思わずクスっと笑ってしまうような安全標語は、真面目なマニュアルよりも頭に残りやすく、従業員が働きやすい職場づくりに最適です。『面白い安全標語』の作り方について、ポイントをまとめました。

安全標語とは

働くスタッフの働きやすい環境を整えるためには、安全標語が有効です。
安全標語とは、ポスターなどで掲示する「スローガン」のことで、従業員に注意を伝える方法のひとつです。

働きやすい環境づくりにおいて、従業員の安全管理は企業の重要な責務です。
しかしながら、どのような業種にも、ヒューマンエラーやアクシデントがつきものです。
特に、工場などの複数の機械を扱う職場には危険が多く、作業中少しの油断から大きな事故につながりかねません。
事故を未然に防ぐためには、各従業員に高い意識を維持してもらう必要があります。

安全標語は、各従業員に安全の意識を維持してもらうことに役立ちます。
そのためには、覚えやすい安全標語を、従業員が頻繁に見聞きできるように促し、忘れてしまいがちな注意ポイントを喚起することが重要です。

例えば

  • ポスターを目に留まりやすい位置に掲示する
  • 始業時や集会時に、皆で声に出して読み上げる
  • 個人のヘルメットにステッカーを貼る

など、様々な場面で登場させることがおすすめです。

従業員の安全意識の維持向上に役立てやすいため、多くの業種で取り入れられています。

工場で掲げる安全標語の作り方

工場で掲げる安全標語を作るために、まずは基本的な作り方をおさえましょう。

基本の5・7・5を意識する

印象に残りやすいスローガンを作るためには、読み上げて耳に残る「リズム」が重要す。安全標語を作るときは、5・7・5を基本のリズムとして意識してみましょう。
5・7・5俳句のリズムは、テンポよく頭に残るため、覚えやすい安全標語を作れます。

使いたい言葉を5文字か7文字にあてはめると、前後の句が考えやすくなります。
5文字や7文字に当てはまらない場合も、リズムを意識することが、覚えやすいスローガンを作るためのコツと心得ましょう。

安全標語のテーマを決める

次に、安全標語のテーマをひとつに絞り混みましょう。
従業員に安全意識を高めて欲しい場面を、具体的に考えることが大切です。

工場の安全標語のテーマとは、例えば、下記のようなものです。

■全体指標のテーマ例

  • ゼロ災害
  • 安全第一
  • 事故なく帰る

■具体的行動のテーマ例

  • 安全確認
  • 基本動作を守る
  • 整理整頓
  • 声かけ
  • 安全用具の管理

■防ぎたい事故のテーマ例

  • 機械事故防止
  • 転倒事故防止
  • 熱中症対策
  • 感染症対策

従業員に意識して欲しい項目や、ミスの起こりやすい項目をテーマに定めると、標語に含めたい言葉を考えやすくなります。

工場で掲げる安全標語を作る際のポイント

安全標語を作る際は、いくつかのポイントを抑えることで、より伝わりやすいスローガンになります。

起こりうる場面をイメージしやすくする

1つ目のポイントは、具体的なイメージにつなげることです。
誰も身に覚えのある場面や、具体的な事故防止行動を取り上げると、印象に残りやすくなります。

  • ヒヤリとする場面
  • 油断しがちな場面
  • ヘルメットなど具体的な安全具
  • 家族の笑顔

など、ぱっと思い描けるような場面を、標語の中に取り入れてみましょう。

カタカナ語、スポーツ用語を使う

2つ目のポイントは、カタカナ語やスポーツ用語を活用することです。
漢字ばかりでは堅苦しい印象になりがちなスローガンでも、カタカナで擬音にしてみるなどの工夫で、読みやすくコミカルになります。
さらに、スポーツ用語はやる気を喚起させるのに最適です。

例えば、

  • ヒヤリ、ハット
  • チームワーク
  • プロ意識
  • 安全ルール
  • エラー
  • アウト、セーフ

など、カタカナ言葉を使用するようにしましょう。

脚韻・頭韻を使う

3つ目のポイントは、韻を踏むことです。
脚韻・頭韻とは、文節ごとにあえて同音に揃った部分をつくる技法です。
韻を踏むことでリズム感が生まれ、印象に残るスローガンになります。

例えば、

  • あなたのために家族のために
  • みんなで見直しみんなで守ろう

など、言葉を繰り返すだけでも、リズムが生まれます。

命令形や疑問形を使う

4つ目のポイントは、命令形や疑問形の活用です。
特に注意して欲しい場面などでインパクトを与え、覚えやすいスローガンになります。

例えば

  • ちょっと待った!
  • 見逃すな!
  • 大丈夫?
  • 洗ったか?

など、具体的な行動を示すスローガンに最適です。

命令形はきつい表現になってしまう可能性があるため、他に掲示するスローガンとのバランスに配慮すると、メリハリある環境づくりができるでしょう。

安全大会の効果的なスローガン(標語)の作り方

工場で掲げる安全標語に入れたいキーワード

安全標語には、どのようなワードが入っていると、印象に残りやすいでしょうか。
工場に掲げるスローガンの中に取り入れたいキーワード例を挙げてみましょう。

■明るいイメージのキーワード例

見ただけで明るいイメージにつながるキーワードには、進んで安全意識を高められる効果があります。

  • 笑顔
  • 仲間
  • チームワーク
  • みんなで
  • 未来の
  • ゼロ災 など

■注意が必要な場面のキーワード例

特別に注意が必要な場面には、誰もが心当たりがあるような共感できるキーワードが効果的です。

  • 忘れがち
  • 油断大敵
  • うっかりミス
  • 思い込み
  • 足下注意 など

■具体的な行動のキーワード例

具体的な行動をスローガンに含めることで、事故防止の効果を高められるでしょう。

  • 目視チェック
  • 水分補給
  • 手洗いうがい
  • 指さし確認
  • 片付けよう など

安全標語を考える際の参考にしてみてください。

工場で掲げる安全標語の面白い例文

製造業など安全管理が求められる企業で働く人のため、さまざまな機関が優秀な安全標語を公募しています。
『中小建設業特別教育協会』では、現場で活用できるよう、過去の優秀な標語を公式サイトで掲載しています。
その中から、インパクトに残る作品例をいくつか紹介しましょう。

「手を洗い バイ菌バイバイ さようなら」
「安全と 反比例する 急ぎ足」
「コケるのは 喜劇の芸人 だけでいい」
「まだやれます 倒れる人は みんな言う」
「おっとっと ヤレヤレよかった 命綱」
「中腰と 気合じゃ負けます ニュートンに」
「不注意は一瞬、後悔は一生」

参照元:一般財団法人 中小建設業特別教育協会

どれも語呂が良く、ポジティブに安全意識を高められる標語になっています。
気になる方は、他のスローガンもチェックし、職場の安全管理に活かしてみてください。

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