FIRE達成や世界一周といった華やかな実績の裏に、自己否定や貧困を乗り越えた経験を持つ株式会社ONE LIFE代表・亀井洋佑氏。

そんな亀井氏が提唱するのは、「経済資産」「健康資産」「社会資産」「思い出資産」の4つを育てる独自の人生哲学です。

経営者・投資家・教育者としての歩みを通じ、経済的自由と精神的自由をどう両立させるのか――インタビューを通じてその核心に迫ります。

変わりたいともがいていた過去の自分

▲学生時代の亀井さん。この時は何をやっても自信が持てなかったという(画像:亀井さん提供)

――今のようにご活躍される前の、ご自身の過去や思い出についてお聞かせください。

亀井 本当にひどいものでした。10代の頃は友達が全然できず、野球部でもいじめのようなことがありました。コミュニケーション能力も低く、女性にもモテませんでした。大学受験は全て落ち、辛うじて短大に合格したものの、バイトも続かず、何をやっても上手くいかない、そんな時期でした。

社会人になってからも、同期150人中ワースト3位という成績で、仕事もうまくいきませんでした。お金もなかったので、家賃1万1,000円の学生寮から会社に通っていました。性格的にもとにかく自信がなく、自分のことが全然好きになれなかった。自分の可能性などは全く感じていませんでした。

――当時のご経験は、今のご活躍にどのように活かされているのでしょうか。

亀井 「自信がない」「可能性を感じられない」という方の気持ちが、自分ごととして分かるというのは大きいと思います。だからこそ「大丈夫だよ」「人生はどこまでも変えられるよ」と、本当の意味で共感しながらお伝えできる、それは私の強みでもあります。もし過去の自分にアドバイスができるとしたら、きっと同じことを伝えるはずです。

▲2016年ハーフマラソン参加当時の写真(画像:亀井さん提供)

――ウルトラマラソンや世界一周といったご経験を通じて、ご自身を変えてこられました。こうしたチャレンジの原動力は何だったのでしょうか?

亀井 「とにかく変わりたい」「自信がほしい」という思いから、20代半ば頃に、アンソニー・ロビンズやジェームス・スキナーなどの自己啓発セミナーに頻繁に通いました。そうした場で、キリマンジャロ登頂や、ウルトラマラソン出場、世界一周といった、貴重な経験をしている方に数多くお会いすることができた、というのがまずあります。

そのような方たちと接する中で、「仕事だけをするのが人生じゃない」と思い至りました。ウルトラマラソンは100kmを2回完走し、高所恐怖症ですがスカイダイビングにも挑戦しました。自分が「絶対に無理だ」と思うような高い基準を設定し、挑戦する。それが達成できると、大きな自信につながり、仕事にも活きてくるようになります。

上場からFIRE達成までの軌跡

▲2020 年上場を祝う報告会での画像(画像:亀井さん提供)

一一スタートアップを立ち上げ、上場にまで導かれたご経験についてお聞かせください。

亀井 まず大切にしていたのは、仲間と一緒にゴールを目指して走り切ることです。最初は、10億を目指すところから始まり、50億、100億、上場…と、現状よりも少し上に明確な目標を設定し、結束して皆でひとつの方向に向かい走って来ました。このような段階的な目標設定は、成長の実感にもつながりました。

もうひとつ、シンプルにお客様に喜ばれ続けることを大切にしました。これを達成できたからこそ、会社の成長に繋がったのだと考えています。

一一現在、教育コンサルティングのお仕事をされていますが、当時から経営における「人」の重要性は意識されていたのでしょうか?

