弊社の主流配信ツールであるZoomミーティング。
有料プランを選択すれば、最大1000人まで利用できますが、それ以上の参加者がいる場合はZoomビデオウェビナーを選択する必要があります。
本講演で想定される参加人数は1000人以上。この規模であればZoomウェビナーが適しているとも思われましたが、主催者様のご意向でZoomミーティングとYouTube Liveの併用型で行うことになりました。
私たちチームで、ZoomとYouTube Liveとの併用は初めての経験でしたが、使ううちに思わぬ収穫もありました。
ZoomミーティングとYouTube Liveの連携の仕方、初めて知り得た特長についても解説します。

自治体・医療福祉・公的団体・学校・PTA・教育委員会チーム

■目次
講演テーマ: 家庭で出来るお手軽減災法
講師   : 木原 実 氏
主催者  : A保育団体 様
開催日時 : 2021年9月上旬
講演時間 : 1時間20分
聴講者人数: 約1,000人
講演タイプ: B.講師から会場聴講者へ生配信タイプ
配信ツール: Zoomミーティング+YouTube Live

大人数の一方向配信に最適なYouTube Live

Zoomミーティングの良さは、何といっても双方間のやりとりに長けた機能が揃っていること。パネリストを入れたセミナーや研修など、双方間のやりとりが必要な講演では、Zoomミーティングがその威力を発揮します。しかし、無料版なら参加者が40分以内で100人まで、有料版でも1000人までと、1000人以上の大規模な講演には向いていません。

それに対し、一方向の特長をもつZoomビデオウェビナーは、最大で10,000人までが参加でき、講義など講師が一方向に話し、参加者はそれを聴講するという形の講演に向いています。

本案件は参加者が1,000人以上を想定した大人数の講演でしたので、Zoomビデオウェビナーが適しているとも考えられましたが、主催者様から、ご自身でYoutubeのチャンネルを持っており、普段の研修はそちらから配信しているので、Youtube Liveを使って配信を行いたいとの連絡がありました。

Youtube Liveとは、YouTube上でライブ配信ができるサービスのことで、Zoomビデオウェビナーに比べて以下のような特長があります。

  • 利用料がかからない
  • 配信人数の制限がない(Zoomビデオウェビナーは有料プランでも10,000人まで)
  • ライブ配信された動画は自動的にアーカイブされ、配信期間の限定がない

その反面、Youtube Liveはストリーミング配信のため、20秒程度のタイムラグが発生します。そのため、チャットや質疑応答をするときに、講師側と聴講者側で時間のズレが生じ、双方向のやりとりが難しいといったデメリットもあります。

今回の主催者様がYoutube Liveの使用にこだわるのは、やはり参加者の多くが普段からYoutube Liveを使用しており、その操作に慣れているからとの理由でした。また、本講演は保育施設で働く保育士やその施設を利用する父母向けの勉強会であり、講義という意味合いが強かったので、そこまで双方間のコミュニケーション機能が必要でありませんでした。

ただし、本案件の講師である木原 実さんから、「できれば講演では小人数でもよいので参加者の表情を見えるようにしてほしい」との要望があったので、主催者様と10数人の参加者はZoomミーティングでビデオをオンにして参加し、その模様をYoutube Liveでストリーミング配信する、という形で行うことになりました。

2回にも及ぶリハーサル

今回、私たちは、本講演の運営をサポートすることになりました。通常のサポートプランでは、リハーサルを1回と定めていますが、今回の併用型が私たちチームで初めての試みとなったため、1回目は主催者様と弊社で、2回目は講師の木原さんと弊社と、合計2回のリハーサルを行いました。

まずは、ZoomミーティングとYoutube Liveの連携の方法を調べ、事前にやり方を試してみました。連携方法には、当日にYouTube LiveとZoomと連携させる方法と、事前にYouTubeイベントで設定し連携させる方法があります。今回は後者の方法を選択しました。
➡詳しくは「【Zoomウェビナー上級編】YouTube LiveでZoomビデオウェビナーを配信する方法」を参照。

ここでは、覚書として「事前にYouTubeイベントで設定し連携させる方法」について記しておきます。この方法には、以下の2つのステップと前提条件があります。

【2ステップ】

  1. Zoomミーティングの設定を変更する
  2. YouTube LiveとZoomと連携させる

【前提条件】

  • 配信を行うホストがYoutube Liveのアカウントを持っている(ない場合には登録設定を行います)
  • Zoom デスクトップ クライアントアプリのバージョンが 4.4.53582 以降である

YouTube Liveのアカウントは、以前は「チャンネル登録者数が 1,000 人以上である」という条件がありましたが、現在、その条件はモバイルからの配信のみに限定され、PCからの配信であれば「チャンネル登録者数が 1,000 人以下」であっても、ライブ配信はできるようなっています。
ただ、Youtube Liveのアカウント登録には1日かかりますので、ない場合には早めに登録した方が賢明です。

次にステップごとに手順を解説します。

1.Zoomミーティングの設定を変更する

  1. ホスト(弊社)がZoomのwebブラウザにサインインし、「アカウント管理」➡「アカウント設定」で設定したミーティングを選択します。
  2. 設定画面から「ミーティングのライブストリーミング配信を許可」をオンにし、オプションにある「YouTube」と「カスタムライブストリーミング配信サービス」をチェックします。
  3. 「保存」をクリックすれば、Zoomでの設定は終了です。

