3度目の緊急事態宣言が出され、講演を予定している主催者様は、オンラインにするか、リアル開催にするか、悩むところです
オンラインにすれば、3密を回避して実施できるので、見通しを立てやすくなります。
しかし、聴講者がオンラインに慣れていなかったり、親睦が目的の会である場合は、「できればリアルで行いたい」とお考えの主催者様もいらっしゃいます。
本案件は、コロナ禍が少し落ち着いたころに十分な感染対策をした上でリアル開催を行った事例です。
オンラインではなく、あえてリアルで開催した経緯、そして実際の感染対策について具体的に解説いたします。

JA・保険業 担当 石川 有信

■目次
第1回
講演テーマ : 大丈夫だよ、がんばろう!
講師   : 山田邦子 氏
主催者  : A組合女性部 様
開催日時 : 2021年4月中旬
講演時間 : 1時間
聴講者人数: 約450人
講演タイプ: リアル開催

リアル開催か、オンライン開催か

今回の主催者様は、A組合女性部様。本案件は、組合員に生涯学習の場を提供することを目的に、おととし(2019年)から計画されていたものです。当初は昨年(2020年)4月開催予定だったのですが、コロナ禍で翌年の同月に延期となりました。
延期を決めた直後は、すぐにコロナ禍も収まって、リアルで開催できるだろうという考えでした。
ところが、昨年の年末になっても事態は好転せず、新型コロナウイルスの新規感染者数は増えるばかり。
弊社で予定されていた多くの講演は、オンラインに切り替えられました。

本案件の主催者様にもオンラインの提案いたしましたが、本案件の聴講者は30~70代までと幅広く、その多くが配信ツールに慣れていないことも考えられるため、オンラインには消極的でした。また、今回の会が組合員の親睦も目的としていること、講師が山田邦子さんという著名人で実際に生で会いたいといった組合員の声も多かったこともあり、なるべくリアルで行いたいということでした。

とはいえ、新規感染者数は日々変わり、先が読めません。実施するかどうかは開催日ギリギリまで待つしかありませんでした。

今年(2021年)2月末に2回目の緊急事態宣言が解除され、新規感染者数は多少落ち着いたように見えました。また、開催地が主要都市ではなかったこともあり、3月にリアルで開催することを正式決定しました。

徹底した感染対策

開催地域の新規感染者数が少ないとはいえ、やはり感染リスクはゼロとはいえません。そのため、主催者様は感染対策を徹底されました。
まず、会場は参加予定人数の3倍の収容人数である会場を押さえました。参加予定人数は450人でしたが、会場は1300名収容の大きなホールです。1席ずつ空席にし、列も一列ずつ空ける形で座席スペースを作りました。
また、講師の前にはアクリル板を立て、会場のあちこちに消毒液を設置。参加者には当日健康チェック表の提出と講演中のマスク着用を徹底。大声でのおしゃべりをやめていただくよう依頼し、入口での体温測定を行いました。他にも、以下のような感染対策を行ったそうです。

  • 会場の換気を常に行う
  • 時間差で会場に参加者を入れる
  • ドアノブなど手に直接手が触れる場所を定期的に消毒
  • 感染者が出たときのために参加者の連絡先リストを作成

笑いあり、感動ありの講演

講演は、乳がん闘病記を中心に山田さんご自身の活動や生き様を語るというような内容です。
山田さんは、2007年にあるテレビ番組で乳がんであることが発覚します。検査、告知、手術…。心折れそうなときにも、山田さんらしい強さと明るさで乗り切り、何とか克服。普通なら湿っぽくなる闘病体験も、ユーモアを交えながら話していただけるので、とにかく会場は始終笑いっぱなしだったそうです。

聴講者からは、「前半はお腹を抱えて笑ってばかりだったが、後半はグッとくるところもあり感動しました」「昔テレビでよく見たタレントさんと間近でお話しすることができ、元気をいただきました」「最後には歌まで披露していただき、サービス精神旺盛な方で好感が持てました」などの感想が寄せられたとのことでした。
主催者様からも以下のような感謝のお言葉をいただきました。

「山田さんからたくさんの元気をいただき、好評のうちに終えることができました。今回も開催できるか心配はありましたが新型コロナ感染防止対策を講じて無事に終えることができよかったです。ありがとうございました。」

リアルでできるか、できないかの判断基準

まだまだ新型コロナウイルスの感染者数は増大しており、リアル開催を予定しているけれども本当にリアルで開催してよいものか迷っている主催者様もいらっしゃいます。そこで、私なりのリアル開催ができるかどうかの判断基準を以下に書き出してみました。

リアル開催可能 開催不可能
  • 開催地の新規感染者数が開催日から2週間前まで増加がみられていない
  • 開催地又は周辺地域で「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」が出ていない。
  • 開催地で条件(屋内/屋外、参加人数など)が似たようなイベントが開催されている。
  • 開催地や周辺地域でクラスターが2週間以上報告されていない
  • 参加人数2倍以上の会場が確保できる。
  • 室内会場であれば十分な換気が行える。
  • 参加者にマスク着用と健康チェック表の提出を徹底させることができる。
  • 開催地又は周辺地域で「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」が出ている。
  • 開催地の新規感染者数が前週より2倍増加
  • 開催地で条件(屋内/屋外、参加人数など)が似たようなイベントが中止になっている。
  • 参加人数の2倍以上の会場が確保できない。
  • 室内会場であれば、会場に換気設備(窓、空気清浄機など)がない。
  • 自治体からイベント中止の要請が出ている

上記の判断基準は私が考える基準であるので、あくまでご参考程度にしてください。
弊社としては、感染リスクをゼロにするためにもなるべくオンラインをおすすめしていますが、会の目的や聴講者の年齢層によってどうしてもリアルではないと開催が難しい案件もあります。どうしてもリアルで実施しなければならない場合には、参加者を複数の会場に分けたり、一部を会場、それ以外はオンラインといったオンライン+のリアルのハイブリッド型にしたりする方法もあります

講演をお考えの主催者様は、こんな状況でリアル開催ができるのか、リアル開催するためには何をすべきかなど、たくさんの不安や疑問があるかと思います。こんな時期だからこそ、一つ一つていねいに対応させていただき、主催者様の不安を解消できたらと考えています。どんな些細なご質問でも構いません。いつでもお気軽にお問合せください!

【この記事を書いたスタッフ】


石川 有信 いしかわ くにのぶ
大阪府池田市で生まれ、三重県四日市市で育ち、現在は奈良県生駒市に在住。家族構成は妻、長男、次男の4人家族です。サッカー、フットサルは見るのもするのも大好きで、自分はシニアのチームでプレイし、また土日は地元の少年サッカーチームでのコーチをしており、年中真っ黒です。
仕事は楽しみつつも、真剣に。主催者の方、講師の方と一緒に良い講演、イベントを作り上げていきたいと常に考えています。

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