3回目の緊急事態宣言もようやく解除され、正常化が期待されます。
とはいうものの、7月開催予定の東京オリンピックの後、感染の第4波も懸念され、集合型イベントの開催もいまだに明確な計画が立てられない状況です。
そんな時期だからこそ、リアルでの開催が難しくなった時の第2のプランを用意しておくと安心です。
中止か延期か迷うところですが、周年の記念式典や記念事業の場合、できれば開催したいという主催者様もいらっしゃいます。

本案件も、行政機関の記念事業の一環として開催された記念講演です。
当初は、リアル開催でしたが、このたびの緊急事態宣言の延長により、オンラインへの開催を余儀なくされました。通常ならば、会場をキャンセルして、主催者様の事務所などで開催されますが、今回は押さえた会場をそのままに、主催者様と講師、関係者のみが参加し、無観客で開催。式典の模様はライブで配信する形となりました。

今回は、ハイブリット型から完全オンラインに変わった経緯、そして現場の対応をリポートいたします。

自治体・医療福祉・公的団体チーム

■目次
講演テーマ : STOP!インターネット、SNSでの人権侵害
講師   : スマイリーキクチ 氏
主催者  : S行政機関 様
開催日時 : 2021年5月
講演時間 : 60分
聴講者人数: 300人
講演タイプ: A. 会場からの生配信タイプ
配信ツール: Zoomビデオウェビナー

開催1ヶ月前に完全オンラインに切り替え

本案件は、都市部のS行政機関様が人権宣言の周年を記念し開催された講演です。

今回の講師はスマイリーキクチさん。人気芸人でありながら1999年からインターネット上で殺人者であると誹謗中傷され、そこから関係者の一斉検挙にまで発展。現在は、その体験をもとに、風評被害の実態やSNSの危険性、トラブル対処法などを全国で講演する活動もされています。

昨年(2020年)末にお話しをいただき、記念式典も開催されることから本年5月にリアル+オンラインのハイブリット型の開催で準備が進められていました。そのため、主催者様の方で、感染対策でキャパシティ半分以下の聴講者を入れる予定で、リアル用の会場として1000名収容のホールを予約されたとのこと。その後、新規感染者数も落ち着き、関係者一同このままハイブリット型の実施も可能だろうとの見通しで、イベント告知のポスターも制作され、公式のホームページや広報でリアル開催での聴講者とオンラインでの聴講者の募集を開始されました。

ところが、今年4月中旬ごろから新型コロナウイルスの新規感染者数が急増し、翌週に3回目の緊急事態宣言が出されるというニュースが飛び込んできました。緊急事態宣言はいつ終わるかもわかりません。そんな状況で、主催者様と話し合った結果、残念ながらリアル開催を断念せざるをえなくなり、無観客の完全オンラインへの切り替えを決定されました。

オンライン講演を方法を選択する際のチェック項目

オンライン講演を行うにあたり、開催・運営方法を決める上で、以下のような項目をヒアリングさせていただくことが多いです。

  1. 観客(聴講者)を呼ぶか、呼ばないか➡一部を呼ぶ場合にはハイブリット型、呼ばない場合は完全オンライン型
  2. 講師は現場に来るのか、来ないのか➡講師が来る場合は撮影スタッフの手配が必要かどうかを聞き、来ない場合には配信場所の選定
  3. 講演内容は一方方向型か、双方向型か➡講義型の場合は一方方向型、研修などグループワークなどが必要になる場合は双方向型。一方方向型であれば配信にZoomウェビナーなどウェビナーツール、双方向型であればZoomミーティングなどミーティングツールを使用。
  4. オンライン聴講者がZoomなどの配信ツールに慣れているか、慣れていないか➡慣れている場合は多彩な機能を使ったり、慣れていない場合は最小限の機能に留める。
  5. オンライン聴講者は何人くらいで、講演時間は何時間になるのか➡配信ツールがZoomの場合であれば、人数によってプラン内容が異なるため、人数によってプランを選択。
  6. 配信ツールはあるか、ないか➡ある場合はそちらを使用し、ない場合は弊社で貸与
  7. 主催者の配信操作スキルはどれくらいか➡例えばZoomを普段業務で使いこなしており、ある程度使いこなせるのであれば主催者自身で運営を行う。スキルがなかったり、少ない場合は、弊社でどこまでのサポートが必要なのかをヒアリング。

