
多くの店舗経営者が「ターゲットの心をいかに掴むか」という課題に直面しています。
今回ご紹介する杉浦莉起さんは、LVMHグループやP&Gでブランド戦略・PR・顧客体験設計に携わってきたブランディングアドバイザーです。P&G在籍時には女性向けブランド戦略や顧客インサイト分析に携わり、またサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」のPRサポートなど、複数ブランドのコミュニケーション支援にも参画されました。
杉浦さんは、顧客をハッピーにする「魔法」でロイヤルカスタマーに変える独自のマーケティング手法を提唱しています。先日、店舗経営者を対象に開催された講演会から、ビジネスの成果に直結する3つの主要な柱をレポートします。
販売促進担当 白石
講師 : 杉浦莉起 氏
開催時期 : 2026年4月
主催者 : 商業施設管理団体
講演時間 : 90分
聴講者人数: 店舗経営者100名(女性8割、男性2割)
講演タイプ: 対面型
「シンデレラ」の比喩で紐解く顧客インサイトと体験

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杉浦さんは、家庭内購買において重要な意思決定者となる場面が多い層を「財布の紐を握るシンデレラ」と表現します。
日々、仕事や家事、育児などに追われている「シンデレラ」層にとって、買い物は単に必要な商品を手に入れるためだけの行動ではありません。商品を選ぶ時間や店員との会話、売り場の雰囲気を通じて、気持ちが明るくなったり、自分を大切にできたりする体験でもあります。
杉浦さんは、顧客が「自分は大切に扱われている」「いつもと違う特別な時間を過ごせた」と感じる瞬間を、シンデレラが魔法にかかる場面に例えます。
華やかなディスプレイ、温かい声かけ、丁寧なラッピングなど、店舗側にとっては小さな工夫であっても、顧客にとってはブランドへの印象を大きく左右する要素になります。
反対に、売り場が乱れていたり、接客が事務的だったりすれば、せっかく高まった期待が失われることもあります。商品そのものだけでなく、来店から購入後までの一連の体験を整えることが、顧客の信頼や再来店につながるのです。
抽象的に感じられやすい「インサイト」や「顧客体験」という概念を、身近な物語を通して直感的に理解できる解説に、会場では熱心にメモを取る受講者の姿が多く見られました。
顧客によって異なる購買行動の傾向

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講演では、顧客によって商品を選ぶ際に重視する価値が異なることも紹介されました。
例えば、機能や価格、性能、他商品との違いを比較し、合理的に判断したい「機能重視タイプ」がいます。一方で、商品を使用したときの気持ちや生活の変化、ブランドの背景にある物語などを大切にする「体験重視タイプ」もいます。
重要なのは、性別などの属性だけで顧客を一括りにするのではなく、目の前の顧客が何を価値としているのかを観察することです。
機能や実績を知りたい顧客には、比較表や導入事例、客観的なデータを示すことで安心感を与えられます。体験やイメージを重視する顧客には、「この商品を使うことで、毎日の生活がどう変わるのか」を具体的に伝えることが効果的です。
商品説明を一方的に行うのではなく、顧客の言葉や反応に耳を傾け、その人に合った伝え方を選ぶことが、心を動かす接客の第一歩であると語られました。
「3つのC」を越えるショッパー・ジャーニー

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講演の中心となったのが、顧客の購買行動を捉える「3つのC」と「ショッパー・ジャーニー」という実践的なフレームワークです。
杉浦さんは、購入に至るまでには、次の3つの段階があると解説します。
- Curiosityは、商品や店舗に興味を持つ段階。
- Connectionは、商品やスタッフとのつながりを感じる段階。
- Commitmentは、信頼し、購入を決断する段階です。
この3段階に対応する売り場と接客の力として、次の3つが紹介されました。
1. Stopping Power(足止めする力)
まずは、通り過ぎようとする顧客の足を止め、興味(Curiosity)を持たせる仕掛けが必要です。これが「ガラスの靴」を置く作業です。客がパッと見た瞬間に「可愛い!」「素敵!」「ワクワクする!」と直感的に感じるような、華やかで美しいディスプレイや、営業資料のビジュアルを意識的に演出します。
2. Holding Power(引き止めて回遊させる力)
足を止めてくれたお客様を、できるだけ長く引き止め、関係性(Connection)を築くステップです。ここでは、商品を前にした顧客が「これを使ったら、翌朝の肌がもちもちになるかも」「これを取り入れたら、毎日の家事がこんなに楽になるかも」と、未来の幸せな自分を具体的にイメージ(体験)できるような提案が重要になります。
また、杉浦さんは接客の「距離感」についても言及されました。「お客様を『監視するようにじっと見る』のは恐怖を与えます。そうではなく、『私はいつでもあなたに寄り添っていますよ』という温かい気持ちを心の中で持ちながら同じ空間に立つだけで、居心地の良さは劇的に変わります」というアドバイスは、非常に実践的です。
3. Closing Power(最後の一押し・購入への信頼)
最後は、購入(Commitment)への壁を乗り越えてもらうステップです。顧客は買う直前まで「本当にこれでいいのかな」「無駄遣いにならないかな」と激しく迷っています。そこで必要になるのが、顧客の「自分へのご褒美(免罪符)」を全肯定してあげる、背中を押す一言です。 「いつもお仕事を頑張っていらっしゃるんですから、これくらいのご褒美は当然ですよ」「このプランなら、結果的にコストパフォーマンスが良くて絶対に後悔しませんよ」と、顧客の迷いを解消し、安心感に変えてあげるアプローチが、最後のクローザーとなります。
現場観察から顧客の本音を掴む

