
生後10か月で10万人に1人という難病を発症し、大きな逆境を乗り越えて全国初の重度障害者による会社設立を果たした佐藤仙務さん。
「寝たきり社長」としても知られる佐藤さんに、できない理由ではなくできる方法を探し出し、ICTの活用や発想の転換によって誰もが可能性を発揮できる組織・社会を創るためのヒントについてお話を伺いました。
生後10ヶ月で脊髄性筋萎縮症と診断されるも、19歳で起業。「寝たきり社長」としてメディアで注目される。経営管理修士(SBI大学院大学)。わずかに動く指先や視線入力装置を活用し、社長業、コラムニスト、パーソナリティ、大学教員、SNS発信など、多岐にわたり活動中。著書『寝たきり社長の上を向いて』他。
――佐藤さんは現在「寝たきり社長」という肩書で活躍されていますが、これまでの歩みと会社設立に至ったきっかけを教えてください。
佐藤 私は生後10か月の時に脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断され、現在は全身で動かせるのがわずかな指先だけという難病を抱えています。さまざまな苦難はありましたが、普通に接してくれる家族のおかげで、何とか前向きに生きてこれました。
ところが、高校卒業時に大きな挫折を経験しました。重度の障害があることを理由に就職先が見つからなかったのです。
しかしそこで諦めるのではなく、「働く場所がないのなら、自分で創ればいい」と決意し、19歳で会社を設立しました。重度障害者による会社設立は全国で初めて実現されたものでした。その後も経営を続けながら、SBI大学院大学で経営管理修士(MBA)も取得し、ビジネスの最前線に立ち続けています。
――壮絶な経験の中の挑戦。会社経営を続ける中で、どのような気づきがありましたか。
佐藤 経営を続ける中で得た最大の気づきは、「環境さえ整えれば、障害はハンデではなく武器になる」ということです。私は現在、視線入力装置やICT、DXを駆使して遠隔での会社経営やテレワーク、障害者雇用支援を実践しています。
私の人生を支えてきたのは、「できない理由を探すより、できる方法を探す」という言葉です。どんなに厳しい壁にぶつかっても、この考え方を持っていれば人生を大きく変えることができます。寝たきりの私だからこそ体現できているDXの実践例や組織づくりのノウハウは、多くの企業にとっても大きなヒントになると確信しています。
――講演活動を行う上で、特に大切にされている信念やモットーをお聞かせください。
佐藤 最も大切にしているのは、「一人ひとりに、新しい選択肢を届けること」です。「寝たきりでも社長になれる」という私自身の生き方が、聴講者の皆様にとって新しい可能性になればと願っています。単に「感動した」だけで終わる講演ではなく、「自分にもできることがある」「明日から一歩踏み出してみよう」と、具体的な行動につながるような時間を目指しています。
私の信念は「上を向いていれば道は開ける」というものです。どんな逆境にあっても、考え方と環境を変えれば、未来は必ず変えられます。
――佐藤さんの講演における特徴や強みはどんなところでしょうか?
佐藤 一番の強みは、やはり「圧倒的な実体験」に基づいている点です。全国初の重度障害者による会社設立という、私にしか語れない経験だからこそ、机上の理論ではない強い説得力があります。
また、挑戦や夢、リーダーシップ、働き方改革、ダイバーシティ・インクルージョン、障害者雇用、ICT・DX、共生社会、キャリア教育など、企業・自治体・学校・大学・医療福祉分野まで幅広いテーマに対応しているのも特長です。視線入力装置を活用した働き方など、具体的な実践例を交えてリアルにお話しいたします。
――最後に、講演を通じてどのような気づきや変化を社会に届けたいですか?
佐藤 「自分にはまだ可能性がある」という気づき、逆境を強みに変える発想、そして一歩を踏み出す勇気です。特に、いま壁にぶつかっている方、自分の限界を感じている方、人材育成やダイバーシティに取り組む企業・管理職の皆様に対して、「環境を変えれば、人はもっと輝ける」という希望と多様性を活かす組織づくりのヒントを届けたいです。講演後、「明日から少し行動を変えてみよう」と思っていただけることが、私にとって何よりの喜びです。

▲佐藤さんの講演風景(画像:佐藤さん提供)

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