登校になりました。21歳の時に学習障害とわかりました。学校では読み書きがうまくできず、恥ずかしくて相談もできない状況でした。不安を隠し、笑顔でいるように努めました。不安そうな顔をして… (続きを読む)

 

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