キャリア研修は、自社の社員が将来の仕事においてなりたい自分をイメージして、それを実現するために必要なスキルや技術・知識を明確にする研修です。
個を重んじる時代になり、働き方も変化してきています。キャリア研修を実施する企業も増えており、自立した人材の育成に取り組む傾向が目立っています。
この記事では、キャリア研修の必要性、混同しやすい語句との違い、世代別キャリア研修のおすすめプランなどを紹介します。
キャリア研修はなぜ必要? 解決すべき組織と社員とのギャップ
まずはキャリア研修がなぜ今必要なのかを、キャリアに関する基礎知識や、実施状況の実態などから探っていきましょう。
キャリアデザイン、キャリアプラン、キャリアパスの違い
「キャリアデザイン」は社員自身が主体的に将来を考えるもので、職業選択だけでなく働き方も含め「なりたい自分を実現するために計画を立てること」を表します。
これに対し「キャリアプラン」は、社員自身が理想とする職歴を計画するものであり、本人が「職業の経歴をどう積み上げていくか」にスポットを当てて考えます。
一方「キャリアパス」は、企業が社員に対して求めたり提示したりするものです。「社内で目指す職位を実現するための道しるべ」ともいえるでしょう。
これら3つのフレーズにはそれぞれ、職業に限定するものとそうでないもの、社員自身が主体で考えるものと企業と共に考えるもの、という違いがあります。
キャリア研修への企業ニーズが高まる背景
近年、キャリア研修を実施する企業が増えています。その背景にある現象として「雇用や賃金制度の変化」と、それに伴い「企業が主体的に働く人材の確保・育成に励む傾向」が挙げられます。
現在は成果を重視する企業が増え、年功序列や終身雇用制度が崩壊しつつある状態です。
従来の日本企業は、終身雇用制であり、年次が上がるにつれ社員が昇給・昇格できる仕組みをとっていました。しかし、現在では、成果主義が浸透し、キャリア計画や成長の仕方を社員自ら考えて行動することの価値が増してきたのです。
キャリア研修の実態
『日本の人事部』編集部がまとめた『日本の人事部 人事白書 2021』によると、企業会員のうち「キャリア研修を実施している」と回答した企業は、34.7%でした。さらに「今後実施する予定」「実施を検討中」を含めると、約8割に近い企業が、キャリア研修に関心を寄せていることが判明しています。
これに対し社員側の意識はどうでしょうか。HR総研の「人的資本価値の最大化に向けたキャリア自律の課題」に関するアンケートによれば、「社内でのキャリア自律に前向きな社員の割合」が「1〜2割」と答えた企業が最多で、企業規模に関わらず半数以上の企業では3割以下という結果が報告されました。
このことからも、企業のキャリア開発への関心の高まりに対し、社員の意識がまだまだ追いついていないことが分かります。自律型社員を育成するためにも、企業が積極的にキャリア研修を実施し、社員の意識改革をしていく必要があります。
若手・中堅・シニア…年代別キャリア研修の内容とおすすめの研修プラン
キャリア研修は、社員の階層や年代によって適切なプログラムを選びましょう。ここでは年代別に分けて内容とおすすめプランを紹介します。
20代向けキャリア研修
新卒入社から入社数年目にあたる20代は社会人としての基礎を形成する時期です。就職活動時のイメージと入社後の現実とのギャップに悩み、停滞してしまう人もいるかもしれません。
まずはキャリアとはどういうもので、なぜ自分で描くことが大切なのかということへの理解が第一段階です。その上で、将来に向けて主体的にキャリアを意識することが重要です。
具体的な計画を立てる手法としては、業務のなかで「求められることややるべきこと(Must)」と「できること(Can)」、「やりたいこと(Will)」を3つに整理して考えるフレームワークも有効です。
おすすめの研修プラン
【ビジネスパーソン向け】藤堂高虎に学ぶキャリアアップ術
