新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻など、社会情勢の変化によってあらゆるモノに値上げの波が押し寄せています。一方で、日本人の平均給与はここ数年停滞感が見られ、値上げが消費者の家計を直撃している状態です。

バブル期以降最大とも言われるインフレに立ち向かうために、消費者ができる節約術や見直すべき家計術を、ファイナンシャルプランナーの人気講師・下村啓介さんが解説します。

今の日本に起きている「悪いインフレ」の正体

インフレ(インフレーション)とは、簡単に言えば物価が上がることですが、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。

「良いインフレ」とは、物価すなわちモノの販売価格が上がることで企業の収益が増え、それが従業員の給料に還元され、消費者の消費量も増えるという好循環を生み出すインフレのことです。景気が良くなるとも言い換えられます。

一方、「悪いインフレ」では、商品の仕入れ価格が上がることでモノの販売価格が上がり、それが企業の利益につながらず従業員の給料も上がらないのに、モノの価格だけが高くなるため消費者の消費量が減り、景気がどんどん悪くなっていきます。日本では今この「悪いインフレ」が起きているとされ、その原因は、記録的な円安で商品販売にかかるコストの増大だと考えられています。

 1990年以降下がりっぱなしの平均所得

国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、日本人の平均給与は1990年代と比べて下がったままです。いわゆるリーマンショックの時期と比べれば多少は持ち直したものの、まだまだ1990年代の水準には届きません。

また、「世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)」を見ても国内GDPは下がっています。ずっと2位を保っていた国際順位も中国に大きく抜かれ、3位になっただけでなく4位のドイツに追いつかれそうになっている状態です。

今だから見直すべき家計のポイント

このように、日本では物価が上がって家計を圧迫しているにもかかわらず、平均所得は下がっているという悪いインフレの悪循環に陥っています。そんな今、家計を見直すためのポイントをご紹介します。

家計を改善するには、大きく分けて3つの方法があります。

  1. 収入をアップする 
  2. 支出を削減する
  3. 資産を運用して増やす

1.収入をアップする

①副業をする

昨今、「従業員の収入確保」を主な理由として、副業を認める企業が増えてきています。未曽有の経済危機にある現在、今後も副業を認める企業は増えていくでしょう。これまでのスキルを活かして稼ぎやすい仕事をするほか、自身の今後のキャリアプランを考えて副業での仕事を選ぶことも重要です。

②世帯主ではない配偶者の働き方を変える

世帯主が正社員で、その配偶者が正社員でない場合、世帯主より配偶者の収入をアップする方が現実的で、かつ効果も大きいです。配偶者の収入は、専業主婦(夫)であるか、またはパートタイマー、派遣社員、契約社員、正社員など、どのよう働き方をしているかで大きく異なります。結婚や出産で正社員を辞めているケースでは、ブランクが長くなるほど新たに正社員として雇用される可能性は低くなりますので、育児休業制度などを活用して職場復帰するプランも視野に入れましょう。

2.支出を削減する

①住宅ローンの借り換え

既に住宅ローンの金利は徐々に上昇しつつあります。さらに金利が上昇すると判断する場合、変動金利から固定金利へ借り換えて、さらなる金利上昇に備えましょう。また、金利が高い時期に借りた住宅ローンを今のうちに借り換えるのも一つの方法です。購入して年数が経過しているから借り換えても効果がないと思われている方も多いのですが、例えば15年前の固定金利は約3%と高く、今から借り換えても十分な効果が望めます。

②車関係費の見直し

ガソリン価格の高騰やインフレの影響を軽減するため、ランニングコスト(ガソリン代、メンテナンス代、保険代など)が安い車両を購入したり、車の利用頻度が低いのであれば、カーシェアやレンタカーを利用したりすると車関系費を削減できます。

他にも日常生活費、生命保険、携帯料金の見直しなども検討しましょう。

3.資産を運用して増やす

① 年齢や資産状況に応じた投資を行う

ほとんど増えない定期預金などでは、インフレの状況下では相対的に資産価値が減少してしまいます。国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、その他資産に分散させることでリスクを抑えつつ、所定の運用利回りを目指すことが王道の方法です。

この記録的円安から、日本経済に期待が持てない、あるいは、日本の国力低下を予想しているなら、外国の株式や債券を保持し、リスクヘッジを図るのも一つの手法です。これからの子どもたちにとっては、さらなるグローバル化に備え、日本を出て海外でも働けるぐらいの人材になることが、大きなリスクヘッジとなります。

