一般的に10月~年末年始にかけては空き巣などの犯罪件数が増える時期で、いつも以上に警戒が必要となります。特にここ数年は新型コロナウイルスの影響で年末年始も自宅で過ごす人が多かったと思いますが、コロナ禍が明け、年末年始に帰省や旅行で長く家を空ける人も増えました。改めて気を引き締める必要があります。

今回は防犯アドバイザーにして犯罪予知アナリストの京師美佳氏に、有効な防犯対策についてお聞きしました。すぐに自宅の防犯を強化できるものから、地域全体の治安を向上させるための取り組みまで、今知っておきたい防犯対策の基本について解説していただきます。

【監修・取材先】
 防犯アドバイザー
犯罪予知アナリスト
京師美佳氏

最近の犯罪の状況

テレビやインターネットで凶悪犯罪のニュースを目にし、「最近は物騒なニュースが多くて怖い」と思っている方も多いでしょう。しかし、実は犯罪件数自体は近年減少傾向にあります(参照:警視庁「住まいる防犯100番」の「データで見る侵入犯罪の脅威」より)。

振り込め詐欺の対策が広く世間に知られたことから、一時的に強盗などの凶悪犯罪へ移行する傾向が見られましたが、そうした犯罪は検挙率が高く、今では闇バイトの募集などでも敬遠されるようになりました。特に昨年までは新型コロナウイルスの感染対策で在宅時間が増えていたこともあり、2022年の住宅対象の侵入窃盗の認知件数は、過去最低の1万5,692件でした。

ただし「件数が減っているなら、我が家も大丈夫だろう」と安易に考えてしまうのは要注意です。なぜなら近年の犯罪者の手口は非常に巧妙化し、防犯意識の低い家や地域を見つけ出し、そこに狙いを定めてくるからです。

犯罪機会論とは?

犯罪者に機会を与えないようにして犯罪を未然に防ぐという考え方を、犯罪機会論といいます。

例えばSNSでの情報発信を例に挙げると、「年末年始は家族みんなで旅行に行きます」などのコメントをすることで、空き巣に年末年始は家を空けることを知られてしまいます。さらに日常のSNS投稿で家族構成や経済状況も推察できますし、もし写真の位置情報をそのままにしていれば、自宅の正確な場所まで割り出されてしまうのです。

このように防犯意識が低いSNSの使い方は、まさに空き巣に“犯罪の機会”を与えることになります。SNSでの情報発信は「お出かけについては事後報告」「家の中や近所の写真を撮らない」「家族のことは書かない」「GPS機能はオフにする」といった基本の防犯を徹底することが大切です。

SNSの使い方のように、近年の防犯対策はちょっとした心構えで大きな違いが出てきます。いきなり高価な防犯グッズを購入しなくても、100円ショップの窓ロックや窓アラームでも十分に効果は得られます。なぜなら空き巣や強盗は、より防犯意識の低い家や地域へと吸い寄せられていくからです。まったく対策をしていない家と比較したとき、防犯用のステッカーが1枚貼ってあるだけでも、犯罪者に心理的抵抗感を与えられます。

大切なのは、日頃から犯罪に対する備えをしておく予備防犯の意識。それによって犯罪を寄せ付けない環境をつくることです。

できることから確実に!防犯対策6選

それでは、すぐに取り組める防犯対策とは具体的にどのようなものがあるでしょうか?ここでは一戸建ての場合と、集合住宅の場合のタイプ別におすすめの方法をご紹介します。

~一戸建て編~

【インターホンにはカメラ】

防犯の4原則は「音・光・時間・人の目」です。カメラ付きのインターホンは、この4原則のうち「人の目」があることをアピールします。空き巣は住人の不在を確認するために高確率でインターホンを使用します。ここに「人の目」を光らせることで、侵入の下調べの段階で空き巣をシャットアウトできるのです。

【補助錠や防犯フィルム】

補助錠や防犯フィルムは、4原則のうち「時間」で防犯効果を高めるものです。家宅侵入は、5分以内に侵入に成功しなければ7割が諦めといわれています。ホームセンターやインターネットで1,000円前後で購入できるような防犯グッズでも、5分以上の時間を稼ぐことが可能です(参照:「住まいる防犯100番」の「侵入犯罪の脅威」より)。

【防犯シール】

最も手頃な防犯グッズの1つが、100円ショップでも購入できる防犯ステッカーやシールです。実際に家宅侵入などを防ぐ効力はありませんが、「空き巣や強盗に警戒している」という防犯意識をアピールできます。日頃から警戒心を持っている住人は、他にも対策をしている可能性があるため、犯罪者も気軽に侵入できなくなります。