元高校歴史教師で経営者でもある大中尚一氏が、これからの時代にあった「キャリアアップ」のコツを伝える研修プラン。戦国時代を生き抜き大名となった武将・藤堂高虎を例に、生き方・働き方など歴史的な視点を交えながら解説します。
【99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ】
~キャリアは自分でつくるもの~
電通、日本IBMなどで実績を積み上げてきた河野栄太郎氏による研修プラン。ビジネス書大賞書店賞を受賞した著書『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』をもとに、キャリアを築くための心の持ち方などを伝授します。
資格とるばか、とらぬばか
~就職・転職に資格取得は役立つか!?~
自ら120以上資格を持ち、合格者などを多数取材してきた新福保隆氏による、資格をテーマにした研修プランです。就職・転職に資格取得は有利なのか、成功事例・失敗事例を具体的に提示しながら、資格についての常識をレクチャーします。
ビジネスマンのキャリア開発
認定心理士で産業カウンセラーでもある野田雅士氏の研修では、自己分析から始まり、自分自身の「強み」の発見や、その強化方法など、スキル向上するための方法を伝授。強みをどよのうに仕事に活かすかなどのノウハウも伝えます。
20代でできると言われる人の成功法則
~なぜあの人に仕事と人が集まるのか~
本研修では、多数の企業の人材育成プログラムの開発に携わってきた服部秀彦氏が、20代のうちに身につけておきたい仕事や生き方のポイントをわかりやすく伝授。体験型のセミナーで、楽しみながらいい仕事をするコツを学べます。
変革時代のキャリア戦略
~必要とされる人材になるために~
転職エージェントとして、幅広い企業に対する採用支援サポートなど手がけてきた森本千賀子氏が、必要とされる人材になるための方法を伝授するプラン。戦略的にキャリアを構築する考え方をワークを用いながらわかりやすく解説します。
30代向けキャリア研修
30代は、仕事で成果や実績を重ねて、知識や経験値も増えてくる年代です。私生活での変化が仕事に影響したり、同期が先に昇進して焦りを感じたりすることもあるでしょう。
主任やリーダーといった役割を担うことへの精神的負荷や、後輩の育成・上司と若手との調整などに戸惑う社員も少なくありません。
こうした課題を乗り越えていくために、強みや独自性を把握し、今後チーム内でそれをどう役立てていけるかについて考えることが重要です。
研修では、10年にわたり重ねてきたキャリアの棚卸しを行うとともに、自身と組織との双方を発展させていく視点を学びます。
おすすめの研修プラン
令和時代のキャリア&ライフデザイン
9万人以上の共働きカップルの対話支援をしてきた講師が「共働きでキャリア形成するための大切なポイント」を伝授。キャリアの棚卸しや、不安の洗い出しなどのワークショップを通じて、主体的に道を切り開く大切さを学べます。
新人・中堅・主任・係長のための「キャリアデザイン研修」
一部上場企業で15年以上人材育成などに従事してきた、社会保険労務士でもある岩崎裕也氏が行うキャリアデザイン研修。心理学的なワークなどを通して、現時点の強みや価値観を明確にし、モチベーションを高める方法を伝授します。
キャリアデベロップメント研修 よりよく働くための5つのコツ
28万部超のベストセラーとなった『不機嫌な職場』の著者河合太介氏による「キャリアの節目研修」。講義だけではなく、人生のモチベーションマップを作成するなどのワークも織り交ぜながら、よりよく働くためのコツを伝授。
はたらくも、暮らしも、あきらめない。キャリアデザインセミナー
~時代の変わり目だからこそ、のキャリアの築き方~
本研修では、キャリアコンサルタントの資格を持つ堀田真奈氏が、自身の育児と仕事の両立の経験ををもとにしたキャリアデザインのイロハを解説。自分の周り、世の中の変化を理解した上で、キャリア形成の考え方を伝授します。
MBA流キャリアアップ術!
