夏の労働災害の原因として上位にあるのが熱中症です。特に7~8月は、屋外で働く建設現場だけでなく、屋内の製造業でも作業中に熱中症で体調をくずす人も多くいます。
夏に開催される安全大会ではこの「熱中症対策」の講話を採り入れることも多く、労働災害の被害を防止する上でも「熱中症対策」の講話で対策を再確認する必要があります。
そこで今回は、「熱中症対策」講話のネタにつも使える熱中症の仕組みや作業者と会社がすべき安全対策、ネタ作りに参考にできるおすすめサイトや情報をご紹介します。夏の安全大会で講話を依頼されたら、ぜひご活用ください!

安全大会における「熱中症対策」講話の必要性

建設業の現場では、特に熱中症が原因の死亡者や業務上疾病者(休業4日以上を要する)が多いため、夏開催の安全大会では熱中症対策がほぼ必ず取り上げられます。
実際に、厚生労働省の「令和2年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」によると、2020年の熱中症による死傷者数は、記録的な猛暑となった2018年に比べれば減少していますが、2019年よりは増加しています。

さらに、業務別の熱中症死傷者数発生状況を見ると、建設業がトップであり、次いで製造業で多く発生しています。2020年に発生した959人の熱中症死傷者のうち、全体の22.4%にのぼる215人が建設業従事者です。うち7人は死亡しており、これは全体死亡者(22人)の31.8%に当たります。

このように建設業で熱中症を発症する人が多いのは、後述する熱中症に陥りやすい条件が建設業の現場にあてはが挙げられます。実際に、以下のような熱中症による死亡事例があります。

・個人宅の解体作業中、突然倒れ救急搬送。同日中に死亡
・アスファルトの舗装作業中、休憩時に近くの公園へ徒歩移動中に倒れ、救急搬送。翌日に死亡

こうした状況を鑑み、安全大会では熱中症の危険性を十分に周知し、死傷者を減らすよう呼びかける必要があります。

熱中症予防の基本原則

ここで、熱中症予防の基本的な対策について、熱中症が起こる仕組みと合わせて確認しましょう。

熱中症はなぜ起こるか

熱中症が起こるのは、体内で発生した熱を体外にうまく発散できないためです。通常、運動や仕事で体内に熱が発生すると、汗をかいて気化熱として発散したり、体の表面から空気中に熱を放散したりして体温調節を行います。しかし、高温多湿の環境や衣服をきっちり着込んでいる場合には、これらの調節機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうのです。
この間に水分補給をしないと、脱水症状が起き、汗の量が減ることで体温がさらに上昇。体温が40度以上になると死亡事故へとつながる原因にもなるので注意が必要です。

熱中症が起こりやすいのは特に35度以上の猛暑日で梅雨や雨の後で蒸し暑さを感じるほど湿度が高いときです。熱中症が起きやすい時期は7~8月で、時間帯も午後2~4時となっています(参照: 令和2年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」)。
以下の対策に注意し、熱中症を防ぎましょう。

  • 無理な量の業務を一度に行わない
  • 急な暑さの日には、熱中対策を強化
  • 水分と塩分をコンスタントにしっかり補給する
  • 薄着や通気性の良い衣類を着る
  • 体調不良時はきちんと休む

建設業で熱中症が起こりやすい理由

建設業で熱中症が起こりやすいのは、高温多湿の屋外での作業が多くなりやすいこと怪我防止のために分厚い作業着を着て業務に従事する機会が多いことの2つが挙げられます。汗をかいても気化熱が発生しにくく、体表面からの熱も放散しづらいため、体温調節機能がうまく機能しないのです。

また、「少しくらい体調が悪くても休めない」と我慢してしまいがちなことも、建設業の現場での熱中症発生を増やしてしまいます。適切な水分・塩分の補給はもちろん、気分が悪いなど体調不良が起こったらすぐに休憩できる環境を整えましょう。

建設業の現場で行える熱中症対策

では、建設業の現場でも行える熱中症対策にはどのようなものがあるでしょうか。会社ができる対策、作業員が現場と普段の生活でできる対策の3つに分けてご紹介します。

①会社ができること

会社ができる熱中症対策には、以下のようなものがあります。

  • 作業時間の短縮
  • 暑さ指数(WBGT値)などで暑さの状況を把握し、作業員に熱中症対策を周知徹底する
  • 定期的に現場で熱中対策が確実に実施されているか、熱中症のような症状がでていないか、巡視する。
  • 休憩室(休憩用車両、休憩用テントなど)や扇風機など、体温を下げられる場所の設置
  • 冷蔵庫や製氷器など、冷却できる備品の設置
  • 経口補水液など、効果的な飲料水の常備

