営業研修はなかなかうまくいかない、失敗するという声がよく聞かれます。では、失敗する原因はどこにあるのでしょうか?
本記事では、営業研修が失敗する理由と効果を高めるためのポイントやカリキュラム例についてご紹介します。

営業研修が失敗する理由

そもそも、営業研修が失敗してしまうのはなぜなのでしょうか。その理由について、4つのポイントから考えてみましょう。

目的が不明瞭である

営業研修が失敗してしまう最も大きな理由として、営業研修の目的や流れをはっきりさせず、必要なことだけを断片的に教えていることが挙げられます。確かに、必要なマナーやスキルを教えればそのことだけはできるようになるかもしれませんが、「なぜそのマナーが必要なのか」「どんな場面でそのスキルが発揮されるべきなのか」といった、学ぶ目的まで合わせて教えなければ、適切な場面でマナーやスキルを発揮できないこともありえます。

成功事例ばかりで、失敗事例を教えていない

営業の現場では、研修で想定されていなかったさまざまなトラブルがつきものです。そのトラブルを対処するには、失敗に屈しないレジリエンスが重要です。
しかし、通常の営業研修では、成功事例のみが求められます。しかも、その成功事例は、次の成功に結び付くとは限りません。営業現場では成功に至るまでさまざまな要素が組み合わさるため、臨機応変な対応も重要になってきます。
研修で成功事例ばかりを取り上げていると、逆に社員が失敗を恐れて次の行動に起こせない可能性も出てきます。
そのため、成功事例だけでなく失敗事例をあげながら研修することで、受講者自身が失敗をしたとしても「失敗はだれにでもあるもの」と気持ちに切り替えることができるようなります。また、社内に失敗事例を共有しやすい雰囲気ができるため、社内全体で失敗を教訓に活かすことにもつながります。

教育者が適任ではない

営業研修は社内の人間が教えることも多いと思いますが、良い営業プレイヤーであっても良い教育者ではない、というケースもあります。教える教育者は、論理的にスキルを教えることができ、かつ受講者のモチベーションを引き出せるような働きかけをする必要があります。社内講師を選ぶ場合には、そのあたりにも注意して選ぶ必要があります。

もし、社内で該当者がいない場合には、外部講師をあたってみてもよいでしょう。外部講師であれば、選択肢の幅が増え、さらに教育者としても熟練した講師が多いので、実績のある講師を選ぶことができます。

詰め込み型の研修になっている

営業研修、特に新入社員が対象の場合、入社して数週間〜数カ月の間に集中的に研修を受講します。しかし、受講者が学んだスキルを実践して振り返ったり、効果測定を行えていないところも多く、とかく知識重視の傾向に陥りがちです。

営業研修のように実践スキルに身につけたい場合ほど、研修後、必ず実践、振り返り・評価、改善のPDCAサイクルを回す必要が出てきます。受講者にそのスキルが身につくまで、振り返り、効果測定、フォローアップを行うとよいでしょう。

営業研修の効果を高めるためのポイント

では、次に、営業研修が失敗する理由から、営業研修の効果を高めるポイントを見ていきます。

目的を明確にする

営業研修を受ける前に、受講者に対して「ぜこの営業研修を受けるのか」という目的を明示するようにしましょう。営業研修の目的は最終的に個人や会社全体での業績アップですが、その最終目標のために営業研修がどう活かされてくるのか、受講者が全体の流れを理解してから研修に臨めば、研修のプログラムからより多くのことを、より効果的に学びやすくなるでしょう。

また、研修後の目標として、研修の目的に合いたした目標を設定しておき、自分の成果がどのくらい出たのかを各個人で確認することも重要です。

会社やチームごとに求められる営業研修の内容も異なりますので、自社にとってどんな内容が必要なのかもはっきりさせておきましょう。

適切な教育者を選任する

営業研修を成功させるためには、適切な教育者を選ぶことも重要です。研修の目的を達成するために十分なスキルを持っているかどうかはもちろん、受講者のやる気を引き出すことができるのか、わかりやすく教えているかなど、教師として良い人材であるかどうかをよく考慮しましょう。単に技術が高い、キャリアがあるなど表面的な部分を見るのではなく、研修参加者にどうなってほしいのかよく考え、目的に合った人材を選ぶのがおすすめです。