ダメな営業マンから30代で上場企業の取締役になった秘訣
経営コンサルタント・渡邊将志氏の研修では、人生を充実させるために必要なキャリアプランを作成するコツを伝授。MBAで学ぶ理論と事例をベースに、講義では正しい知識を、ワークでは目標達成のために必要なスキルが習得できます。
<学び直し×キャリア>社会人のための学び直しセミナー
長年マイナビに務め、現在も同社の採用・求人コンサルタントとして活躍する綿貫哲也氏による「学び直し」セミナー。なぜ、学び直しが必要なのかをデータを元に解説するほか、自身の経験を踏まえた実践法と無駄にしないコツを伝授します。
40代向けキャリア研修
40代は、組織の中核人材です。一方、管理職と非管理職などの立場により意欲の差が広がったり、成長意志を失う人が現れたりするかもしれません。
役職に関わらず、組織に期待されている人材であることを自覚した上で、今後の数十年をどうしたいか、そして現時点では何に取り組むべきかを明確化することが必要です。
職場での評価を正しく把握するため、360度評価などを用いて研修に活用するのも良いでしょう。また、50代以降に訪れる生活・健康などの変化を予測し、それに備えておく視点も忘れてはいけません。
おすすめの研修プラン
40代をどう生きる
フリーアナウンサーで、シニア産業カウンセラーでもある梶原しげる氏による、40代の人生設計についてを考える研修プラン。キャリアカウンセリングに詳しい講師が、希望と悩みが交錯するサバイバル世代の考え方、対処法を伝授します。
50歳で人生やっと40パーセント
~円の人生。これからが本番~
元ワコール取締役・監査役で、経営コンサルタントでもある加藤道彦氏による研修プラン。人生後半期の50歳を迎える前に知っておきたい「人生を円で考える」方法や、長期人生計画を再設計するポイントなどを学べます。
キャリア形成から考えるワークライフバランス
キャリアコンサルタント柴田登子氏による、ワークライフバランスを保つための方法が学べる研修プラン。講義だけではなく、過去現在未来の人生を見つめる「ライフラインチャート」の作成などを通し人生設計の方法を伝授します。
40代キャリア開発研修「ディスカバーリング40」
~悩める40代の内なるパワーを解き放つ!~
様々な企業をV字回復させてきた千代鶴直愛氏による、40代のためのキャリア開発研修。プログラムでは、自己分析からはじまり、ビジョン構築、ロードマップ作成などを行い、個々の「内なるパワー」を引き出す方法を伝授します。
ハッピーキャリアの築き方
受講者数10万人越の企業研修講師、正岡紀子氏による研修プラン。徹底的なビジネスマナーの習得や、プラスサイクルの引き寄せ方などを学びながら、自分自身の仕事に誇りを持ち、楽しく仕事をするためのコツを伝授します。
~人づくり革命~40代のためのワーク&ライフキャリアUPセミ
キャリアコンサルタントでもある吉田真知子氏によるキャリアアップセミナー。40代ビジネスパーソンが更なる活躍と組織貢献のために何が必要なのか、キャリアの舵取りの重要性を学びながらモチベーションを再構築できる研修プランです。
50代向けキャリア研修
50代は、後半になると役職定年を迎える年代です。「納得のいく役職定年または定年退職を迎えるために、明日からどのように仕事に取り組むべきか」をテーマに、改めてこれまでの自分のキャリアを振り返り、組織内での役割を考える段階です。
例えば、役職定年となった後でもチームワーク向上に貢献できる「支援型リーダーシップ」の手法を学ぶのも一案です。定年退職後のセカンドキャリアや、再雇用についてもビジョンを固めていきましょう。
健康や家庭の予期せぬ事態への備えなども含め、広い目線でキャリアを考えます。
おすすめの研修プラン
楽しい人生を過ごす
50歳から楽しく生きる!