暑さ指数(WBGT値)とは、気温と温度、輻射熱(日差しを受けている地面、建物、人体などから出ている熱)を考慮に入れ、蒸し暑さを数値化した指数です。WBGTが28℃を超えると熱中症発生率が急増することから、環境庁は4~10月の間、全国約840地点の予測値を算出し、公式サイトで発表しています。
毎日、このWBGTの情報を取得し、作業者に知らせるとともに、WBGT値が高い時には作業場に扇風機やドライミスト、遮光ネットなどでWBGT値の低減を図るようにしましょう。

②作業員が現場でできること

作業員が現場でできることは、こまめな休憩、水分・塩分の摂取などです。

  • 最高気温35℃以上と予想された際は、いつも以上にこまめな休憩を心がける
  • 水分・塩分に加え、経口補水液、塩飴やタブレットなどのミネラル分をこまめに補給する
  • 建設車両を換気する
  • 通気性の良い服を着る

特に、最高気温35℃を超えると熱中症が発生しやすくなりますので、普段以上にこまめな水分・塩分補給を行うとともに、体調不良を感じる前に適宜休憩を取りましょう。

③作業員が普段の生活でできること

熱中症を防ぐためには、作業員自身が普段から熱中症を起こしにくいような生活習慣をつけておくことが重要です。ぜひ、以下のことを心がけましょう。

  • 栄養バランスの良い食事
  • 早食いしない、食事を抜かない
  • しっかりと睡眠をとる
  • 半身浴などでぬるま湯にゆったりと浸かる。
  • 帰宅したら、すぐに水分補給する

暑いと食欲が減退し、そうめんやそばなどあっさりした食事ばかりを食べてしまいがちですが、栄養が偏ると体調不良を起こしやすくなります。同様に、早食いや食事リズムの崩れも塩分・水分不足、エネルギー不足を招きますので、注意しましょう。

安全大会の熱中症対策講話にも活用できるおすすめのサイト

安全大会で熱中症対策を呼びかけるにあたり、活用しやすいおすすめサイトをご紹介します。対策マニュアルなど具体的な現場での対策に使えるもの、天候や気温などの各種情報サイトの2種類をそれぞれチェックしましょう。

①対策マニュアル・リーフレット

熱中症予防の対策事例、マニュアルなどでおすすめなのは、以下のサイトです。

【厚生労働省による各種資料】

リーフレット「令和3年 職場における熱中症予防対策マニュアル」
熱中症の仕組みや職場での具体的な予防対策、熱中症が起きてからの対処法を分かりやすく解説しています。基本のことが書かれてあるので、まずはこれを参照するとよいでしょう。

パンフレット「熱中症を防ごう!」
職場で行うべき熱中症予防対策、熱中症の症状と分類やWBGT値の活用方法、応急処置の方法などがまとまっています。職場に1つ、必ず配備しておきたい熱中症対策資料です。

【環境省によるマニュアル・ガイドライン】

熱中症環境保健マニュアル
保健活動に関わる方々に向けた保健指導マニュアルです。熱中症の仕組みや発症時の処置、予防対策も詳しく解説されてあります。

熱中症予防対策ガイダンス
環境省が推進する「熱中症予防対策ガイダンス策定事業」に関する資料がまとめられています。熱中症対策の考え方・進め方、実施した効果の検証、優れた取り組み事例が挙げられていますので、安全対策の講話にぴったりです。

②天候、気温など各種情報

天候や気温をチェックするためには、環境省・気象庁などが公開している情報サイトがおすすめです。

【環境省】

【気象庁】

  • 熱中症情報…WBGT近似値をわかりやすいアイコンで表示。
  • 季節予報…毎週木曜日14時30分に1ヶ月予報、毎月25日ごろに3ヶ月予報が発表される

安全大会で熱中症対策を紹介し、注意喚起につなげよう

建設業や製造業では熱中症による死傷者数が他業種と比べても最も多く、作業員一人ひとりが熱中症対策を行うことが重要です。安全大会で危険性や安全性を再度周知するとともに、会社側は作業環境の整備や気象・天候情報の周知、経口補水液など熱中症対策アイテムの常備などを行いましょう。

安全大会で話すべき事例や講話としては、厚生労働省や環境省が公開しているパンフレットやマニュアル、ガイダンスなどがおすすめです。安全大会で熱中症対策を呼びかけ、死傷者数ゼロを目指しましょう。

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