亀井 リーダーのポジションにある人が、自分のエネルギーを組織全体にどう伝えるかによって、その組織の方向性は大きく左右すると感じていました。リーダーの状態は、いわば組織全体の写し鏡。リーダー自身が一番頑張って、背中で語っている時にこそ、組織も成長してます。出世をして部下が増え、マネジメントが仕事の中心となった時にこそ、リーダー自ら成長し続ける必要があるのだと思います。

ーー株や不動産投資でFIRE(経済的自立・早期リタイア)を達成されたと伺いました。これらは独学で習得されたのでしょうか。

亀井 はい、完全に独学です。働きながら、夜や休日に本や動画、セミナーなどで学びました。当時は年収も充分にあったのですが、労働してお金を稼いでいる限り、例えば交通事故に遭って働けなくなってしまえば、翌月からは収入がゼロになる。それでは本当の意味での自由はないし、大切な人も守れない、と考えていました。

一一日本人にはまだ馴染みの薄い、資産形成の大切さについて、教えてください。

亀井 まず、労働収入だけに頼っていると、どうしても会社に主導権を握られて、自由な時間が取れないという点が挙げられます。次に、繰り返しにはなりますが、自分に何か不幸があった際に、大切な人を守れるのかどうかという点。資産形成ができていなければ、これは不可能です。最後に、近年のインフレ傾向。現金のまま持っていれば、将来確実に資産は目減りしてしまいます。だからこそ、株にしろ不動産にしろ、何かに変える必要がある。日本は長らくデフレだったので、現金保有でも問題がありませんでした。でも今は違う。時代に合わせて、戦略を変えられるかどうかが分かれ目だと思います。

「豊さ」とは何かーお金の先に見えた真の自由

▲2023年インドのタージ・マハルを訪れた時の写真(画像:亀井さん提供)

ーーこれほどまでに高い金融リテラシーをお持ちでありながら、「お金だけでは本当の豊かさは得られない」ともおっしゃっていましたね。

亀井 FIREを達成して会社を辞め、世界一周に出かけたりと自由な時間を手に入れました。一方で、仕事を通じた人との関わりが極端に減り、仕事での達成感や成長の実感も薄れて、喪失感を覚えることもありました。
加えて、40代前半で資産100億を築いた知人が鬱のようになってしまったことも象徴的でした。お金や時間だけがあればいいというのではなく、人間関係や健康、感情が動く体験も必要だということを痛感しました。

一一「4つの資産」という独自の考え方をお持ちです。特に「社会資産」、「思い出資産」についてお聞かせください。

亀井 「4つの資産」とは、「金融資産」、「健康資産」、「社会資産」、「思い出資産」の4つを重視するという考え方です。

「社会資産」は、人とのつながり、つまり人間関係のこと。結局、人生の幸福は、最後には人との関係に集約されると考えています。

「思い出資産」は、尊敬する先輩から教わった概念で、「人生のバランスシートに記載できるような思い出を増やしなさい」と教わりました。そうした思い出は、後から何度でも思い返すことができる。つまり、その先何十年も「複利」を効かせることができる。楽しいことだけではなく、苦しいことも含めて、心が動いた経験が多いほど、人生の深みが出ると思っています。

ーー経済的な自由の他に、精神的な自由についても大切とおっしゃっています。

亀井 精神的な自由は先ほど申し上げた「社会資産」とも関係しています。どんな人と関わるか、あるいは関わらないかも含めて、自分で選べることが精神的自由に繋がると考えています。

そしてもう一つ大切なのは、「自由」という言葉の捉え方です。最近では「自由」が「楽(らく)」と混同されがちですが、私にとって「自由」とは多くのことに挑戦し、多くの人に貢献をして、様々な経験を重ねていくこと。そうして厳しい環境に身を置きながら、自分の人生を本気で生きる。それこそが、本当の意味で「楽しい」自由な人生なのではないかと考えています。