シニア産業カウンセラーでもある梶原しげる氏による楽しい人生を過ごすためのプログラム。自らも50歳で大学院に入学、それを機にベストセラー作家になった講師が、実例を挙げながら、実践的な解決策を提案する研修プランです。
自分のセカンドキャリアをデザインする
《「社会とのつながり」が「心身の健康寿命」を引き延ばす》
元トヨタ自動車人事部で研修育成を担当していた片木慎一氏が「セカンドキャリア」を充実させるための方法を伝授。1日研修を通して、「自分の行動習慣」などを棚卸しし、どのように磨いていくかを、実習を取り入れながら伝授します。
日本の近未来予測と50代から定年前のキャリア研修『シニア層のキャリアデザインが、これからの企業発展のカギ
公的機関にて約7800人以上の就職支援・職業相談を行ってきた坂口凛氏によるキャリア理論に基づく50代からのキャリア研修。「人生100年時代」を生きる個人に向けた、定年後のシニアライフを視野に入れたキャリア設計などを伝授。
成果主義は怖くない
「仕事人生」を幸せにするキャリア創造
慶應義塾大学SFC研究所上席所員で、「組織ビジョンなくして成果主義なし」と訴える高橋俊介氏による研修プラン。「成果主義」の本質について学びながら、自分自身のキャリアを築いていくための方法を伝授します。
Jリーガー専属キャリアアドバイザーから学ぶ
「ビジネスマンに必要なキャリアサバイバルの極意」
Jリーガーなどのキャリアカウンセリングを長年行ってきた八田茂氏による研修プラン。サッカー選手から新たな業界に転職しなくてはならない選手のキャリアサバイバルに取り組んだノウハウを交えて、ビジネスマンに必要な対処方法を伝授。
40~50代組合員向け キャリア形成支援研修
自律型人材開発プロデューサー服部裕子氏による定年退職前層向けのキャリア形成支援研修プラン。講義を交えながら、自分自身のキャリアを振り返り、個人ワークなどでキャリアデザインに必要な考え方やスキルを伝授します。
60代向けキャリア研修(退職前研修)
2025年4月から、すべての企業において定年年齢を「65歳」とすることが義務化されます。
60代の社員は、定年退職を目前に控えています。定年を迎える日まで「目の前の仕事を無難にこなす」スタイルの社員が、過去には多くいたかもしれません。しかし現代では、シニア社員であっても、もっと主体的に働くことを求められます。
60代のキャリア研修では、「定年まで」と「定年した後」の両方にフォーカスして、キャリアの振り返りと、今後やりたいことや譲れない価値観などを整理します。
また、シニア社員の活躍事例を学んだり、環境の異なる同世代と話し合ったりするのも、具体的な行動計画を立てる際のヒントにつながります。
おすすめの研修プラン
セカンドライフに備えろ
熟年向けライフプランの勧め
国際経営コンサルタントで、作家・翻訳家の顔も持つ植山周一郎氏が、セカンドライフに向けたプランの立て方を伝授。何歳まで仕事をするか、退職後のマネープランはどうするかなど、理想のセカンドライフを実現させるヒントを提供します。
~人生は後半戦が勝負!~
定年後をどう過ごすか?
25万部を超えるヒット作『定年後』の著者で、キャリアコンサルタントの楠木新氏の研修プラン。退職を前に知っておきたい社内人間関係の距離の取り方、副業のすすめ、定年後の居場所の見つけ方など、明日から役立つ方法を伝授します。
人生100年時代、生涯活躍セミナー
「シニア向け 新自己PR書作成 ~履歴書だけでは伝わらない溢れる魅力と人柄の「見える化」~」
(2.5時間~3時間)
定年後の就業や起業を考えている方に向けた坂口凛氏による研修プラン。自分らしい人生のキャリアデザインの方法や、新技術の活用方法の伝授や、履歴書だけでは伝わらない自身の魅力と人柄を見える化した自己PR書をワークで作成します。
輝くセカンドライフに向けて ~いま考えておきたいこと~
元読売テレビアナウンサーの羽川英樹氏による研修プラン。仕事を通して出会った輝くシニアたちの実例を参考に、5つの生き方を提案。また、コミュニケーションをうまくとる極意など、セカンドキャリアに役立つスキルも伝授します。
退職前講習会「シニアエイジの能力開発と生きがいづくり」
キャリアコンサルタントの資格を持つ宮崎冴子氏による、定年退職前の方へ向けたプログラム。退職後、シニアエイジになっても、能力は開発の仕方により生涯発達して自己実現ができることを実例をもとに伝授します。
実り多い豊かな人生 私は創造的でありたい。
~人生100年時代を生きるということについて~
80歳でゲームアプリを作り、AppleのCEOから、アメリカのシリコンバレーでの「世界開発者会議」に招待された若宮正子氏による研修プロラン。人生100年時代を生きるために必要な、“つながる力”などについて学べます。
4ステップで進めるキャリア研修のプログラム
キャリア研修を設計するのに、プログラム内容をどのように決めるべきか戸惑う企業もあるのではないでしょうか。一例として、4段階で展開するプログラムについて解説していきます。