➁投資の税制優遇制度を活用する

投資の優遇制を活用すると、損失のリスクが伴う株式の運用などと異なり、リスクを取らずに一定の恩恵を受けることができます。拠出額に制限はありますが、活用しない手はありません。例えば、以下の方法があります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)…配当などの運用益が非課税となるほか、拠出額が全額所得控除となり、税率に応じて税金が安くなります(還付されます)。注意点は、60歳まで引き出しができないことです。2022年10月からiDeCoの加入資格が緩和されますので、これまでは加入できなかった 方で加入可能 となるケースが増えますので注目です。

NISA、つみたてNISA配当や売却益などの運用益が非課税となります。つみたてNISAの商品ラインナップは、一定の要件を満たした、長期投資向きの投資信託に限定されていますが、NISAなら投資信託のほか、個別株を購入することもできます。また、NISAとつみたてNISAでは年間の非課税投資枠や非課税期間も異なるため、自身にあった制度を活用して下さい。

ファイナンシャルプランナーおすすめの節約術

「節約」というと、スーパーのチラシを片手に1円でも安く買える店舗で物を購入するようなイメージがありますが、節約には他にも様々な方法があります。ファイナンシャルプランナーおすすめの節約術を5点、ご紹介します。

1.将来の大きな支出から逆算して、毎月の給与から一定額を貯蓄する

将来的に大きな支出がある場合、逆算して毎月の給与から一定額を貯蓄する方法が効果的です。規則的に控除することで自然と大きな額を貯められ、手元に残った分から使うよう工夫も生まれるでしょう。また、毎月定期的に貯蓄残高を確認すると、節約や資産運用のモチベーションも上がります。

2.自給自足など

「自給自足」も節約になります。家庭菜園、料理、DIY、物の修理やリユース、洗車、歩ける距離は歩くなど、自分でできることは自分ですることが「チリツモ貯蓄※」につながります。ポイントは楽しむこと! 苦痛に感じると長続きしませんので、楽しみながら行いましょう。
※チリツモ貯蓄=「チリもつもれば山となる」の言葉のとおり、小さなことを継続して行いコツコツ貯めていく貯蓄方法。

3.健康管理

体と心を健康に保つことは、長い目で見ると大きな節約や収入維持につながります。万が一のこととしても、通院費や入院費、手術費が発生すれば予定外の出費として大きな負担になります。「健全な食生活」「運動」「適度な睡眠」「ストレスの軽減」が健康のカギです。この機会にぜひ、生活習慣を見直してみてください。

4.先買い

必ず必要になるもの、保存がきくもの、保管スペースが確保できるものを、物価がさらに上がる前に購入しておくのもよいでしょう。例として、お墓、土地、ティッシュ、トイレットペーパー、塩、砂糖、洗剤などが挙げられます。また、賃貸住宅の場合は、今後上昇が予想される家賃を考えると、マイホームの購入もインフレ対策の一つと言えます。

5.フリマアプリなどを活用して中古品を安く購入

中古品でも問題のないものは、メルカリ、PayPayフリマ、楽天ラクマ、ヤフオクなどのフリマやオークションサービスで、正規の価格より安く購入する方法もあります。最近では、スマホアプリでより手軽に活用できるようになりました。アプリと聞くと難しく感じる方もいるかもしれませんが、一度覚えてしまえば簡単です。逆に不用品を売ってお小遣いを稼ぐこともできます。

 ハッピーな未来を歩み続けるためには、生活設計と家計管理が重要!

本コラムでは主に家計の見直しや節約術について解説しましたが、ハッピーな未来を歩み続けるためには、自らのライフプランを考えるとともに家計管理をしっかりと行っていく必要があります。

講演では受講者が思い描いた幸せなライフプランを実現できるよう、上述の節約や資産運用の内容をさらに詳しく解説するとともに、その他の節約術なども解説致します。再現性ある情報を基に行動を起こし、大切な人生を守る機会にして下さい。
講演のご依頼についてはシステムブレーンまでお問い合わせください。

下村啓介  しもむらけいすけ

闘魂ファイナンシャルプランナー 株式会社全力講師 代表取締役


コンサルタント実践者

情報は伝わって実践できてこそ!『お金』や『人生』の情報をオモロく、わかりやすく、時に熱血に全力講演。リピート依頼も多く、伝え続けること1000回以上。『朝が無事に始まるだけで超ラッキー。あとは自分次第!』というポジティブ思考で、仕事もプライベートも一笑懸命!

プランタイトル

インフレ時代に打ち勝つ家計術

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