オンライン講演は、講師の移動費用や会場費用が節約できるというのも魅力の一つですが、講師が別の場所にいる場合はスタジオ費用が必要となってきます。

東京の本格的な貸スタジオですと、3時間程度で15~20万円程度。リアル開催と変わらない費用が必要となる場合もあります。
主催者様の中には「会場費用をできるだけセーブしたい」という方もいらっしゃいます。そんな主催者様のために、会場費用をできるだけ抑えた事例を紹介しながら、オンライン講演におけるコスト削減のコツを探っていきたいと思います。

建設業・サービス業・業界団体ほか担当 西澤 優香

■目次
講演テーマ : ウィズコロナ時代の消費者動向
講師   : 北村 森 氏
主催者  : AA協会様
開催日時 : 2021年2月
講演時間 : 1時間半
聴講者人数: 50人
講演タイプ: C.講師から個別視聴者へ生配信タイプ
配信ツール: Zoomビデオウェビナー

限られた予算の案件

本案件の主催者様であるA協会様は、会員相互の交流を目的に年に2回ほど講演を行っていらっしゃいます。数年前に一度弊社をご利用いただいたのですが、オンライン講演サービス開始のご案内を兼ねて昨年(2020年)の秋ごろ久しぶりに担当者の方にメールを差し上げました。すると、すぐに「来年にオンラインで開催したい」と連絡をいただき、予算やご要望の講演テーマをヒアリング。講演テーマについては「コロナ禍の市場動向」というオーダーをいただき、ご予算内で手配可能な数名の講師をご紹介しました。

その結果、「ヒット商品から学ぶ最近のトレンド」「これからの売れ筋商品」などをテーマに講演を行う商品ジャーナリストの北村森さんに依頼することになりました。北村さんは、『日経トレンディ』元編集長で、現在はサイバー大学 IT総合学部の教授として「商品企画論」を教えていらっしゃいます。コロナ禍にどんな商品が売れているのか、その消費者の動向を探り、各業界で起こっているムーブメントについて解説するというような講演内容も決まり、後は講師の配信場所の手配が残るだけとなりました。

ところが、ここで問題が起きました。
北村さんは東京在住であり、東京で配信場所を手配しなければならないのですが、その場所代にはあまり予算がかけられないということ。東京の本格的な貸スタジオは平均的に3時間借りて15~20万円程度。なかなか予算にあう場所が見つかりません。

そんな中、安価で借りられる方法を考えてみました。
まずは配信場所の広さです。当日は講師である北村森さんのほか、運営スタッフとしての私1人のみの同席となります。8名用など狭いところでも問題ないと判断。そこで、貸スタジオではなく、貸会議室をあたってみました。小人数の会議室であれば、1時間5000円以内で借りれる場所もあります。
運よく、弊社東京本部の近くにある格安の会議室を見つけることができました。講演前後のリハーサルや機材設営時間を加味しても、大変安価におさまります。

とはいえ、会議室であるため、配信に必要な機材は一切ありません。PCやカメラ、ライト、マイクなどは、会社から持ち込むことにしました。

このようにお客様によっては、決められた予算のなかでやりくりしないといけない場合も多々あります。そのような場合、その範囲で行える最高の形を考え、提案するようにしています。

貸会議室からの事前打ち合わせ

▲事前打ち合わせで会社から持ち込んだ機材

弊社でオンライン講演をする場合には、当日の接続トラブルや操作ミスなどを回避するため、必ず事前打ち合わせを行っています。それは、主催者様と弊社、講師の3者である場合もあれば、主催者様と弊社だけの2者打ち合わせになる場合もあります。今回は後者の2者打ち合わせということで、開催日2週間前ほどに私は実際に貸会議室に赴き、打ち合わせを行いました。

幸いなことに、今回打ち合わせのために別途レンタル料金をとられることなく、接続テストや当日の流れのすり合わせを行いました。当日と同じように、カメラ、ライト、PC、マイクをセッティングし、講師の見え方や音声品質についてチェックしました。カメラの角度、ライトの当て方を細かく調整し、インターネット速度も確認。全てが滞りなく、事前打ち合わせを終えることができました。

投影資料を効果的に使い、わかりやすく解説

▲当日の配信風景。機材は全て持ち込んだ

北村さんは、大学の教授もされています。現在はコロナ禍でオンライン授業となっているため、オンライン講演についてはベテランです。PCの画面操作も手慣れたもので、Zoomの画面共有も安心してお任せすることができました。

講演内容は、このコロナ禍のピンチをチャンスに変えて成功した商品、アプリ、ホテルなどを紹介。なぜバズったのか、何が転機となったのかを成功キーワードとともに、わかりやすく解説していきました。