「やりたいこと全部やった」と言うことのできる人生が、いちばん幸せなのではないでしょうか。そういう考え方が、私にとっての精神的自由の根っこにあります。

一一現在は、株式会社ONE LIFEで教育コンサルティング事業を手掛けていらっしゃいますね。

亀井 繰り返しにはなりますが、20代の頃に様々なセミナーに足を運び、世界中のリーダーやその場でお会いした方々から刺激を受けて、少しずつ人生が変わっていきました。もちろん、会社での経験の中にも多くの学びはありましたが、そうした過去の自分の経験から、最終的に教育が何よりも重要なのだと考えるようになりました。きちんと教わって、それを実践していけば、人生は本当にどんな状態からでも変えていける。これは、私自身の体験から得られた実感です。

ただ世の中を見渡すと、学びの場というのは分野ごとに非常に細分化、特化されていると感じました。自己啓発系があれば、不動産投資、健康系があったりと、皆バラバラです。しかし私自身は、そうしたひとつひとつが全部大事だと思っています。「オールライフ」、つまり人生全体のステージや質を丸ごと高めていくような教育ができればと考えています。今はまだ試行錯誤中ですが、そうした「人生全体を見つめ直す教育」を形にしていきたいと思っています。

一一今後さらに挑戦しようとお考えのことがあれば教えてください。

亀井 どこかひとつの部分に特化した人生ではなく、全体の調和が取れた、バランスのある人生をつくっていく。そのサポートをしていきたいという想いが、根本にあります。

長期的な目標としては、いつか何千人、何万人という規模の講演会を開催してみたいと思っています。それは、私自身にとってのひとつの夢でもあります。その姿を見て、参加された方が「自分にも可能性があるかもしれない」と感じられるような空間を作りたいです。

同時に、最近は「日本の今」について強く意識するようになりました。世界一周を経て、改めて日本は本当に豊かな国だと気づきました。環境やインフラが整っていて、街も綺麗で空気が良い。四季があって、どの季節にも素敵な場所がある。
けれど、幸福度はものすごく低く、自殺率も上がっている。物質的には恵まれているのに、精神的にはどこか貧しくなっているように思えてなりません。そこを変えていきたいという気持ちが、強くあります。

「豊かさ」と「幸せ」は、必ずしもイコールではない。だからこそ、精神的にも満たされた、バランスのとれた生き方を社会全体で目指していけるように、まずは自分がそれを実践しながら、少しずつでも広げていきたいと思っています。

どんな未来でも切り開くことができる

一一講演活動を通して、どのようなことを発信していきたいですか?

亀井 私の好きな言葉で、「過去や現在は未来に影響を与えることができない」という言葉があります。これは、過去が未来を形作るわけでも、現状の延長線上にこれからの人生があるわけでもない、ということです。

過去とは全く異なる人生に変えることは可能だと、私自身の経験から強く思っています。そして現在も、実は未来とは関係がないということをお伝えしたいです。もちろん、現状を維持してしまいがちなのが人間なのですが、そこを突破することにこそ人生の意味があるのではないかと思っています。

どのような人でも、どのような苦しい状況にあっても、人生は変えられる。そのように私は言い切ることができます。

――どのような方に講演を聞いてほしいとお考えですか。

亀井 私自身、上手くいってなかった、人生に希望を持てなかったというのが10代や20代の頃だったので、今からいよいよ社会で活躍していこうとされている方、特に学生さんなどに、お話しできればと思います。とりわけ、「自分に自信がない」「自分に可能性を感じられない」という方に、ぜひお聞きいただきたいです。

一一貴重なお話しをありがとうございました。

亀井洋佑かめいようすけ

ライフコンサルタント ONE LIFE代表取締役

スタートアップ共同創設14年で売上200億、東証プライム上場。併行して、株式・不動産投資を行い、FIRE(経済的自由)に。退職後世界一周を経て、帰国後は成功法則を活かした教育コンサルティング事業を展開。講演では4つの資産(経済・健康・社会・思い出)で未来を変える方法を熱く説く。

プランタイトル

「人生は一度きり」 豊かな人生を送るために
~4つの資産をバランス良く築いて、未来を変える~

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