コロナ禍で、マスク着用が一般的となったニューノーマルの時代に突入し、ビジネスにおいてもコミュニケーションのあり方が大きく変わってきました。「マスク越しでは相手の表情が分かりにくく、自分の表情も伝わりにくい」「オンラインだとコミュニケーションがとりにくい」といった声も聞かれます。

そこで今回は、スポーツジャーナリストである瀬戸口仁氏が、35年にわたるトップアスリートへの取材経験をもとに、マスク越しでの相手の表情・心理を読み取る方法や、相手に好感を持たれるボディーランゲージなど、ニューノーマルの新しいコミュニケーション術を伝授します。

Your Image【監修・取材先】
瀬戸口仁氏

スポーツジャーナリスト

 

マスク越しでも相手の心を読み取ることはできる

コロナ禍でマスクの着用が当たり前となってから、顔の半分がマスクで隠された状態では、相手の心がなかなか読み取れない、自分の気持ちを相手に伝えにくいと感じる人も多いようです。
しかし、これまでの私の経験からいえば、相手がマスクをしていても、相手の目や体の動き(ボディーランゲージ)を見ることで、相手の心の動きをつかむとことは可能です

私はこれまで、野茂英雄やイチロー、松井秀喜、佐々木主浩といったメジャーリーガー、各球団の選手や監督など、多くのスポーツ関係者を取材してきました。35年の取材経験で、私は相手の心をつかむ独自のスキルを培いました。そのスキルの一部をご紹介していきます。

目は口ほどに物を言う~相手の目から心を読み取る方法

マスクで顔の半分が隠れていれば、相手の心は分かりにくくなるものです。しかし、「目は口ほどに物を言う」ということわざがある通り、相手の目の動きをたどることで、どんな心の動きがあるのかが分かります

例えば、相手が左上を見たときは、本当のことを話そうとしています。自分の記憶を探るときには、視覚的なイメージを司る右脳が働くため、自然と人の視線は左上に移動するのです。
逆に、右上を見るのは、嘘をつこうとしているときです。記憶にない物事を創造するときに左脳を使うため、左脳が支配する右半身、つまり右側を、無意識に見てしまうという傾向があります。

ほかにも、目のまばたきが増えるのは不安を感じていることの表れですし、目の開き方は興味の大きさを示します。大きく見開くほど興味があり、逆に見開き方が小さければ興味が薄いということになります。

ボディーランゲージから読み取る方法

ボディーランゲージとは文字通り「体の言語」であり、これも表現の一つと考えられています。例えば、腕を組むという仕草。これは自己防衛を意味します。心臓を守っているポーズで、「拒絶・拒否」の意味合いがあります。そのため、自分より目上の人の前でこのポーズをすると、「あなたの意見は聞いていませんよ」という意思を伝えることになりますので、気を付けなければなりません。

また、会議中などでは、机の上で指を組むという動作もよく見られます。しかし、これも「警戒」を意味する動作で、これと同様に、自分の前に飲み物を置いたりするのも「警戒」のポージングです。自分の前に飲み物を置く=バリケードを設けることで、「今は受け入れ難い」という気持ちを無意識に表現しているのです。

このほかにも、無意識に行っている仕草には、実は大きな意味が隠れていたりします。講演では、これらについてさらに詳しく話していきます。

相手の心を開かせるコミュニケーション術

コミュニケーションには、相手の心の動きを読み取る方法とともに、自分の心を表現する方法も重要です。最後に、相手の心に寄り添い、心を開かせるコミュニケーション術を一つご紹介します。

好感を持たれる目の使い方

35年の取材経験の中で、一番効果的だった方法からお伝えしましょう。
どうしても伝えたいこと、訴えたいことがあったら、相手の黒目を見るようにしてください。黒目を見ることで、熱意・誠意が伝わります。とはいうものの、日本人の場合、じっと相手の目を見つめるという行為が苦手な人も少なくありません。そのため、私は以下の2つの方法をおすすめしています。

(1)右目で相手の右目を見る
右目で相手の右目(自分から見て左)を見ると、視線が優しく感じられ、さらに、しっかりと見ていることも相手に伝わります。トップアスリートへの取材でも、このやり方で話が大いに盛り上がり、結果的に良い記事が書けたという経験は何度もあります。

(2)左目で相手の全体を見る
こちらは少し技術が必要となります。左目で相手全体を見るようにしてミラーリング、つまり相手の鏡になったような形で、時折、相手の行動をまねます。大げさに同じ行動をとるのではなく、相手が足を組んだら自分の足首を軽く重ねる、相手が腕を組んだら自分の指と指を軽く重ねる、といった程度がよいでしょう。

これは「同調傾向」といって、相手に安心感を与えることができます。相手に同調することで、相手は「共感されている」「自分の話をしっかり聞いてくれている」と感じ、自分への信頼感が高まるのです。マスク越しの面談や商談でも活用できる技ですので、ぜひ実践してみてください。

そのほか、人間関係を円滑にするという点で、相手との共通点を探す、相手を褒めるといったことも重要です。

講演では、マスク越しやオンラインで希薄になりがちな人間関係をスムーズにするためのコミュニケーション術について、さらに具体的に話していきます。興味がありましたら、ぜひ講演のご用命を頂けますと幸いです。

瀬戸口 仁 せとぐちひとし

スポーツジャーナリスト 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントファシリテーター

スポーツ関係者・指導者
評論家・ジャーナリスト

1960年生まれ。サンケイスポーツ新聞社を経て、1993年の渡米と同時に独立。メジャーリーグを中心に、W杯・オリンピック等各種スポーツを取材し、日本へ発信。2007年の帰国後、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントファシリテーターとして講演、セミナー、研修を全国で展開。

プランタイトル

ウィズコロナ、アフターコロナのコミュニケーション術
―スポーツジャーナリストの相手心理の見抜き方―

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