コロナ禍で接触を避けて開催可能と注目される「オンライン講演」ですが、本当のメリットはそれだけではありません。
個人的に、オンライン講演の最大のメリットは「参加する全ての人が場所を選ばずに参加できること」だと思っています。
オンライン講演は、インターネットさえあれば、場所に制限されることなく、自由にどこからでも参加することができます。
極端な話、地球の裏側にいる講師を呼んだり、海外の聴講者を招いたりすることもできるのです。

今回の事例は、九州の地方都市と東京の貸スタジオを結んで中継を行ったオンライン講演の事例です。私が初めてオンラインで対応させていただいた案件にもなります。

会場のセッティング方法や九州の中継会場と東京スタジオとの接続方法など当日の様子を詳しく解説いたします。

企業・ビジネス団体チーム 営業事務担当 光田 南々帆

■目次
講演テーマ: どうなる?今後の日本経済
講師   : 門倉 貴史 氏
主催者  : K経済団体 様
開催日時 : 2020年11月下旬
講演時間 : 1時間半
聴講者人数: 約100人
使用ツール: Zoomミーティング
講演タイプ: :B. 講師から会場聴講者へ生配信タイプ

リアルからオンライン講演に移行するまでの経緯

私は日ごろ、企業・ビジネス団体チームの営業補佐を行っています。今回の案件も、同じチームの松田からの依頼があり、サポートに入ることになりました。

本案件の主催者様は、九州の地方都市のK経済団体様。

昨年(2020年)2月頃に最初の問合せがあり、もちろん当時はリアル開催で、同年6月末の開催に向けて中継会場となるホテル会議室も押さえてある状態でした。講師には「経済関係の著名人」というご指定があり、門倉先生をご紹介させていただきました。

そろそろ講師の航空券を手配しなければならないと考えていたころ、ご周知の通り、未曾有の新型コロナウイルスの感染拡大。他の案件同様、キャンセルにするのか延期にするのか、先行き不透明の状況でした。

主催者様の方から「ひとまず11月末の延期で…」とお申し出があったのが同年の8月頃だったかと思います。延期に決まったとはいえ、あちこちでクラスター発生のニュースが報道され、主催者様もリアル開催に不安を持たれていたご様子でした。最終的には、規模を縮小して一部リアル、一部をオンラインで開催することで収まりました。

当初の参加人数は100名程度。その半分にあたる50人ほどの聴講者は九州のホテル会議室に集まり、それ以外の聴講者はオンラインで参加、講師は東京の貸スタジオより生配信するというBタイプの方法で行うことになりました。

遠隔地配信のてはず

講師が中継会場とは離れた場所で収録や配信する場合に、必要となってくるのが講師の配信・収録場所です。講師の中にはご自身の事務所から行われる方もいらっしゃいますが、今回の門倉先生のように個人事務所を持たずに、配信・収録場所を手配しなければならないケースもあります。

昨今の需要に伴い、ウェビナー(オンラインセミナー)用の貸会議室やスタジオも増えつつあり、東京にあるウェビナー対応の貸スタジオを見つけることはそれほど難しいことではありませんでした。

オンライン講演は初めてという主催者様にできるだけご負担をかけないために、スタジオを見つける際には、以下の点に注意しました。

  • ウェビナー用に専門機材が揃っている
  • ウェビナーに精通したスタッフがいる
  • 駅に近く交通アクセスがよい

東京のNスタジオを押さえ、講師の撮影の手配と段取りは弊社とNスタジオで行うことにしました。資料投影はNスタジオのPCを使って行うため、事前にNスタジオの担当者に資料をお送りしました。Nスタジオの担当者がZoomで資料を画面共有して、資料の見え方の検証を行ってくださいました。

当初、門倉先生からいただいたPowerPoint資料にはボーダーの背景が入っていたのですが、それをZoomで画面共有した場合に、背景のボーダーのせいで文字がつぶれて見えたようです。Nスタジオ担当者からの指摘があり、背景を削除して、当日は文字もクリアに表示させることができました。

九州の中継会場のセッティング方法

中継会場はホテルの会議室です。もともとプロジェクターや講演の様子を投影するスクリーンもあったため、主催者様の方では、参加者の入室管理を行うPC1台と場内撮影用のwebカメラ1台を用意していただきました。プロジェクターに主催者様のPCをつなぎ、Zoomの画面をスクリーンに投影。同じPCにwebカメラをつなぎ、webカメラから場内全体を撮影しました。

セッティングにあたっては事前に弊社からセッティング方法をお知らせして、機材のセッティングをお願いしました。主催者様もオンライン講演は初めてとはいえ、通常のリアル開催とセッティング方法に大きな違いがなかったため、セッティング自体は難しくなかったようです。

講師の配信スタジオのセッティング方法

当日、弊社の東京本部から弊社スタッフも東京Nスタジオに赴きました。当日の配信スタジオは、以下の図のような形で、講師が中継会場と投影資料を見るための大型モニターと、講師を撮影するためのビデオカメラが1台のPCにつながれており、そのPCで画面共有とビューの切り替えを行いました。こちらのセッティングは、Nスタジオが行いました。

Zoomの役割

今回はZoomミーティングを使って、九州の中継会場、東京のスタジオ、私のいる大阪本社を結んでライブ配信を行いました。Zoomでは、会を主催し、進行管理するホストが必要です。そのため、3つの会場にいる主催者様と弊社、Nスタジオ担当者がそれぞれ共同ホストとなり、役割を分担しました。分担した役割は以下の通りです。

 

主催者様(九州の中継会場) 招待メールを各聴講者へ送信、参加者の入退室の管理
SB大阪本社 開催の設定、招待メールの発行、進行、質疑応答の割り当て
東京Nスタジオ 資料の画面共有、ビューの切り替え

