労働災害防止を目的に毎年開催される安全大会。安全大会の実行役員や表彰される立場になると、スピーチを任せられる時があります。スピーチと言われても、何から話してよいかわからいという場合もあるかと思います。

そこで、本記事では安全大会のスピーチで話すネタを3つご紹介します。従業員や関係者の安全意識を高めるために、効果的なネタばかりですので、スピーチの原稿作成にお役立てください。

安全大会は何のために行われるか

安全大会とは、名前の通り安全に関する意識を高め、正しい知識を身につけるために開催されるものです。特に建設業や製造業においては、取り扱いに注意が必要な機械・工具を扱う現場が多いことから、現場で働く一人ひとりが安全に対する意識を持ち、労働災害をなくすために安全大会が開かれます。

厚生労働省が公表している労働災害発生状況によれば、2021年(令和3年)の労働災害における死亡者は全体で867人、業種別でみると1位が建設業288人(約33.2%)、2位が製造業137人(約15.8%)となっています。さらに、死傷者が労働災害に巻き込まれた原因は、業種全体で、以下のような結果が出ています。

上の表を見ると、死傷者が出た労働災害の原因は、製造業において1位がはさまれ・巻き込まれ、2位が転倒、3位が墜落・転落となっており、建設業では1位が墜落・転落、2位がはさまれ・巻き込まれ、3位が転倒という結果になっています。

これらはいずれも、作業慣れから生じるヒューマンエラーに起因するものだと考えられます。業務開始当初は安全に細心の注意を払っていても、業務に慣れてくるにつれて安全意識が薄れたり、急ぐあまり安全より効率を重視してしまったりすることがあるからです。そこで、定期的に安全大会を開催し、現場の危険性や安全に対する意識を再確認していく必要があります

安全大会の主なプログラム

安全大会で行われている主なプログラムは以下の通りです。

①安全講話、健康講話

安全大会では、主に安全に関する安全講話が行われます。特に、建設業における労働災害の状況や防止対策、ヒヤリハットの体験談、さらに経験を活かしてどう現場の災害を防ぐかは、実際に働く人にとって身近な話題であり、講義を聞くだけでなくグループワークを行うことも有効です。

安全に関連して、健康に関する講話が行われることもあります。安全を守るための健康という観点から、体力維持・腰痛防止などの訓練とセットにするのも良いでしょう。

➁避難訓練、火災訓練、救急講習

震災などの自然災害を想定した避難訓練や、火災を想定した火災訓練、咄嗟の対応ができるように救急講習が行われることもあります。
避難訓練では、高所の足場で地震が発生したらどうするかといったことを訓練で学びます。

火災訓練では、消火器の使い方講習会に加え、「宿舎から火災が発生したら」「トンネル工事中に火災が発生したら」などの想定で訓練を行うこともあります。こうした訓練をしておくことで、緊急時にも慌てず対処できます

救急講習では、講師を招いて人工呼吸や心臓マッサージの方法、AED(自動体外式除細動器)の使い方を習います。同僚や仲間が突然意識を失ったとき、これらの応急処置を施すことで、助かる確率が高まります。

③表彰式

表彰式は、主に現場への安全意識を高めるために行います。大きな事故を起こさなかった、安全対策に積極的に取り組んだ、など表彰される理由や基準はさまざまですが、いずれも安全に貢献したことを表彰します。

安全大会のスピーチで話す内容

安全大会のスピーチは、主に開・閉会式や表彰式などで行われます。上記のプログラムを考えながら、話すネタを作成するとよいでしょう。
ここでは、安全大会のスピーチで話す内容を3つご紹介します。ぜひ、スピーチの際の参考にしてください。

安全大会のスピーチ例文①「災害時の対処について」

労働災害は起こらないことが前提ですが、万が一災害が起こってしまったとき、どう対処するかを知っておくことも重要です。災害が発生した場合、その対処には1分1秒を争うこともあります。対処法をしっかり覚えておけば、怪我の悪化などに伴う二次災害を防ぐことにつながるでしょう。具体的には、次の3つです。

  • 応急処置の道具、方法
  • 連絡先
  • 連れて行く病院、必要な情報

まずはAED、担架、ガーゼや消毒液など応急処置の道具がどこにあるか、どのように処置すべきかです。次に、誰が誰に連絡するか、連絡先が変わっていないかの確認をしましょう。慌てると忘れてしまうこともあるため、すぐ連絡できるような対策も必要です。

最後に、連れて行く病院と救急隊員に伝える情報です。いつどこで起こったか、どんな症状が出ているか、怪我した人の年齢や連絡先など、到着までにまとめておきましょう。このように対処法をまとめておくことで、労働災害を起こしてはいけないという意識改善にもつながります。ぜひ、各現場で再確認しておいてください。

安全大会のスピーチ例文②「防災の心構え」

労働災害を起こさないためには、日頃から防災への心構えを身につけておくことが重要です。そこで、本日は災害を防ぐための効果的な対策についてお話ししたいと思います。

そもそも、災害が発生する理由は2つあります。「安全でない行動」「安全でない状態」かのいずれかで、両方が起こると災害につながると考えられます。安全でない、つまり危険な行動とは、ローラーに手を突っ込んでしまったり、よく確認せずに動いたりすることです。安全でない状態とは、むき出しの刃物や滑りやすい足場などが該当します。

では、これらの危険に対策するためにはどうすれば良いのでしょうか。「安全でない行動」を避けるためには、正しい知識や危険を避ける意識を育てる必要があります。「安全でない状態」を避けるためには、リスクマネジメントを行う必要があります。

もちろん、これらの行動や状態を100%なくすことはできませんが、できるかぎり抑えるよう対策することで、災害を防ぐことにつながっていくでしょう。

安全大会のスピーチ例文③「体験談」

本日は、私が実際に巻き込まれた労働災害についてお話しします。実際に経験した嫌なこと、リアルの状況をお伝えすることで、改めて労働災害は起こしてはいけないものである、と気を引き締めるきっかけになれば幸いです。

3年前の8月、暑い現場で汗が垂れて足場が濡れているのにも関わらず踏み込み、足を滑らせて転落してしまいました。たまたま低い足場だったので、左脚の骨折で済みましたが、もう少し高い足場だったら転落死してもおかしくありません。

当時、暑さの中で急いで作業を終わらせようとするあまり、現場の状況確認を怠ってしまったことが原因です。本来であれば、足を踏み出して体重をかける前に、足場の状況を見るべきだったのですが、その一手間を惜しんでしまったがゆえに事故を起こしてしまいました。

骨折の痛みは夜になっても眠れないほどで、周囲が忙しい中、現場に戻ることもできず非常に申し訳ない思いに苛まれました。自分のような事故を再び起こさないためにも、どんなに急いでいても暑くても、足場を含め状況の確認は絶対に怠らないようにしましょう。

安全大会の意味を知り、心に響くスピーチを

安全大会は、建設業の現場で働く人の意識を高め、正しい知識を身につけるために行われるものです。定期的に安全大会を行い、スピーチを聞いたり講習を受けたりすることで、安全の重要さを再確認していかなくてはなりません。

まだまだコロナ禍が続く中、大勢の人数での開催は難しい現状はありますが、労働災害を減らすためにも、必須の行事といえます。3密を避けてオンラインで行うことも可能ですし、一部をリアル(集合)開催、一部をオンラインとするハイブリッド型での開催も可能です。昨年はできなかったけど、今年こそはぜひ開催したい、とお考えの主催者様はぜひお気軽に弊社までご相談ください。

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