2.YouTube LiveとZoomと連携させる

次にYouTube側でライブ配信をスケジューリングします。

  1. YouTube Studioを開き、サインインします。
  2. 「管理」をクリックし、「ライブ配信をスケジュール設定」ボタンをクリックします。
  3. 「ストリームキー」、「ストリームURL」、「ライブストリーム配信ページのURL」をコピーします。
    オプションとして、ZoomからYouTube側への配信は手動で行いたかったので「自動スタートを有効にする」「自動ストップを有効にする」はオフにチェックしました。また、今回は録画NGという条件が講師事務所から出ておりましたので、ライブ配信後に自動的にアーカイブ保存されないように設定しました。
    アーカイブとは別に、数時間ならば生配信を遡れるという「DVR」という機能があったので、こちらは「有効にする」にしました。(この機能の有効性については後述します)
  4. Zoomミーティングの「ライブストリーム設定」にいき、先ほどコピーした3つのコードをペーストします。

事前の準備は以上となります。
当日になったら、Zoomのミーティングを開始し、コントロール内の「その他」から「カスタム ライブストリーム配信サービスにてライブ中」 をクリックすることで、Zoom がライブストリーム配信を開始します。YouTube Studioに戻って、「ライブへ」をクリックすると、YouTube Liveが始まります。
Zoom画面左上に「LIVE カスタムライブストリーム配信サービスに参加中」と表示され、YouTube側に「ライブ」と表示されれば成功です。

以上にような方法で、第1回目のリハーサルを行いました。私たちチームで、Zoom参加者役とYouTube参加者に分かれて、配信の様子を確認しましたが、両方の映像・音声ともに遜色ない品質でした。それでも、やはりYouTubeの方が数秒ほど遅れて配信されているようでした。YouTubeでもチャットができるため、当日質疑応答を行うことも考えていましたが、数十秒のタイムラグを実際に体験したことで、主催者様と当日の質疑応答は行わないことを決めました。

2回目のリハーサルは、弊社と講師で行いましたが、この時は主にZoomの使い方を確認しました。

2回のリハーサルによって、当日の様子がお互いに確認しあえたこともあり、私たちの「初めて」という不安も解消することができました。

ライブ+ストリーミング配信で得た思わぬ収穫

当日、主催者様・講師の方がZoomミーティングにご入室された後、10分ほど簡単な接続テストとスケジュールの確認を行いました。開始時間の10分前にZoomとYouTube Liveの連携操作を行い、時間になったので講演をスタートさせました。

今回の講演は午後に実施されたため、ちょうど保育園のお見送りの時間帯と重なってしまう園がありました。
TVの生中継であれば、いったん離席されると戻ってきた時には講演が進んでいた/終わっていた、という事にもなりますが、今回のYouTube Liveでは、各視聴者がそれぞれ「一時停止」しておき、戻ってきてから「続きを再生」することが可能でした
これはYouTube Liveの設定で「DVR 機能」を有効にしていたためで、録画・アーカイブしないLIVEのみの配信でも、数時間であれば巻き戻し再生が可能にできるものでした。

実は、主催者様からの事前相談で、「途中で離席しないといけない受講者もいる。なんとかできないか」と伺っていましたのでこのDVR機能を試みる事にしたのですが、期待した以上にとても便利で評判が良かったです。
録画ができない場合でも、数時間ですが巻き戻し再生を可能にする「DVR機能」は、YouTube Liveと連携する事で実現できた、視聴者にとても便利な機能でした。

保育士や保護者の方々も目からウロコの講演内容

今回の講師、木原実さんは、主に関東で活躍されているお天気キャスターで、主催者様からの直々のリクエストでした。講演タイトルは、「家庭で出来るお手軽減災法」ということで、災害の事前や事後で行うべきこと、緊急アラームの仕組み、そして昨今の避難訓練における最新情報などをお話しいただきました。保育士ばかりでなく、保護者にとっても重要な内容であり、顔出ししている参加者の皆さんは真剣に聴講されていました。

また、関東圏で著名な方ということもあり、YouTube Liveには多くの方がご視聴されている様子でした。木原さんが途中でパペットを使って場を和ませたり、笑いを交えながら解説してくださったので、参加者の皆さんは最後まで集中が途切れることなく聴講されているようでした。

講師の自宅からの生配信だったのですが、音声や映像が途中で途切れることなく、スムーズに配信されました。
ZoomとYouTube Liveの併用という初めての試みも無事に終わることができました。

ZoomとYouTube Liveの併用でわかったこと

今回のZoomとYouTube Liveの併用での一番の収穫は、追っかけ再生の便利さがわかったことでした。一方で双方向のやりとりの限界も感じました。
今回のように1,000人規模の大人数で、さらに講義のような一方向型には、今回の方法が最適だったと思います。ただ、今回のやり方で質疑応答を盛り込む場合には、事前に参加者から質問内容を募集しておく必要があります。

参加人数や講演のタイプによって、配信ツールのさまざまな使い分けでできることがわかりました。今後も、さまざまな主催者様のご要望に対応できるよう、Zoom以外の配信ツールの特性を社員の間で共有し、最適な方法をご提案していきたいと考えています。

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