本案件で言えば、主催者様より以下のような回答をいただきました。

  • 観客は300名程度呼び、残りはオンラインで参加するようにしたい。
  • 講師は現場に来てほしい。
  • 講義型の一方方向型で。
  • オンライン聴講者は配信ツールに慣れていない可能性が高い。
  • 300人程度、60分。
  • 配信ツールはなし
  • 配信ツールのスキルはほとんどないから、運営をまるごと任せたい。

以上のご回答を踏まえ、オンライン講演の方法は、

  1. 会場+ライブ配信型のハイブリット型で行う
  2. 講師は会場入りするため、撮影スタッフの手配
  3. Zoomビデオウェビナーを使用し、弊社のものを貸与
  4. 配信ツールの機能は配信のみ

という内容にご相談をしながら決まりました。

次に、どれだけサポートが必要かヒアリングします。
主催者様より「オンライン講演の経験はなく、配信ツールの使い方もあまりわからない」ということをお聞きしていたので、今回は、撮影スタッフの手配から運営まで弊社がしっかりとサポートに入ることになりました。弊社で行ったサポート業務は以下の通りです。

  • オンライン聴講者募集のフォーマット作成
  • Zoomウェビナーの開催日の設定
  • 撮影スタッフ(会社)の手配
  • Zoomの運営(ウェビナーURLの発行、入退室管理、参加者とのチャットサポート)
  • 開始前スライドの制作
  • 司会者台本の作成
  • 当日のプログラムの作成
  • スケジュール管理とタイムキーパー

ただ前述の通り、今年4月中旬に完全オンラインで実施する方向で話が決まりました。
もし、ここで会場をキャンセルするということになった場合は、配信方法の見直しや講師の配信場所の手配など追加の業務が発生します。しかし、今回は会場をそのまま使われることになったため、大きな変更はなく、従来の方法でそのまま実施されることとなりました。

本案件で担当した初めての業務

Zoom運営はすでに何度か対応したことがあったので問題はありませんでしたが、今回は初めて担当する業務が2つありました。

1つはオンライン聴講者募集のフォーマット作成業務。リアル開催の聴講者は、往復ハガキで応募という形で主催者様が募集・管理をされていました。一方でオンラインでの聴講者は「どのようして集めたらよいかわからない」ということでしたので、私の方で方法を考えることになりました。オンラインでの聴講者ですので、インターネットで募集することが前提条件でしたが、それをどのような形態で募集するかを考えました。

最初に思いついた方法がGoogleフォームです。これまでもアンケートフォームとして利用した経験があるため、これなら扱いも簡単で、募集とデータ収集がやりやすいと思いました。
まずは、主催者様に「Googleフォームで募集することに対してセキュリティ上問題はないでしょうか」とお聞きしました。主催者様から「問題はない」との回答をいただいたため、Googleフォームで応募フォーマットを作成しました。
応募者が名前と住所、電話番号、年齢層を入力すると、主催者様に申し込み確認のメールが届くシステムとなっています。必要な項目を収集できるように設定し、何度か入力テストを行いました。こちらは主催者様にも作動をご確認いただいてから、納品いたしました。

もう1つは、撮影スタッフ(会社)の手配です。事務所や会議室など小さい場所からの配信であれば、カメラ付きのPC、マイク、インターネット回線があれば十分です。しかし、今回は大きい会場であり、当初はハイブリット型ということでしたので、映像制作会社を探すことにしました。
とはいえ、これまで取引のない会社にお願いすることには不安がありました。いろいろと探していたところ、以前別件で行事取材をされていたケーブルテレビの存在を思い出しました。ケーブルテレビはオンライン講演を配信するための機材や人材が揃っており、幸いに主催者様とも面識があり、こちらからご依頼するとすぐに快諾くださいました。

