
少子高齢化が進む現代、多くの企業で「シニア社員の活躍」や「年上部下との関係性」などの課題が生まれています。
今回は、産業ジェロントロジー(加齢学)の実務的研究者の﨑山みゆきさんにお話を伺いました。﨑山さんは、心不全から、病気と仕事の両立の難しさや、できたことができなくなる混乱もご経験されています。
中高年社員の意欲を引き出し、組織の活力を高める考え方とは?シニア社員活用を考える経営者の方々やジェネレーションギャップに悩む管理職にぜひご一読いただきたい内容です。
中高年人材マネジメントの専門家。産業ジェロントロジー(加齢学)に基づき、従来のマネジメントでは難しい「年上部下」の戦力化や「年下上司」の指導法を体系化。東京都の事業で1200名超のキャリア支援をする。病気を機に、病気と仕事の両立支援にも注力。著書に『シニア人材マネジメントの教科書』など。
――「シニア人材マネジメント」というテーマで講演をされているようですが、具体的にどのようなノウハウをご紹介されているのでしょうか。
﨑山 加齢に伴う身体や認知機能の変化を科学的にわかりやすくお伝えしながら、中高年社員の力を引き出す「シニア人材マネジメント」の理論と実践方法をご紹介しています。
シニア人材マネジメントでは、年齢を重ねることで低下する能力だけに目を向けるのではなく、「結晶性知能」に代表される、豊かな経験を活かす能力や判断力など、シニアならではの強みに着目することが重要です。
「年上部下」と「年下上司」の円滑で活力ある関係づくりや、ベテラン社員のモチベーションを高める具体策を解説しており、聴講者からは「明日から職場で試してみたい」「年齢に対する見方が変わった」との声を数多くいただいています。
―― 崎山さんがお伝えしているシニア人材マネジメントは再現性の高いメソッドとしても評判のようですね。このメソッドは、どのような背景から生まれたのですか?
﨑山 25年以上にわたる産業ジェロントロジー(加齢学)の研究と、30年以上の現場視察の中で培ってきたものです。産業ジェロントロジーとは、加齢学研究をシニア人材マネジメントに生かすものです。私は、企業や自治体で多くの中高年の方々と関わる中で、「年齢を重ねても人は成長できる」という事実を数多く見てきました。
また私自身、50代半ばで心不全を患い内部障害者となり、できたことができなくなった…仕事を続けられるのかという大きな不安を抱えた経験があります。一年半かかりましたが、復帰しました。だからこそ、年齢や健康状態に関係なく、人が持つ力を信じ、それを活かす方法をリアルな視点で伝え続けています。
――この学びを得ることで、組織や個人にはどのような成長が期待できますか?
﨑山 少子高齢化が進む中、多くの職場で「年上部下との関係づくり」や「シニア社員の活躍」が課題になっています。年齢による特性を正しく理解し、一人ひとりの強みを活かす視点を身に着けることで、世代間の「違い」を不和の原因にするのではなく、互いの強みを認め、引き出し合う強固な基盤が生まれます。ベテランの経験と若手の活力を融合させ、組織の持続的な成長へと導きます。
また、マネジメント層だけでなくシニア社員自身にとっても、自分の将来の働き方や生き方を前向きに考えられるようになり、年齢を重ねることへの不安を希望へと変えるきっかけとなっているようです。
――講演を通じて、どのような世の中を目指していきたいですか?
﨑山 私は、少子高齢化を「問題」として捉えるのではなく、高齢者が経験や知恵を活かして活躍できる日本の「大きな可能性」と捉えています。そのため、講演を続けることで、次世代に豊かで活力ある高齢社会を実現できると考えています。
人生100年時代を迎え、「定年」が死語になる時代はすぐそこまで来ています。年齢によって役割を失うのではなく、年齢を重ねるほどに自身の価値を発揮できる社会へ。世代を超えて学び合い、支え合いながら、一人ひとりが生きがいと働きがいを持てる社会を実現することが私の願いです。
――講演や研修を検討されている主催者様へメッセージをお願いします。
﨑山 シニア人材の活用は、人手不足対策でも福祉施策でもありません。企業の未来を支える重要な経営課題です。私は30年以上にわたり企業・自治体の現場に寄り添いながら、産業ジェロントロジーの知見を実践へとつなげてきました。
講演では制度や理論の解説だけでなく、受講者が「なるほど」「やってみよう」と感じられる具体的な事例を大切にしています。定年が死語になる時代に向けて、年齢に関係なく誰もが力を発揮できる組織づくりを、一緒に考えてみませんか。皆様との出会いを心より楽しみにしております。
【結びに代えて ―― 﨑山氏の信条】
年齢は衰えの証ではなく、人生の歴史である。
年をとってもいいんじゃないの?
経験が知恵に変わるのだから。
しわが出来てもいいんじゃないの?
自分の歴史なんだから。
人は生涯発達し、社会に貢献すると信じています。

▲「エイジズム」について語る﨑山さん(画像:﨑山さん提供)

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