研修後は報告やロールプレイングを活用する

営業研修が終わったら、学んだ内容についてレポートや報告書を提出してもらったり、実践的なロールプレイングをしたりして反復学習することが重要です。営業研修の中にロールプレイングが組み込まれていることもありますが、やはり研修はインプットが中心です。上司や先輩社員と一緒にロールプレイングでアウトプットを行いながら、研修で学んだ交渉術や提案テクニックをしっかり身につけ、現場で活かせるようにトレーニングしていきましょう。

カリキュラムを適切に設定する

一口に営業研修と言っても、企業によって営業担当者に求めるスキルは異なります。そのため、カリキュラムを適切に設定しましょう。

例えば、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルはほとんどの営業担当者が必要とするところでしょう。マインドセットや事業内容は、営業研修でなく新人研修で学ぶところかもしれません。また、営業の前段階であるマーケティングに関する考え方を学んでおけば、マーケティングから営業につながる総合的な戦略を理解できるでしょう。

効果測定や振り返りをする

営業研修に限らず、研修はやって終わりではなく、効果測定や振り返りを行うことが重要です。例えば、企業視点で見れば各研修の費用対効果がどのくらいだったか、実際の業務においてどのように行動や姿勢が変化したか、業績にどの程度貢献したか、などがあります。

一方、社員視点から見れば研修に対する満足度、知識やスキルの理解度や習得度、モチベーションや意欲の向上などがあります。どちらの視点が欠けても良い研修とは言えません。

営業研修の内容、カリキュラム

ここでは、一般的な営業研修の内容やカリキュラムについて5つご紹介します。

基本のビジネスマナー

基本的な営業としてのビジネスマナーについて学びます。どの業種でもビジネスマナーは重要ですが、特に営業という印象が大切な職種においては、ビジネスマナーは最も基本的かつ重要なカリキュラムだといえるでしょう。どれだけプレゼンテーション力や交渉力を身につけていても、初対面で相手を不快にさせてしまったり、失礼な振る舞いがあったりすると営業はうまく行かないものです。

そこで、まずはビジネスパーソンとしての言葉遣いや名刺交換の仕方、商談のアポイントメントの取り方など、基本的なビジネスマナーを身につけます。ビジネスマナーの良さ、印象の良さが商談に良い影響を及ぼすこともありますので、しっかり身につけてもらいましょう。

提案力、プレゼンテーション力

営業では、提案力やプレゼンテーション力も必要となってきます。提案をする、というのは顧客のニーズや課題に対して自社の商品やサービスがどのように役立つかを示すもので、プレゼンテーションでは自社の商品やサービスの魅力をしっかり顧客に伝えて購入や契約に結びつけるというものです。

モノが売れない時代と呼ばれる現代、単に製品やサービスの説明をするだけではなかなか契約や購入に結びつかないことも多いものです。そのため、営業研修では聞き手の心を動かすための提案方法やパフォーマンス方法を学んだり、説得するための資料やスライドの使い方を学んだりします。

顧客のニーズや課題に合った商品やサービスを提案できることはもちろん、それをより魅力的に伝えられるプレゼンテーション力の両方が必要なのです。

交渉力

また、営業職の要とも言える、交渉力について学びます。交渉の場においては、友好的な関係を築き、また維持しながらも上手く話をすすめていくことが重要です。そのためには、交渉相手の価値観や立場が必ずしも自分とは同じでないことを念頭に置き、相手の立場や価値観を考慮しながら交渉していく力が求められます。