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顧客インサイトを把握するために、必ずしも大規模な市場調査が必要なわけではありません。
杉浦さんは、日々顧客と接している店長やスタッフこそが、最も顧客の本音に近い存在であると語ります。
顧客がどの売り場で足を止めたのか、どのPOPを長く見ていたのか、どのような質問をしたのか。購入した理由だけでなく、購入を迷った理由や、店を離れた理由にも、売り場改善のヒントが隠されています。
特に、繰り返し来店している顧客や、自店を周囲に紹介してくれる顧客の行動を観察することで、自店が支持されている理由が見えてきます。
得られた気づきを、ディスプレイ、POP、商品説明、スタッフの声かけなどに素早く反映することが、現場にいるからこそできるマーケティングです。
受講者にとって、顧客を「販売の対象」として見るのではなく、売り場づくりを一緒に考える存在として捉え直す機会となりました。
主催者・受講者の声:学びが即、現場の実践へ
今回の講演は、受講した店長や店舗経営者の皆様から圧倒的な支持を集めました。 会場では、多くの受講者が前のめりになって熱心にメモを取る姿が目立ち、終始高い熱量に包まれていました。
受講者からは、
- 「自分自身の接客や、今の店舗のあり方を改めて見直す素晴らしいきっかけになった」
- 「自店へ戻り、学んだ内容をスタッフへすぐに共有して、ポップの改善や朝礼での声かけを実践している!」
といった、非常に具体的かつポジティブな反響が多数寄せられました。
主催側からも、「店舗経営者の教養を高め、日頃の業務にプラスに活かしてもらう」という開催目的に見事に合致した啓発的な内容であったと、極めて高い評価をいただいています。難解なマーケティングの専門用語を徹底的に噛み砕き、90分という時間の中で要点をズバリと押さえた杉浦さんの講義スタイルは、まさに「実用性と即効性」を兼ね備えたものでした。
顧客体験を売上につなげる実践的な講演
本講演の魅力は、ブランディングや顧客インサイトという抽象的なテーマを、売り場や接客の具体的な行動に落とし込んでいる点にあります。
「シンデレラ」の物語を用いた直感的な解説、「3つのC」と「ショッパー・ジャーニー」による実践フレームワーク、そして現場観察から顧客の本音を掴む方法まで、明日から試せるヒントが豊富に盛り込まれています。
商業施設のテナント店長会、店舗経営者向け研修、流通・小売業界のセミナーなど、顧客満足度や接客力、売り場づくりの向上を目指す主催者様に、ぜひおすすめしたい講演です。
杉浦莉起 すぎうらりた
株式会社DELICE代表 ブランディングアドバイザー 明治大学リバティアカデミー講師

LVMHグループやP&Gでブランド戦略・PR・顧客体験設計に携わり、ブランド価値向上やダイバーシティ、ワークライフバランスを推進。現在は株式会社DELICE代表として、女性活躍推進、フェムケア、健康経営、管理職育成をテーマに企業・自治体・教育機関で講演・研修を行う。
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講師ジャンル
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ビジネス教養 | ワークライフバランス |
|---|---|---|
| ソフトスキル | リーダーシップ | |
| 実務知識 | 営業・販売・マーケティング | |
| 社会啓発 | 男女共同参画 |
プランタイトル
『“なんとなく”では届かない!女性ターゲットを掴むマーケティング&ブランディング術』~P&G・LVMHで学び、実践してきた「女性の心を動かす」インサイト発想~
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