
講師の皆さまの独自性や魅力をご紹介する「講師のヨコガオ」。
今回は、元陸上自衛隊幹部で異例の抜擢や昇格を叶えてきた、経営者の有薗光代さんにお話を伺いました。稀有な経験の中で軸となった「自ら判断し、主体的に行動できるようになるセルフスターター思考」の原点が伺える内容となっています。
高校卒業後、防衛大学不合格。上官の靴磨きから自衛隊キャリアを開始。幹部の登竜門・指揮幕僚課程に一発合格し、米陸軍工兵学校に日本人女性として初めて留学。国連PKOや災害派遣、指揮官、統合幕僚監部を経て退官。セルフスターター思考を軸に、女性・平和・安全保障を主題に講演。
――これまでの人生の中での転機、そこから得られた気づきなどをお聞かせください。
有薗 私は高卒で陸上自衛隊に入り、最下級から幹部へと昇任しました。その後、日本人女性として初めて、選抜制の米陸軍工兵学校へ留学する機会を得ました。そこで突きつけられた言葉が、人生の大きな転機になりました。
「命令を待つ者は、次の瞬間には生きていない」
急速に状況が変わる現場では、自ら判断し、行動しなければ生き残れないという意味です。当時の私は、組織の中で波風を立てず、与えられた役割をこなすことが正しいと信じかけていました。だからこそ、その言葉は私にとって「生き方そのもの」を問う一撃となったのです。また、中堅として働く中での妊娠・出産も、自分の在り方を見つめ直す契機となりました。
そのとき初めて「置かれた場所で、自分の役割を自分で定義する」と腹をくくりました。
「工兵」とは、仲間が前進するための道を拓く部隊です。
地雷を除去し、障害を排し、橋を架け、突破口をつくる“戦うドカタ”。
日本では“縁の下の力持ち”とされますが、米陸軍では「全軍をリードする存在」と自らを定義していました。この発想の転換から得た気づきは明確でした。
環境や肩書きが人を動かすのではない。
自分の命の使い方を、自分で引き受けた瞬間に、人は動き出す。
それ以来、私は「待つ側」ではなく、「選び取る側」でありたいと決めました。
――講演活動において大切にされていることをお聞かせください。
有薗 私が講演で大切にしているのは、「正解を提示すること」よりも「問いを届けること」です。100人いれば、100通りの答えがあります。
だからこそ、一方的に解決策を示すのではなく、聴講者の方に問いかけ、自ら考えていただく時間を大切にしています。
答えは、外側にあるのではなく、その人の内側にあります。
私は、自分の経験や葛藤を共有しながら、参加者が自分自身の答えに気づくための場をつくりたいと考えています。
答えを与える人ではなく、指揮棒を手渡す人でありたい。
それが、私の講演活動における信念です。
――ご自身の講演の特長や強みをお聞かせください。
有薗 私の講演の強みは、極限の現場で積み重ねた判断と行動の経験を、参加者それぞれの立場に応じた「実践の視点」へと落とし込めることです。
自衛隊、米陸軍、国連PKO、災害現場など、「迷いながらも決め続ける」環境を歩んできました。そこで学んだのは、正解を探す力ではなく、不確実な状況で自ら考え、行動する力です。
講演では、体験談を語るだけで終わらせません。現場で再現できる思考の枠組みや任せ方の工夫などを整理し、具体的な行動へとつなげます。
また、一方通行の講義ではなく、問いや余白を通じて、参加者自身が自分の現場に引き寄せて考えられる構成を大切にしています。
心が動き、自分で決めてみようと思えること。
それが、私の講演の特長です。
――講演や研修を検討されている主催者様へメッセージをお願いします。
有薗 組織を変えるのは、大きな制度や強い号令ではなく、その場にいる一人の「決断」かもしれません。私は、参加者の方がそれぞれの持ち場で、家庭で、職場で、静かに一歩を踏み出し、生きがいと誇りを取り戻していく。そのための視点と余白をお届けしたいと考えています。
正解を押しつけるのではなく、考える時間を大切にする講演を心がけています。
必要とされる場がありましたら、その現場に合った形で、誠実にお届けいたします。
お目にかかれる機会がありましたら幸いです。

▲PKO隊員へWPS講話を行う有薗さん。「多様な声を尊重し自ら動くことが組織を強くする」と伝える(画像:ご本人提供)

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