そんな中、いくつか課題も出てきました。今回の配信場所は東京の会場で、私は大阪本社から運営に入るため、カメラのスイッチングや時間管理、配信操作の指示を遠隔地からちゃんと行えるかが、第一の課題となりました。
また、ケーブルテレビの撮影クルーが「Zoomでの配信実績がない」という点も不安材料でした。そのため、「カメラは何台必要でどんなカメラ割にするのか」「トラブル発生時はどんな対応を行うのか」など、主催者様やケーブルテレビの担当者の方と電話やメールで密に連絡をとり合いながら、不安材料をつぶしていきました。

今回は予算も限られていたため、カメラは1台として、撮影以外に、映像のスイッチング、音響の調整などを依頼しました。
また、以前配信中に音声が途切れるという配信トラブルに見舞われたことがあったので、LANは無線ではなく有線を使うことも担当者の方にお伝えしました。

事前に主催者様とケーブルテレビの撮影クルーが本会場に入り、リハーサルを実施していただきました。弊社はこのリハーサルに参加しなかったのですが、問題もなく配信テストが行えたようでした。

心配が安心に変わった瞬間

当日は記念式典の開始時刻1時間前に入り、講師と主催者様の顔合わせと簡単なリハーサルを行いました。リハーサル中はこれといった問題もなく予定通り進んでいきました。ケーブルテレビの撮影クルーもさすがプロといった感じで、機材セッティングやカメラ操作も手慣れた感じでした。式典が始まるころには、私の心配もなくなり、安心して運営に集中することができました。

講演が始まり、講師のプロフィールを紹介しているところで、聴講者の方から一通のチャットメッセージがホストである私のPCに届きました。その内容は、「講師の声が小さくて聞き取りづらい」といったものでした。他の誰からもそういった苦情がなく、大阪で聴いている私も講師の声の小ささは気にならなかったので、恐らくその方のPC設定に何らかの問題があるのだろうと思いました。まずは、PCとZoomの音量を大きくする設定方法をご案内しましたが、それでも音量は小さいままだとおっしゃいます。システムのサウンド設定自体が小さく設定されているのではないかと思い、すぐに対処方法をお伝えしました。すると、すぐに問題が解消できたようで、お礼のメッセージが届きました。

それ以外は、大きな問題も起こらず、スムーズに進んでいきました。

スマイリーキクチさんの講演内容もご自身の体験にそったもので現実味を帯びており、話の進め方も芸人さんらしく上手に進めていかれました。インターネット上で勝手に殺人者に捏造され、「殺すぞ!」とまで脅されたこと、そして、当初は警察がちゃんと対応せずに、SNSで誹謗中傷がエスカレートしていったこと、それでも諦めずに警察に訴え続け、インターネット犯罪専門の刑事が担当してようやく誹謗中傷した人々を一斉検挙できたことを、落ち着いた口調で淡々と語られました。
匿名におけるネット犯罪の怖さ、そして自分も知らないうちにやっているかもしれない誹謗中傷の危険性について改めて思い知らされました。主催者様から「講演内容が今の時代にマッチしており、とても参考になりました。また聴講者の反応も上々だったようで、満足度が高かったです」との感想をいただきました。

また、弊社の対応についても「今回はオンライン講演は初めて試みでしたが、おかげで安心して実施することができました。」とのお言葉をいただき、チャレンジした甲斐があったと嬉しく思いました。

初めてのこともやれば一つの実績となる

今回は初めての業務内容もありましたが、自分なりに何ができるかを考え、不安材料を一つ一つつぶしていくことで、無事にやり遂げることができました。

私はこれまでオンライン講演の運営経験は50回以上ありますが、いまだに「初めて」となる業務に携わることも多々あります。ご依頼いただいた内容が「初めて」であったとしても、「どうすればできるのか」を考えてから、主催者様とご相談をしながら一緒に答えを出すようにしています。「初めて」のことも、やれば一つの実績となり、次へのステップへと続いていきます。

これからも主催催者様からの「システムブレーンに任せれば安心だ」というお声のため、スタッフ全員日々精進してまいります。皆さまの「初めて」を全力でサポートさせていただきますので、まずはお気軽にご相談いただけると幸いです。

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