2020年のコロナ禍で、研修スタイルも従来の集合型からオンライン型へと大きく変化しました。
オンライン研修では講義型と合わせてグループワークが実施されることも多く、
「グループワークをどんなテーマでやったらいいかわからない」
「そもそもやり方がわからない」
という研修担当者の声も聞かれます。

そこで、本記事では、グループワークのメリットと必要なツール、実施するコツなどを解説するとともに、種類別に人気のテーマ例も紹介をします。

オンライン研修にグループワークを取り入れるメリットとは?

オンライン型の研修では、時間や場所に制約されないといったメリットがある一方で、コミュニケーションがとりづらい、実践スキルを習得させづらいといったデメリットがあります。

そんなデメリットを解消するのにおすすめなのが、グループワークです。
オンライン研修で使用される配信ツールには、「ブレイクアウトセッション」と呼ばれるグループ分けできる機能が搭載されており、3~5人の小グループに分けてプレゼンや作業、ゲームなどが実施できます。

グループワークのメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

①参加者が主体的に参加できるようになる
オンライン研修は一般的に講義型が多くなる傾向にあります。講義型では、講師が一方的に話すことが多くなるため、受講者の記憶に残りづらい、受講者が受け身になりがちになるなどの問題が指摘されています。しかし、受講者が能動的に考えられるグループワークを取り入れることで、主体性やチームビルディングなどのスキルを習得させることができます。

➁受講者同士のコミュニケーションを促すことができる
オンライン研修では集合型のように、休み時間に雑談するなど社員同士が親睦を図る機会がありません。そのため、オンライン研修では、あえてコミュニケーションの場を作る必要があります。その際に有益なのがグループワークです。グループワークでのアイスブレイクやゲームの時間を導入することで、受講者同士のコミュニケーションを深めることができます

③実践的な内容を教授できる
研修では実践的な内容を扱う場合、ロールプレイングなどが導入されます。オンラインであってもグループごとに分けることでロールプレイング型講習は可能になります。
例えば、研修内容が「電話での苦情対処方法」であれば、3~5名ずつのグループに分かれ、1名が顧客役、1名が苦情対応係役を行い、他のメンバーが評価するといったことが行えます。

グループワークで必要なツール

オンライン研修でのグループワークで活用できるツールをご紹介します。必要なツールは大きく分けて、グループセッションできるweb会議ツールと、共同編集できるツールが必要となります。

①グループセッションができるweb会議ツール

ZoomミーティングやGoogle meet、Microsoft Teamsなどオンライン研修で使われるweb会議ツールには、「ブレイクアウトセッション(ルーム)」と呼ばれる機能がついています。グループ分けできる機能で、グループワークではこちらの機能を使用します。

グループは自動又は手動で分けることができます。手動の場合は、ミーティング(研修)を設定する際に事前にリストを作って、グループ分けの設定を行っておくと便利です。

また、これらのweb会議ツールには、資料共有と文字を書き込めるホワイトボード機能があるので、グループでのプレゼンや発表を行う場合には、そういった機能を使ってグループ内の意見をまとめることができます。

➁共同編集ツール

グループ内の意見をまとめたレポートやプレゼンテーションを作成する際には、Google WorkspaceMicrosoft365など複数名で共同編集できるツールが役立ちます。

Microsoft365は、ワードやエクセル、パワーポイントなどお馴染みのofficeソフトをオンライン上で使うことができます。

Google Workspaceも、Microsoft365と同じような内容となっており、編集権限を「リンクを知っている全員」に与えることで、特別なログインなしでだれでも簡単に共同編集できます。

③ブレインストーミングにおすすめツール

グループワークではよく「ブレインストーミング」(後述)という手法が用いられていますが、その場合は、みんなの意見を書いていくのに付箋などを使用していました。その付箋の感覚で使えるのが、「Miro」というツールです。フローチャートやマインドマップなど、120以上のテンプレートが用意されており、より高度なアウトプット作業が可能になります。

オンライン研修のグループワークの種類とおすすめテーマ

オンラインではどのようなグループワークを行うと盛り上がりやすいのでしょうか。
非対面でも盛り上がりやすく、おすすめのグループワークの種類とテーマを紹介します。

1.討論・プレゼン型

研修の中で行われるグループワークとして最もメジャーな形式です。グループ内で与えられた議題について議論し、レポートとしてまとめ、グループ代表者が発表します。
議題については完全に自由なタイプのものもありますし、複数の選択肢から選ぶタイプのものもあります。

【テーマ例】

  • 新商品のキャッチコピーを考える
  • 自社に取り入れたい新しいイベント
  • 新人研修で人材育成のために取り組むべき研修課題
  • 海外で自社の商品展開をするならどのエリアが良いか
  • 職場内での飲み会は行うべきかどうか

討論を通して人材育成をしたいのか、受講者同士のコミュニケーションを促したいのかで選ぶべきテーマは異なります。研修の目的や習得させたいスキルを考えて、テーマを選ぶとよいでしょう。