個人的に心に残ったのが、棋士の藤井聡太さんが着用し話題となったシルクマスクの話です。製造元は、和装帯を専門とする福井県の小杉織物。今の社長が引き継いだ時は、和装帯から浴衣帯製造にシフトし、順調に業績を伸ばしてきたそうです。
ところが昨年のコロナ禍で花火大会が続々とキャンセルとなり、浴衣帯の注文が激減。昨年3月末に全面休業となり、社長は一人これまでの浴衣帯を使って何ができないかと考えたそうです。その時、ちょうど日本で初めての緊急事態宣言が出され、市場ではマスク不足が大きな問題となっていました。その時、社長はひらめきます。

浴衣帯の材料を使って、シルク製マスクを作ってみてはどうだろうか…。

絹はガーゼのように湿度や温度調整もでき、洗うことも可能。また、鼻の形に合わせた形状ワイヤーも在庫があり、耳ゴムも自社で製造することができました。

こうして、休業を決めた翌日に試作品の作成にとりかかり、たった5日ほどで試作品を完成させました。「洗える絹マスク」ということで問屋にもちこむと、3日間で1万5000枚もの注文が入ったそうです。
その後、従業員も戻り、右肩上がりでマスクの売上も伸びますが、6月末にまた売上が落ち込みます。そんな時、人気棋士の藤井さんが昨年7月の重要なタイトル戦でこのマスクを着用して臨んだところ、SNSで話題となり、同社に問合せが相次いだそうです。

この成功の勝因として、講師の北村さんは「藤井さんがマスクを着用したことだけではなく、休業を決めた翌日に、すぐに試作品を作り、問屋へと走った社長の行動力の高さとひらめき、そして時機を逃さなかったこと」と結論付けています。
SNSで人気となりパズったとしてもそれは一時的なもの。「バズる」ことで一時的な人気が出たとしても、ブームはいつか去るものです。しかし、その商品が高品質であるとしっかりと認知されれば、末永く愛用されます。「バズる」ことを考えるより、思いついたときに動ける行動力、今何を求められているかを察知できる能力が重要である、そんなメッセージを受け取りました。

最後に、今後のヒット商品の予想を解説していただきましたが、最近聞いたことがある話題であったり、初めて知る内容であったりと、興味深く拝聴しました。

私自身も講演内容に感動しましたが、主催者様や聴講者の方々もご満足していたそうです。主催者様の方で講演後にとられたアンケートによると、聴講者の満足度は10段階評価で平均して何と9以上!多くの方々にご満足いただけたようでした。

オンライン講演のコストを抑える方法

私が担当している案件の中には、あらかじめ決められた予算内でやりくりしなければならない案件も多々あります。限られた予算内でも人気講師を呼ぶため、場所や機材代などはできるだけ抑えたいというお話もとてもよく耳にします。
実際、どのようにすればコスト削減できるのか、下記の通りまとめました。

  • 講師の収録場所は貸スタジオより安く借りられる会議室やビジネスホテルの一室など利用
  • 配信ツールは普段業務で使っているものを使用。
  • 配信に最低限必要な機材(カメラ付きPC、ワイヤレスマイク)だけを用意する
  • 当日の運営はできるだけご自身で行うようにする。
  • 講演の募集告知は自社サイトやSNSを駆使し、広告費用をカットする。

オンライン講演の場合、講師の謝金代以外に一番かかる費用は、配信の場所代です。こちらは会議室やビジネスホテルのショートステイプランを代用することで、2~3時間程度1万円以内でレンタルできるところもあります。

また、弊社では「少ない予算でもそれなりの品質で配信したい」という主催者様のために、大阪本社と東京本部に自社スタジオを開設しました。防音仕様のスタジオには、高性能カメラ、クロマキー、ミキサーやスイッチングなど、高品質で収録できる機材を取り揃えており、一般的な相場の2~3割ほど安くレンタルできます。

「予算が限られている」「この講師を呼びたいけど、どれくらいの予算が必要?」など、ご予算に関する質問がございましたら、お気軽に弊社までお問合せください。予算内で主催者様の御要望を最大限実現できるようなプランをご提案します。

【この記事を書いたスタッフ】


西澤 優香 にしざわ ゆうか
横浜市出身。東京都内在住。学生時代より能楽をみることが好きで、今も定期的に能楽堂に通っています。このお仕事に就き、落語家さんをご紹介させて頂くことも多く、寄席にも足を運ぶようになりました。他にもミュージカルやコンサートなど、生のものが大好きです。
お客様の目線に立った提案を心掛けています。最高の「一期一会」となるように、聴講者の方々の心に残る講演をプロデュースいたします!

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