ヒューマンエラー(人為的ミス)は、誰にでもどんな状況でも起こり得るものです。安全な環境を維持するためにも、このヒューマンエラーを防止する必要があります。

本記事では、事例を交えながらご自身のタイプとヒューマンエラーを防ぐ工夫、対策について、人材支援コンサルタント、コミュニケーションアドバイザーとして活動する河内理惠氏に解説していただきます。

Your Image【監修・取材先】
河内理惠氏

人財支援コンサルタント
コミュニケーションアドバイザー コーチング&カウンセラー

ヒューマンエラーはなぜ起こる?自分のエラータイプを知る

ヒューマンエラーには、業務での予期せぬエラーや普段はしないミスが引き起こすエラーなど、さまざまなものがあります。大きく影響することなく済む場合もあれば、重要な労働災害につながる場合もあります。

ヒューマンエラーは、いったいどのような原因で起こるのでしょうか?

まずは、いくつかのチェック項目からエラーの原因傾向を考えます。

 

☐指さし確認を省略した
☐安全ベルトの確認を怠った
☐作業の手順を勘違いしていた
☐指示の伝え漏れがあった  他

ヒューマンエラーを日常の行動や行動の癖から見ると、<行動エラー>と<記憶エラー>の2つに分けられます。
例えば、ヒューマンエラーの原因が「指さし確認を省略した」「安全ベルトの確認を怠った」などであれば<行動エラー>と判断します。
一方、「作業の手順を勘違いしていた」「指示の伝え漏れがあった」などが原因なら、<記憶エラー>と判断することができます。

チェック項目はほかにもありますが、<行動エラー>と記<憶エラー>のどちらの項目に多く該当するかが分かれば、エラー原因の傾向が分かります。また、どちらも同数だった場合は両者が合わさっていると判断でき、より注意が必要です。

さらにエラー原因を深掘りすると、「ドジ型」「うっかり型」「バイアス型」「新人型」の4タイプに分けることができます。

ドジ型……不注意により引き起こされるエラー。例えば、「点呼のし忘れ」など。あってはならないことをした結果生じるエラーを指します。

うっかり型……記憶が影響して発生するエラー。例えば、「注意事項の聞き忘れ」など。意識せずに、ついやってしまったために起きるエラーです。

バイアス型……勘違いや思い込みにより起こるエラー。例えば、「確認したと思っていたが、確認されていなかった」など。

新人型……知識不足や技術の未熟さにより発生するエラー。本来知っていればあり得ない操作ミスが重大なエラーにつながるなどのケースがあります。

また、ルールを勝手に曲げたり、型破りな行動を取るタイプの従業員がいる場合にも注意が必要です。自分の技能に対する自己評価が高すぎたり、経験を重ねて作業にも慣れてきた状態にあると、エラーは起こりやすくなります。

エラーを防ぐためには、自分の行動傾向とエラーのタイプを把握しておくことが大切です。そうすることで、例えば、起きたエラーが記憶に起因するものであるなら、作業内容を文字化して現場の目に付く場所に貼っておく、一緒に作業する仲間と事前に作業内容を確認し合うなど、エラーのタイプに適した防止策が考えられます。

ヒューマンエラーは、その原因と起きやすい傾向を認識しておくことが防止の第一歩となります。

もしもヒューマンエラーを起こしてしまったら

ヒューマンエラーが起きた場合、できる限りその影響を少なくすることが先決です。上司や責任者、関係者に速やかに報告し、原因を究明する。そして、最小限の影響で済むように措置します。
また、エラーが起きた事実をそこでおしまいとせず、次にまた同じことを繰り返さないよう、対策を徹底することも大切です。

ここでもっとも危険なのは、ヒューマンエラーが起きた際にパニックとなり、思考停止状態に陥ることです。パニックと思考停止のコンボは、失敗の連鎖を引き起こす最大の要因です。そのような状況を避けるには、危険を予測する力(=危険感受性)がポイントとなってきます。

ヒューマンエラーを防ぐ方法とは

ヒューマンエラー防止策のひとつとして提案したいのが、日頃から危険感受性を磨く訓練をしておくこと。現場をよく観察して危険要因を洗い出すことから始め、エラーが起きたらどう対応するか、繰り返しシミュレーションします

危険感受性が高ければ、あらかじめ転倒または衝突しそうな障害物を作業場から撤去したり、障害物の周囲に危険表示テープを張って注意を促すなど、作業の前に対策をとることができます。また、高所作業や重機操作のようなリスクレベルの高いシチュエーションではどのような事故が起こり得るのか、これまでの事例から洗い出して作業マニュアルを作成することもできます。

ヒューマンエラーを防止するには、状況を正確に判断する力とともに、仲間同士の安全情報を共有することも重要になります。労働災害の発生時に限らず、過去の事例をもとに、現場の仲間とリスクヘッジについて話し合う場を設けるのもよいでしょう。

話し合いでは、

①現状把握
➁原因究明
③問題解決

の順に、どのようにすればリスクを回避できるのか意見を出し合います。話し合うだけで終わらせず、リスク回避策のルール化と実践も必要です。

ヒューマンエラーの知識と対策の実践でより良い組織づくりを

ヒューマンエラー防止の鍵となるのは、従業員一人ひとりが自分の起こしやすいエラーのタイプを理解し、対応策を判断・実行する力を持っていること。これが、ヒューマンエラーを起こしにくい安全な組織づくりにつながります。

人は統制するものではなく、教育するものである。リスクマネジメントシステムの中心は、教育された人である

私の講演では、このモットーに基づき、作業に伴う危険を見抜く力を養うコツ、リスクマネジメントコミュニケーションについてお話ししています。加えて、ストレスや疲労の対策、免疫力を高める方法など、体調管理やモチベーション維持についてもお伝えしています。

業務上でのミスが気になる方はもちろん、部下やチームの人為的ミスを減らしたい管理職の方など、多くの方に役立つ内容となっています。興味をもたれましたら、システムブレーンまでぜひお問合せください。

河内理惠 こうちりえ

人財支援コンサルタント コミュニケーションアドバイザー コーチング&カウンセラー

コンサルタントキャスター・アナウンサー教育・子育て関係者

人財支援コンサルタント。NHKアナウンサーからPHPビジネスコーチング・産業カウンセラー資格。コミュニケーションを中心とし講演・研修活動。職場や地域においてのコミュニケーション、メンタルヘルスなどを解かり易く指導。キャリアデザイン支援、心のヘルスケア等でも活躍中。

プランタイトル

リスクマネジメントコミュニケーション
~危険感受性を高めるには~

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