2.ロールプレイング型

「ロールプレイング」とはその名の通り、グループ内で数人が役割(ロール)を演じ(プレイング)、実際の現場で起きる問題に対応できるように対処法を学ぶことです。

集合型の研修でロールプレイングを行う場合、座席の移動や会場セッティングに手間がかかり、研修担当者にはかなりの負担がありました。しかし、オンラインの場合、配信ツール上でグループ分けをするだけなので物理的な準備が不要となります。

【テーマ例】

  • 来店した顧客の希望をヒアリングして適切な商品の提案する
  • クレーム客への謝罪対応
  • 電話応対練習
  • 上司と部下役の設定で退職希望者への面談

営業系の仕事の場合には、実際に起こりうるシチュエーションでロールプレイングを行えば、すぐに仕事で実践することができ有効です。

3.ブレインストーミング

ブレインストーミングも研修では定番のグループワークです。グループで意見を出し合って共有することで一人では思いつかないようなアイデアを早く効率的に出すことができます。

【テーマ例】

  • 100万円で会社の課題解決をするなら何に取り組むか
  • 社内の業務効率改善のための政策
  • 20代女子にヒットする新製品の商品名とコンセプト
  • 残業を減らすために今日からできる改善行動
  • ○○と言われると思い出す、楽しい記憶は?

仕事の中で役立つアイデアを出していくのもよいですし、お互いのことを知るきっかけとなるような日常的な話題を話し合うのもよいでしょう。
その日のメンバー構成や研修の内容に合わせてテーマを決めるとことで、さらに場が盛り上がり、その後の研修にも良い効果を生み出します。

4.ゲーム型

ゲーム型グループワークは、ゲーム感覚で楽しみながら取り組むことができるということで、最近注目を集めています。
内容がビジネスに関係するものでないものでも、受講者同士の仕事中とは異なる一面を知ることができたり、受講者の結束が固まったりするのがメリットです。また、チーム対抗にすることで、チームビルディングのスキルを身に付けることもできます。

【テーマ例】

・脱出ゲーム:ヒントをもとに皆で協力して出口を探して行く
・地図ゲーム:カードに書かれた情報をもとに地図を作っていく
・リモ謎:リモート謎解きの略で、チームで協力して謎解きを進める
・コンセンサスゲーム:チーム内で用意された品物の優先順位を話し合って決めていく
・ヒアリングゲーム:販売員役が質問をして客の求める商品を提案する営業疑似体験ゲーム

➡詳しくは「楽しくてためになる!ユニークな新人研修の最新事例11選

どのゲームも普段は集合型での研修で行われるものですが、オンライン上でも行うことができます。事前に道具を準備する必要があるので、必要なものはリストに書き出しておくとよいでしょう。オンライン研修用ゲームを販売している企業もあるので、そういったサービスを利用するのもおすすめです。

グループワークを活性化させるためのコツ

せっかく研修内でグループワークを行うなら、場が盛り上がり、効果のあるものにしたいと思うのは当然のことです。
しっかりと結果を出すためにはいくつかのコツがあります。

・受講者に対してツールの使い方を説明しておく
受講者の中にはweb会議ツールに慣れていない人がいる可能性があります。事前にツールの使い方を説明したマニュアルを作成し送付するか、又は研修前に接続テストを兼ねたリハーサルを行い、使い方をレクチャーするなどして、受講者にツールの使い方を周知させておくとよいでしょう。

・グループワークを始める前にはアイスブレイクを行う
オンラインでは受講者同士が距離感を感じやすく、すぐに議論を活性化させることは難しいです。そのため、グループワークを始める前にアイスブレイクとなる簡単なゲームや自己紹介の時間を設けて、場をあたためておく必要があります。

・書記やファシリテーターなど、役割を分担させておく
オンラインでは全員が発言しづらい環境にあります。そのため、皆に意見を振るファシリテーター(司会進行)役をつけると、全員が万遍なく発言でき、場を盛り上げることができます。
また、議事録をつける書記役、スライドを作成する役、時間を管理するタイムキーパー係、発表役など、グループワークで必要となる役をグループ内で決めさせることで、当日スムーズに進行できます。

・取り組みの内容についてはきちんとフィードバックを行う
集合型であってもオンラインでもあっても、重要なのが事後のフィードバックです。受講者からの研修レポートなどから評価を行い、目標に対して達成できた点、より頑張らなければならない点を受講者に伝えます。また、グループ内で今回のワークを振り返り、レポートにまとめさせ、発表する場を設けてもよいでしょう。

このように、グループワークの手法はさまざまです。講義のあいまにグループワークを取り入れるパターンが多く、講義で身に付けた知識をグループワークによってより体現化できるといった効果が得られます。オンライン研修の成果を最大限にするためにも、これを機にグループワークの導入を考えてみてはいかがでしょうか。


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