
ビジネスの現場ではいつの時代も「伝える力」が求められます。その代表格ともいえるのが、プレゼンテーションスキルです。普通の雑談ならできるけれど、自分から一方的に伝えるプレゼンは苦手という人も多いのではないでしょうか?
今回はリクルートグループで長年営業を経験した後、自身のFP事務所で子どもたちへの金融教育にも尽力している近藤賢一氏から、再現性の高いプレゼンのテクニックと成功の型について伺いました。
【監修・取材先】
近藤賢一氏
FP事務所RAC 代表
CEOキッズアカデミー マスター講師
子供と大人のお金の先生
プレゼンが伝わらない…失敗しがちなやり方の例
一生懸命話しているのに、聞き手に伝わらない――そんなプレゼンには、1つの共通点があります。それは「情報が多すぎること」です。
プレゼンの場では「あれもこれも伝えたい」と思いがちですが、最初に情報を出し過ぎると、かえって聞き手の頭に必要な情報が入っていきません。問題は、プレゼンが始まった時点ではまだ聞き手側に「話を聞きたい」という強い動機がないことです。
そのため、最初のアプローチとなるプレゼンにおいては、聞き手の心を動かし、興味を持ってもらうことが大切です。
プレゼンの主張を裏付ける数値的なデータは、資料として用意しておけば十分です。プレゼン中にそれら一つひとつを丁寧に解説する必要はありません。聞き手が興味を持ち「もっと詳しく知りたい」と思えば、プレゼンが終わってからでも自発的に資料に目を通すでしょう。むしろ、プレゼン中は手元の資料には聞き手の意識を向けさせず、最後まで自分自身に注目してもらうようにします。
人を新しいアクションへと誘導するのは、理屈ではなく感情です。データを並べて淡々と説明するだけの大人のプレゼンよりも、言葉は拙くても熱意を込めて話す子どものプレゼンのほうが、人の心を動かすという意味では優れています。
まずは相手の感情に訴えかけ、「この人からもっと話を聞きたい」と思わせて、情報が頭に入っていく土台を作ることがプレゼンの目的です。
プレゼンのやり方は、良い型から学ぶ
心を動かすプレゼンには、決まった型が存在します。その型を習得してしまえば、子どもでも効果的なプレゼンを実践できるのです。
プレゼンでは以下の4つのSTEPによって、相手の心に訴えていきます。
STEP1. | 自己紹介 |
STEP2. | プレゼンの要点 |
STEP3. | なぜあなた(聞き手)に伝えるのか |
STEP4. | もし実現したらどんな未来が待っているか |
STEP1. 自己紹介
話の内容に入る前に、まずは自己紹介で話し手のパーソナリティに触れます。「この人の話を聞いてみたい」と感じさせ、最終的には「この人に任せたい」「この人から買いたい」と思わせるための重要なSTEPです。
STEP2. プレゼンの要点
次に「今から何を話すのか」というプレゼンの要点を先に伝えておきます。特に話が長くなるとき、聞き手は「あとどのくらい続くのだろう」という気持ちになるでしょう。先にプレゼンの起承転結を共有しておくことで、聞き手もしっかり話の流れについてきてくれます。
STEP3. なぜあなた(聞き手)に伝えるのか
「この話をなぜあなたに伝えるのか」を説明します。つまり、ここでは聞き手側の課題やニーズと紐づけて、プレゼンに説得力を出す必要があります。
STEP4.もし実現したらどんな未来が待っているか
最後に、「もしこれが実現したら、どんな未来が待っているのか」を聞き手にイメージさせます。心を動かし、相手を具体的なアクションに導くうえで非常に重要なSTEPですが、ベテランの営業でもここを疎かにしがちです。
STEP3で相手の課題やニーズに沿った提案ができればいいだろうと思うかもしれませんが、良いプレゼンは単なる課題解決に留まりません。
スティーブ・ジョブズは新製品のプレゼンにおいて細かな機能の説明はせず、「それによってどんな生活が手に入るのか」を語りました。良いプレゼンの型もそれと同じです。
各STEPでの具体的な内容やテクニックについては、次章で解説していきます。
このやり方で子どもでもプレゼン上手に!4つのテクニック
基本の型を頭で理解できても、聞き手の反応が思ったほどでないと、話し手のせっかくの熱意もしぼんでしまうでしょう。そういったときには、再現性の高いテクニックが強い味方になります。
STEP1.自己紹介のコツ