当日は、私の方で司会進行をさせていただき、主催者様は主に参加者(聴講者)の入退室の管理を行っていただきました。Zoomでは、ホストが、講演を行う本ルームに入る前に待機ルームを用意しておき、待機ルームに入ってきた聴講者を確認した上で本ルームに入室させることができる機能があります。その入室の許可を主催者様に担当していただきました。

東京のNスタジオでは、講師の撮影に合わせて、PowerPoint資料の画面共有、またビューの切り替えを主に行っていただきました。ビューの切り替えでは、参加者全体を映すギャラリービューや話している人を大きく表示させるスピーカービュー、資料のみ表示させる画面共有ビューなど、必要に応じて画面の見え方を変更することができます。テレビ収録でいえば、カメラワークような作業で、そちらに関してはNスタジオの担当者にお願いしました。

当日のスケジュールと打ち合わせの様子

当日のスケジュールは以下の通りです。
15:30~16:00 Zoomにて打合せ(ホテルの会議室、東京のスタジオをつないで)
16:00~16:30 ホテルの会議場とつないだ状態で待機
16:30~17:50 講演「どうなる?今後の日本経済」
17:50~18:00 質疑応答

私は14時頃にPCを用意して、いち早くZoomに接続しておきました。先にNスタジオに着いた東京の弊社スタッフとともに、まずは接続状況を確認しあいました。15時頃、講師の門倉先生がNスタジオに到着。そのタイミングで、主催者様と私共、講師の門倉先生をZoomで接続して、顔合わせをした後、当日の流れを打ち合わせし、接続状況、画面共有の見え方を再確認しました。

通常ですと、画面共有は講師の目の前で置かれたPCを講師が直接操作しながら次のページを表示させていきます。しかし、今回は、画面共有されるPCはNスタジオ担当者の前にあり、講師は目の前にある大型モニターを見ながら、赤外線で遠隔操作できるクリッカーを使ってページ送りの操作を行いました。通常とは異なる特殊なやり方であったため、こちらを重点的に確認。打ち合わせは何の問題もなくスムーズに済ませることができました。

講演の様子

講演も順調に進みました。講演内容は、パンデミックやアメリカ大統領選挙、オリンピック中止によってどのような経済的な損失があるかという経済全般の話題から、通勤時間の長さと夫婦仲の関係、「君の名は。」の経済効果は?など、身近な話題まで幅広く、時折メモをとっている聴講者の方も見受けられました。終盤に向けて人気テレビ番組「ホンマでっか!?」で見せる独特の口調で、食費や暖房費を節約できる「ホンマでっか!?」な情報をいくつか披露していただきました。笑いあり、感心ありで、充実した1時間半となりました。

オンライン講演自体は総体的にうまくいったと思っていたのですが、東京のNスタジオにいた弊社スタッフによると、時々、講師が思うようにページ送りの操作ができなかったといった報告が入っています。遠くにいた私たちにはわからなかったのですが、門倉先生がクリッカーを押したタイミングで次のページに推移せずに、何度がクリッカーを押していたということでした。

原因として、恐らく、クリッカーがうまく作動しなかったことが考えられます。また、1台のPCで画面共有とビューの切り替えを行っていたため、ビューを切り替えるタイミングにZoomが優先的に表示され、PowerPointの画面が後方に表示されたために、PowerPointが一時的に操作できなかったことも考えられます。そのため、画面表示とビューの切り替えは別のPCでやった方がよかったと思いました

距離を超えてできる自由度の高さ

オンライン講演は、このように東京と九州をつなぐだけではなく、北海道や沖縄、はたまた海外をつないで実現が可能です。インターネットさえあれば、海外に住む講師や宇宙空間にいる宇宙飛行士を講師に招くことだってできるのです。これまでは遠くだから移動に時間が割けないと諦めていた講師にも打診することもできます

無限な可能性を秘めたオンライン講演を、今後とも推進していきたいと考えています。もし、遠くに住むあの講師に講演を頼みたいというようなプランをお持ちであれば、お気軽にご相談ください。

【この記事を書いたスタッフ】

光田 南々帆 みつだ ななほ
金融業界に務めていましたが転職し、2018年に入社。営業事務をしております。
昔から好奇心だけは旺盛で、新しい経験や発見をすることが好きです。特に旅行が好きで、今は海外1人旅が目標です。事務職であっても、お客様や講師の方々とやりとりをすることが多く、毎日新しい発見があるこの仕事にやりがいをもって働いています。精一杯サポートいたしますので、お気軽にご相談ください!

あわせて読みたい


【SBスタッフ事例レポート第30回】
リアルからオンライン開催に!開催スタイルの変更も臨機応変に対応

早いもので、今年(2022年)の後半期に突入しました。上半期を…

【SBスタッフ事例レポート第29回】
プロによる出張サポートで本格的なハイブリッド型オンライン講演を実現

オンライン講演の中でも一番難しいとされるのがハイブリッド型配信…

【SBスタッフ事例レポート第2回】
共感体験を倍増させるオンデマンド配信のアイデア

SBスタッフのオンライン講演事例レポート 第2回。今回は、自治…


 他の記事をみる

オンライン講演お役立ち記事


Zoomのオンライン講演、参加者に顔出ししてもらうには? 主催者がやるべきこと

Zoomでオンライン講演を行う際に、主催者様の悩みとして取り上…

【Zoomウェビナー上級編】知っておくと便利!リハーサルに使えるZoomウェビナーの実践セッション機能

オンライン講演でも人気の高い配信ツールである「Zoomビデオウ…

【Zoomウェビナー上級編】参加者を録画禁止にする方法

オンラインによる講演(セミナー)にも著作権が発生します。しかし…


 他の記事をみる