~集合住宅編~

【スマートロック】

集合住宅は建物の設備や外観には手をつけられないため、室内で徹底した対策をとる必要があります。まずは玄関からの侵入を防ぐために補助錠を検討してみましょう。

特に外出先から鍵の開閉を操作できるスマートロックは、集合住宅でつい油断してしまいがちという人におすすめです。現在は1万円前後の価格で購入できる商品もあり、既存の鍵はそのままに付属品として取り付けられるという手軽さが人気です。

【照明のリモコンタイマー】

家を留守にしているときでも在宅かのように見せられる、照明のタイマー付きリモコンもおすすめです。予約した時間に自動的に部屋に灯りがつき、防犯の4原則の1つ「光」で空き巣などの犯罪を遠ざけます。

なお照明がついていても、新聞などが溜まっているところを見られると不在であることが分かってしまいます。家を空けるときには配達をストップしてもらうのを忘れないようにしましょう。

【スマートカメラ】

防犯の4原則「音」で、室内に侵入してしまった空き巣を撃退する方法もあります。自宅に通話機能付きスマートカメラを設置し、人が侵入したらスピーカーで直接相手に声をかけるのです。犯行の真っ最中に住人から声をかけられることで、空き巣は慌てて現場を立ち去り、被害を最小限にとどめることができます。

なお、家宅侵入者に犯行を諦めた要因についてのアンケートをとった調査結果では、第1位が「(近所の人に)声をかけられた」となりました。(参考:「住まいる防犯100番」(財)都市防犯研究センター「JUSRIリポート」)

防犯グッズを揃える以上に、日頃からご近所付き合いをして、地域の連帯感を高めることが何よりの防犯対策かもしれません。

【子どもを守るために】各家庭から地域へと防犯の輪を広げよう

特に子どもを狙った犯罪への対策としては、大人による見守りが一番効果的です。しかし共働きが一般的になった現在では両親ともに不在であることも多く、親が子どもから目を離さないというのは現実的ではありません。

子どもを犯罪から守るために、地域全体で“犯罪者に狙われない街づくり”に取り組みましょう。たとえば朝、学校に向かう子どもたちとすれ違えば「おはよう」、夕方暗くなる頃にまだ外で遊んでいる子どもがいれば「そろそろお家に帰ろうね」など、近所の大人たちが当たり前のように声かけをする環境が大切です

防犯効果を高めるポイントは、無理をせず続けられる方法を考えること。例えば、地域によっては“わんわんパトロール”という名称で、犬の散歩をしながら登下校時の子どもたちを見守る活動を続けているところがあります。犬の散歩は毎日のことなので、そのついでとしてパトロールをすれば習慣化しやすいでしょう。このときパトロール中と分かる腕章やワッペンを着ければ、地域としての防犯意識の高さをアピールできます。

防犯対策で大切な家と家族を守ろう

防犯対策で何よりも大切なのは、まず「ちゃんと防犯に取り組もう」という気持ちです。犯罪者は防犯意識の低い家や地域へと集まっていきます。まずは防犯フィルム1枚から、子どもの防犯ブザー1個からでもよいので、何らか対策を始めてみましょう

地域全体で防犯の意識レベルを上げるためには、複数世帯で一緒に防犯対策に関する講演や研修に参加するのがおすすめです。今回お話を聞かせていただいた京師氏の講演では、空き巣や強盗への対策だけでなく、インターネット犯罪、盗撮カメラ、あおり運転、特殊詐欺への対策なども学ぶことができます。

特に近年の振り込め詐欺は非常に巧妙で注意が必要です。実行犯として地元の方言を喋れる人間を雇う、AIで家族にそっくりの映像を作ってビデオ通話で振り込みを要求するなど、その手口を知らなければ騙されてしまう可能性が高いでしょう。京師氏はこれに対して、「お金の話は本人と会って話すこと」の徹底など、誰にでも実践できる防犯対策を講演で伝えています。

治安の良い街づくりは、住民の防犯意識向上から。「地域の犯罪件数を下げて、治安の良さをアピールしたい」とお考えの官公庁や公民館等の講演企画担当者様は、ぜひ市民向けの講演会としてご検討ください!

京師美佳 きょうしみか

防犯アドバイザー 犯罪予知アナリスト

犯罪セキュリティ・防犯という男性中心の業界において、女性ならではの視点を生かして活躍する防犯アドバイザー。セキュリティ全般(住居・ビル・店舗の防犯、街頭犯罪、ネット関連の防犯、盗聴・盗撮、ストーカー、学校・子供の防犯、医療機関の防犯など)の他、細かな実例を交えた対策セミナーも好評。

健康防災・防犯安全管理・労働災害

プランタイトル

地域や住宅の防犯対策 安全・安心に暮らしたい!
これだけは知っておきたい!その必須ポイント

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