Step1.自己分析・自己理解
まずは社員自身が自分を知り、理解することが必要です。
受講者は、これまでのキャリアを振り返り、社会人生活において、他の人より自信が持てる部分は何か(強み)、苦手や経験不足を感じる部分は何か(弱み)、そもそも自分にとって「働く」とはどういうことか(価値観)などを明確にします。
この段階で、人には言いにくい本音や後ろ向きな内容があったとしても、嘘をついたりいい要素ばかり集めたりするのではなく、正直かつ客観的に洗い出して向き合えるように、講師や研修担当者がサポートします。
Step2.キャリアプランニング
次のプロセスは、キャリアプランニングです。社員が将来やりたいことや進みたい方向性のイメージを、より具体化させるステップです。
このステップでは、受講者が社会人になってからの経験を振り返り、仕事内容や実績、成果などを整理するスキルの棚卸を行います。そして「Will」=自分のしたいこと、「Can」=強み、「Must」=組織での役割の3つについてじっくり考えてもらい、これらを今の仕事に当てはめ、整理できるように支援します。
その上で上司が期待していることや求める役割を本人に伝えると、より具体的な行動につなげることができるでしょう。
Step3.身に付けるべきスキルの発見・認識
Step2までで明確になった「なりたい自分像」の実現のために、社員自ら、現在不足しているスキルや、これから習得すべきスキルを定めます。
このとき、上司がフィードバックやアドバイスをすると効果的です。
Step4.行動目標への落とし込み
社員が目指す方向性とスキルを明確にした後は、それを実現するためにはどう行動してこれらを獲得すれば良いか、目標を立てます。
例えば「40歳までに部長になりたい」というプランを立てた場合、目標とする年齢から逆算して、「30歳までに業務の専門性を高める資格を取得して主任になり、30代はリーダーシップやマネジメントスキルを磨く、といった計画に落とし込むのです。
またキャリア研修は、1回きりで終わらせず、定期的に行うことも大切です。研修後に受講者にどれだけの変化があったかを定期的に確認でき、その結果を受けての軌道修正もしやすくなります。
キャリア研修実施で期待できる効果
最後に改めて、キャリア研修の企業と社員の双方にとってのメリットを再確認します。主なものを以下に4つ紹介しましょう。
効果①キャリアとスキル開発の方向性の明確化
はじめに、社員のキャリアとスキル開発の方向性を明確にできる点が挙げられます。
社員がキャリアについて漠然としかイメージしか持ってなかった場合、それが不安や焦燥感を募らせる原因になってしまい、業務へのモチベーションにも影響します。しかし、キャリア研修を受講してキャリアについて正しい知識を得ることにより、自らの自信回復にもつながり、前向きに仕事に取り組めるようになります。
またスキル開発を、社員個人が単独で考えて実践しようとすると、多くの試行錯誤が想定されます。その点、企業から専門的プログラムの利用機会を提供したほうが、社員自身も効率的に進められるという利点があるのです。
効果②ワークライフバランスの改善
キャリア研修は、仕事に関する目標設定の場であるだけでなく、個人の生き方や価値観に向き合う機会でもあります。
中でも仕事とプライベートのバランスは、社員一人ひとり、理想的な状態が異なります。それを勘案した上で、仕事に対するビジョンを明確にできるようになるでしょう。
キャリア研修によって、おのおのの人生や各ライフステージの中で物事の優先順位が定まり、生活にメリハリが出て、結果的にワークライフバランスの改善につながります。
効果③自己理解に基づくモチベーションアップ
キャリア研修で、社員がこれまで自身では気づかなかった自分の特性や強みに気づくケースも少なくありません。
また、上司や組織から与えられるのではなく、社員自ら考え抜いて目標設定したことで、業務に臨む姿勢に主体性が増す効果も期待できます。細分化したゴールを達成できれば、その先にもチャレンジしたいという好循環が生まれ、モチベーションアップをもたらす効果も生まれるでしょう。
効果④組織へのエンゲージメント向上
キャリア研修は、企業が社員のキャリアを支援しようという姿勢の現れです。
研修によって社員は、組織の中での役割や目標を再認識します。さらに「社会人として、人間としての成長機会を提供してもらえた」という印象が残るでしょう。その結果、企業に対する信頼感やエンゲージメントを向上させることができます。
またこうした姿勢は、転職理由として「能力が活かせない」「成長実感が得られない」などの声が聞かれる今、定着率の向上にも役立ちます。
このようにキャリア研修は、企業と社員の双方にとって大きなメリットがあります。多様な生き方や働き方を重んじる時代だからこそ、自律的な人材を育成する足がかりとして、実施する価値があるといえるでしょう。
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