生産性の向上は、中小製造業に携わる方にとって永遠の課題ともいえるテーマではないでしょうか。もしかしたら、そのカギはIoT(Internet of Things:モノのインターネット)にあるかもしれません。
本記事では、この「IoT」を発展させた「IoT GO」(稼働状況モニタリングシステム)について、開発元である久野金属工業 取締役副社長の久野功雄氏に解説していただきました。

久野功雄著

製造業者が抱える課題

少子高齢化が進む日本社会において、人手不足は大きな課題となっています。特に地方では、都会への人材流出、技術・経験を持った人材の採用が難しいなど、どの産業分野であっても人材確保に頭を抱える経営者は多いはずです。

とりわけ近年は、製造業が他に比べて良いイメージを持たれにくい傾向にあり、業界的にも難しい状況に直面しているといえます。さらには、新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでにはなかった問題が立ち上がってきたという企業も多いのではないでしょうか。

そんな状況下において日々の業務に求められるのは、「現状の人員・設備でいかに生産性を向上させるか」ということでしょう。当社でも以下のような問題を抱えていました。

1. EV(電気自動車)部品の生産急増による残業増加
2. 生産量増加により生じる設備投資
3. 残業増加で多忙となり、業務改善に取り組むための時間捻出が困難

設備投資には億単位の投資が必要であるため、現状のまま稼働時間だけが延び、それが社員の残業に直結し、改善に向けた活動に手が回らない…という悪循環が起きていました。

この状況を打破すべく始動したプロジェクトが、稼働状況モニタリングシステム「IoT GO」です。

現場の使いやすさを徹底した「IoT GO」の開発

実は「IoT GO」の開発に着手する以前から、当社には「旧モニタリングシステム」が存在していました。ただし、この旧システムで行えたのは設備の稼働・停止と稼働率の閲覧のみ。これを、より現場目線で開発し直し、事業の変化に耐え得る柔軟さを持たせたのが「IoT GO」です。

新システムの最優先事項は、現場の作業員や管理者がスムーズに使えること。メイン画面の視覚的な見やすさの実現、求める情報を直感的な操作で呼び出せるようなボタン配置、表示情報を簡単にカスタマイズできるような設定画面の設計にもこだわりました。

もうひとつ、現場の使いやすさを優先するにあたりって重視したのは「比較結果が分かりやすいUI設計」です。通常は比較しにくい以下の指標に着目しました。

・勤務形態(昼勤・夜勤)ごとの稼働状況
・自ラインにおける時系列(現在・過去)での稼働状況(図1)
・各ラインで発生する問題の重要度

これらの指標に基づき、時間帯別・ライン別での生産性や、それぞれの問題の重要度を比較できる機能を搭載させました。

また、閲覧性も向上させています。旧システムでは工場内のモニタでしか閲覧できませんでしたが、「IoT GO」はスマートフォンからも閲覧可能です。確認作業が非常に手軽になりました。

「IoT GO」がもたらした2つの恩恵

「IoT GO」は当社に生産性と課題解決の飛躍的向上をもたらしてくれました。

1 生産性が53%向上

「IoT GO」導入以前、自動車部品のラインは昼勤・夜勤に残業を加えた20時間体制で稼働しており、余力はほぼない状態でした。しかし「IoT GO」を導入したところ、実際には稼働率が58%に留まっていたことが判明。時間帯別稼働率の確認ができるようになったことで問題解決への取り組みが容易になり、1か月後には稼働率89%まで改善。生産性は53%向上しました。

2 サイクルタイムの“見える化”により改善スピードが3倍に

「IoT GO」の特色のひとつに「1工程のサイクルタイムを視覚化できる」という点があります。この機能を用いれば、現状の生産ラインがどの程度の拡大まで対応可能なのかを容易に検討できます。さらに、ここで出た0.1秒単位の効果をもとに、すぐ次の改善に取り組むことができるため、問題改善までの時間が大幅に短縮されます。当社の場合、3倍のスピードアップを実現しました。

生産現場と連携し、現場での利便性を追求できる現場密着型システムだからこそ、早く効率的に成果を上げることが可能になります。当社はIoT GOのモデル工場として、常に生産性の高い状態をキープし続けています。

最新テクノロジーがウィズコロナ時代のものづくりをサポート

製造業も、コロナ禍の中でも売上を伸ばせる新たな販路の模索をはじめ、これまでとは違った問題に直面しています。このような状況であればこそ、テクノロジーを用いた新しい形の工場経営が必要なのではないでしょうか。

オンライン講演では、生産性だけでなく、品質向上やDX化といったテーマについても事例を交えてお話します。IoT化を検討している経営者の方、現場の第一線に立つ皆さまに、ぜひお聞きしていただきたい
内容となっています。興味をもたられましたら、一度システムブレーンの方にお問い合わせください。

久野功雄 くのいさお

久野金属工業株式会社 取締役副社長

コンサルタント実践者

1947年創業の金属加工メーカー久野金属工業株式会社 取締役副社長。ものづくりで日本を更に発展させたいと国内製作にこだわり続け、IoT技術の導入やAIを意識した先進的な取り組みを行う。現在進行中の具体的な事例を交えながら、専門用語を多用しない分かりやすい講演が口コミで広がっている。

プランタイトル

今なぜ中小企業にIoT・AIなのか?
-既存製造設備へ後付けできるIoTで問題を解決-

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