たとえ一つの契約が締結しても、取引先との関係が悪化してしまっては意味がありません。取引先とは良好な関係を保ちながら、より良い結果につなげていく必要があります。交渉力を身につけるためのカリキュラムでは、交渉の心構えから実践的なスキルまでを包括的に学びます。その場しのぎのスキルだけでなく、土台がしっかり築けた上での交渉力を身につけ、営業の現場で応用できるようにするとよいでしょう。

マーケティング

マーケティングは営業の前段階でもあり、営業も含めた概念でもあります。カリキュラムを設定する章でもご紹介しましたが、顧客の心を掴み、興味・関心を引いて購買意欲を高めるマーケティングから、実際に商談を行う営業までを一連の流れとして学ぶことで、カスタマージャーニー(顧客がその商品・サービスを知り契約・購入に至るまでのプロセス)などの考え方を有効に使えるでしょう。

営業研修でマーケティングについて学ぶ場合、分析ツールをどう活用するか、どのような分析手法があるか、分析結果を営業の現場でどう活かしていくかなどを中心に学びます。顧客が自社の製品を知ってから購買意欲が高まるまで、どのような過程を辿るのか知っておくことで、提案やプレゼンテーション、交渉にも説得力が生まれるでしょう。

ロールプレイング

営業研修では、最後に参加者同士でロールプレイを行い、実践に結びつけられるような下地を作ることもあります。交渉力や提案力、プレゼンテーション力をどれだけインプットしても、実際にそれらの力を上手にアウトプットできなくては意味がありません。そこで、ロールプレイングによってアウトプットを行い、改善点を見つけて、より良くブラッシュアップしていくことで、実際に提案や交渉に臨む際の力を磨いていくことが重要です。

SB研修担当おすすめの営業研修プランベスト5

ここでは、弊社の研修担当者が自信を持っておすすめする営業研修プラン5つをご紹介します。


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小森康充

営業力強化コンサルタント

全ての営業マンに捧げる 元P&G営業トップトレーナーの必勝成約術

営業利益を上げ続けるためには、商品ありきの営業手法から脱却し、コンサルティング型への営業手法変更が必須です。P&G営業本部にてトレーナー経験を持つ講師が、顧客との信頼関係の構築方法、説得的商談の方法など商談力を高めるためのノウハウを余すことなく紹介します。


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伊庭正康

ワクワクづくりコンサルタント (元 リクルート関連会社 代表)

【オンライン版】超効率的に結果を出す!リモート営業の基本

コロナ禍が拡大した2020年3月以降、営業の手法は歴史的な転換点を迎えています。「会うこと」を前提した営業では行き詰まり、成果を出せないのが現状です。本講演ではそのような時代にどのような営業をすればいいのか、セオリー、テクニックを解説、紹介します。


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浦上俊司

売れる営業マン育成講師

困っても困らない営業ノウハウ

飛び込み営業一筋で、リクルートブックなどさまざまな業種でトップの成績を出してきた講師がトップ営業マンの極意と実践方法をお教えします。売れる営業マンになるためのマインド(心構え)とスキル(売る技術)を体験的に学んでいきます。


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松田浩一

俳優式コミュニケーション・アドバイザー

営業研修 ~営業マン育成のプロが伝授するこれからの時代に必要な営業スキル ~

これからの営業マンには、「対人スキル」が不可欠です。しかし、この「対人スキル」を、知識や理屈で学んでも何の役にも立ちません。実際の現場で使えるために、元俳優でトップセールスマンという異色の経歴を持つ講師が、対人スキルを高める方法を実践的かつ具体的ににお教えします。


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飯田剛弘

一般社団法人中小企業AI活用協会代表理事 ビジネスファイターズ合同会社CEO

インバウンド営業 & マーケティングのすすめ

多くのお客さまが課題を解決するために自らの手で欲しい情報を検索し、評価するようになりました。従来通りの販促のやり方が通用しなくなっている「今」、注目されているのがインバウンド手法です。このインバウンド手法の考え方と実践方法をわかりやすく解説します。


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