まず自己紹介です。ここで大切なのは、自分自身の人生を紐解き、弱みとなるエピソードを盛り込むこと。例えば「子どもの頃すごく成績が悪かった」というエピソードや、「新人時代は営業成績で最下位を取ったことがある」といった苦労話など、人間味のある話が聞き手の共感を呼びます。
そして「そういう自分自身の経験が、今のこの提案につながっている」と結びつけることで、話の説得力がぐっと増します。
そのため盛り込むエピソードはプレゼンのテーマやターゲットに合わせて、その都度変えていきます。
STEP2.要点提示のコツ
この段階では、、プレゼンの流れや要点を省略せずに、必ず伝えることがポイントです。それは聞き手への配慮であると同時に、話し手にとってもプレゼンの型を復習するのにも役立ちます。また最初に話の流れを伝えておけば、「後はそれに沿って話せばいいだけ」という安心感も生まれ、緊張が和らぎます。
STEP3.聞き手を巻き込むコツ
ここからは、聞き手を主役にしていくフェーズです。 効果的なのは、話の途中で一度質問を投げかけること。
人は問いかけられると咄嗟にその答えを見つけようとします。それまでは漠然と聞いていた人でも、自分に向けて質問されると話の内容に意識が向き、自分事として捉えられるようになります。そうして自分の頭で考えることで、ニーズを自覚できるようになるのです。
また急に質問されると聞き手は焦り、そこで感情を揺さぶられることにもなります。プレゼンの核心となるメッセージの前に質問を挟むことで、話の内容がより深く心に残るようになります。
STEP4.ビジョンを見せるコツ
STEP4で大切なのは、聞き手に「輝ける未来」=ビジョンを見せて、自分はそれを実現するためのパートナーであると伝えることです。
例えば、企業向けに新商品や新サービスを提案するプレゼンの場合は、その企業の社会的使命に触れて「この商品を導入すれば、貴社の社会的使命を果たすことができる」という結論へと結びつけます。ただ現状で抱えている課題が解決できるだけでなく、それをクリアしたことによって企業が本来目指すべきゴールにまで到達する姿をイメージさせるのです。
聞き手が本当にやりたいと思っていることに寄り添う姿勢を見せれば、そこに信頼とパートナーシップが生まれます。プレゼンを最も良い形で締めくくるには、いかに「この人と一緒にビジョンを実現したい」と思わせるかが鍵となるのです。
プレゼンのやり方をマスターして、ビジネスを勝ち抜く
熱意とテクニック、その両方が揃っているのが一流のプレゼンです。今回お話を伺った近藤氏は、子どもたちに対して「自分のテーマにかける熱意」を大切にしながら、それを的確に聞き手に伝えるテクニックを教えることで、CEOキッズアカデミーの生徒をビジネスプレゼン大会での優勝に導いてきました。
近藤氏の研修は「話し手のコミュニケーション能力に左右されない、再現性の高いプレゼンテクニックが学べる」と評判です。特に、「自社の営業チーム全体のプレゼン力を底上げしたい」「新入社員に基本的なプレゼン能力を習得させたい」という企業様には、非常に有効な研修プランです。
業種や受講者の年齢・階層に関係なく、社会人に必須のビジネススキルとしてプレゼン研修をお考えのご担当者様は、ぜひ次回研修としてご検討ください!
近藤賢一 たなかしんじ
FP事務所RAC 代表
CEOキッズアカデミー マスター講師
子供と大人のお金の先生
大学卒業後、リクルートグループで求人広告や人材紹介を経験。医療機器や保険代理店営業を経てFP事務所を開業。「FPを教育業」と捉え、個人支援や企業顧問に加え、特に子どもの金融教育を精力的に行う。子ども向けのビジネスオンラインスクールの運営や、大学アメフト部監督として人材育成にも尽力。
講師ジャンル
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ソフトスキル | コミュニケーション |
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社会啓発 | 教育・青少年育成 |
プランタイトル
子供でもできる!最強プレゼンテクニック!
~ビジネスの現場でも活かせる勝てるプレゼン~
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