新型コロナウイルス感染症による世界的なパンデミック以降、さまざまな感染症対策が提唱されてきました。その中でも、一番有効な方法として免疫力向上を唱えるのが、元・近畿大学陸上競技部駅伝監督で現・株式会社BESTS代表取締役 兼 能力開発プロデューサーの佐藤浩氏です。その佐藤氏に、コロナとうまくつきあっていく方法を、能力開発という観点から述べていただきました。
【監修・取材先】
佐藤浩氏
株式会社BESTS 代表取締役
能力開発プロデューサー
前 近畿大学陸上競技部 駅伝監督
感染症の予防
有効なワクチンがない、再感染の可能性もある、長期のうちに抗体が低下する報告もあるなど、コロナ禍ではさまざまな問題が浮上しました。。
感染症予防の基本は清潔を保つことですから、手洗い・うがい・三密を避けることがまず大切です。さらに、免疫力が高ければ、万が一感染しても、無症状あるいは軽度の症状で済むといわれています。
免疫力を高めるには、
- 適度な運動をする
- 明るく元気に過ごす
- 栄養・休養をしっかり摂る
ことが大切だと私は考えています。
この1~3を実践している72歳の公認会計士の方がいらっしゃいます。お酒もけっこう飲まれるのですが、山登りのためのランニング約40分を週3~4回行ない、現役で仕事をバリバリこなし、そのうえ、大学院でも学ぶという日々を送られています。そして、ミネラルをしっかり吸収し、健康を維持されています。その結果、健康診断医から「20歳代クラス」の血管年齢と言われるほどの若さを保っています。
1~3を実践し、健康であり、免疫力を高めている事例です。このように、免疫力を高めることが、清潔を保つ以外でわれわれにできる一番のコロナ対策だといっていいでしょう。
免疫力を高める具体的な方法
1.適度な運動と腹式呼吸
運動する時間をとりにくい方は、歩く量を増やしてみましょう。エレベーターやエスカレーターを使わないことも有効です。そして、起床時・就寝時に5分でいいので腹式呼吸を行ってください。
さらに、若干汗をかく程度の運動をすることができれば、
- 身体に運ばれる酸素が増え、疲労回復を早め、身体の機能が活性化する
- 筋肉活動を行うことで、生物のエネルギーを作り出すミトコンドリア量が増える
- 発汗作用により、身体の代謝が向上する
- 筋持久力を高めることにより、体力が向上する
- ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの免疫細胞の数や働きが向上する
- 適度な疲労により眠りが深くなり、身体が回復する
といった成果が得られます。
ウィズコロナで人との接触機会が減っている今こそ、適度な運動や腹式呼吸にチャレンジしてはいかがでしょうか。
2.明るく元気に過ごす
「納得してこそ……人は意欲を増し、積極的になる!」
① 前頭連合野で「理解する」「知性を高める」などの処理がなされ、
② 大脳辺縁系から「喜び」「悲しみ」「不安」などの感情の信号が送られ、
③ 視床下部・脳幹から行動や停止などの「意欲」を刺激する信号が身体に送られます。
この視床下部・脳幹からの信号が、活力のある動きをするか?動くことに抵抗を持つかに関わってきます。
脳の電気信号は、
①「知性・知恵」(意識する、閃く、解る・納得する)⇒
②「感情」(解ってうれしい、閃いて楽しい)⇒
③「意欲」(うれしいからやりたい、楽しいからやってみよう)
と流れます。
「怒り・不安」の感情が強い人に、「怒るなよ」「不安がるなよ」と言っても解決しません。その原因を解明したり、不安を取り除く提案やアイデアを出したりすることで、①「意識する、閃く、わかる・納得する」となり、②良い感情が生まれ、③意欲(モチベーション)が向上するのです。
このような脳の仕組みを理解して活動することは、明るく元気な毎日につながります。
3.栄養・休養を摂る
人間の身体は睡眠中に回復するため、起床時は気持ちよく快活であるのが自然です。しかし、仕事のストレスや睡眠不足などにより、そうでない方も大勢いらっしゃるようです。
緊張やストレスは交感神経を優位にし、筋肉を収縮させます。すると、血管は固く細くなり血流が悪くなる。その結果、血圧の上昇や血液ドロドロが引き起こされるのです。
これを防ぐには、休日には好きなことに没頭して心のリフレッシュをはかり、軽い運動で新陳代謝を上げることを心掛けましょう。そして、何よりも効果のある健康対策は睡眠です。睡眠時間の長さよりも、自分がスッキリと起きられる就寝時刻、睡眠時間を確保するようにしましょう。
免疫力を高めるために摂るべき栄養については、さまざまな理論がありますが、海から生まれてきたわれわれ生物は、海のミネラル分を吸収し成長してきました。そのため、動物にも人間にも、酸素・水・ミネラルは必ず必要です。
火山国である日本では、水にミネラル分が乏しいのが現状です。そのためサプリメント(特に水溶性の高いカルシウム)などの活用も有効です。
アフターコロナの働き方
これまで話してきたことを踏まえ、当社では「アフターコロナの働き方」として以下のことをお伝えしています。
1.新型コロナウイルスなど感染症の予防
手洗い・うがいなどの行動とともに、免疫力を高めて健康を維持することが必要です。
2.大脳生理学から学ぶ個人の能力アップ法
多様化する業務に対応できるよう個人的能力を高めるには、脳の情報処理能力を高める必要があります。
3.意識改革による人間関係の改善とリーダーシップ
人間関係づくりでは、各人の意識改革が大切です。特に仕事の効率を下げる一番の要素は「ぎこちない人間関係」です。その人間関係を改善し、仕事の効率・生産性を向上させる必要があります。
講演では、これら3つを中心に具体的な体験実習を交えてお話ししています。
最後に
コロナ禍以降、学校ではオンライン授業、企業ではテレワークやフレックス制をはじめとして、新しい生活様式が生まれています。ここまでにお伝えしてきたように、しっかりと対策することに加え、不安が生まれない考え方をもち、自分自身で免疫力を高めながら予防していくことができます。
コロナ禍で問題を教訓にして、これからも多くの皆さんが明るく元気に、健康で楽しく過ごされることを心より願っております。
佐藤 浩 さとう ひろし
株式会社BESTS 代表取締役 能力開発プロデューサー 前 近畿大学陸上競技部 駅伝監督
大脳生理学を基に「心技体」を向上させるメンタルトレーニングの指導者。1988年 四日市大学で、駅伝部を設立。東海地区18位のチームを三重県で初めて全日本大学駅伝に出場させた。「ストレスマネジメントできる人を増やすことが職場や家庭の繁栄になる」を信条に、活動の場を全国に広げている。
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