欧米がコロナ禍以前の生活様式に戻る方向で動いている中、日本もようやく入国者数制限の撤廃やマスク着用見直しなど、平常化に向けた動きが加速しています。
弊社の講演では、リアル開催が過半数を占めるようになり、オンラインは半数以下と少なくなってきました。
親睦を目的とする安全大会は特に、9割近くがリアル開催であり、オンラインは10%以下となっています。
それでも、一度オンラインで開催し、その良さを実体験してからは、「今年もオンラインで」というところもあります。
本案件は、建設会社協力会社の安全大会を昨年から2回にわたりオンラインで開催した事例となります。コロナ禍の規制緩和の中で、なぜ今年も安全大会をリアルで開催したのか、その理由とともに当日の様子もお伝えします。
安全大会担当 西澤優香
~ ヒューマンエラーを減らし、ゼロ災害へ ~
講師 : 小宮勇人 氏
主催者 : B建設会社 様
開催日時 : 2022年10月上旬
講演時間 : 1時間
聴講者人数: 約200人
講演タイプ: 講師は現地に行ってのライブ配信
配信ツール: Zoomウェビナー
初めてのオンライン開催
本案件の主催者様は、一般住居建設を全国展開するB建設会社様。全国あちこちに協力会社があり、コロナ以前は一堂に会して安全大会をリアルで開催していました。
おととし(2020年)に新型コロナウイルスが日本で最初に確認されたときには、安全大会を急遽中止し、安全に関する小冊子や安全決議文を協力会社各社に送付したそうです。去年(2021年)もコロナ禍は収束していませんでしたが、「労災ゼロ」という安全大会の意義を考えると、さすがに2年連続中止ということはできず、「オンラインでも何とか開催したい」という判断に至ったとのことで、弊社にご相談がありました。
昨年は、主催者様もオンラインが初めてということで、オンライン講演の運営サポートを依頼されました。
開催前に、オンラインで面談をさせていただきました。ご予算、ご希望の講演テーマ、オンライン講演の形態、運営サポートの内容、プログラムの内容などについてすり合わせをし、以下の内容を決定しました。
- 参加者とのやり取りは不要のため、一方向型のライブ配信。
- 使用ツールは、一方向型オンライン講演に向いているZoomウェビナーを使用。
- 感染対策の観点から、主催者は東京の事務所で各自個別の部屋から参加。講師は主催会場に
- 出向き、個室から参加。弊社スタッフは東京本部より遠隔にて運営サポート
開催までのサポートは、タイムスケジュールとともに係を洗い出し、弊社が担当する部分を決めました。
主催者様 | 弊社 | |
---|---|---|
開催日1カ月前 | ・講師の選定 | ・講師リストを作成 ・講師にスケジュールを確認⇒決定 |
開催日2週間前 | ・進行スケジュールに照らし合わせ、台本を作成、弊社へ共有 | ・進行スケジュールの作成 |
開催日1週間前 | ・Zoomの開催URL及びZoomウェビナーの参加方法などを書いた招待メールを参加者に一斉送信 ・当日の係の取り決め ・会場セッティングの機材手配 |
・待機画面のスライド&BGM作成 ・Zoomウェビナーで開催設定及びURLの共有 ・主催・弊社とのリハーサルの開催のとりまとめ |
当日 | ・会場セッティング 【ライブ配信中】 ・司会進行 |
【ライブ配信中】 ・会議の開催 ・参加者管理 ・講師対応 ・スイッチング(画面切り替え) ・画面共有 ・途中退出者がいた場合、再入室への許可 ・トラブル対応 など |
第1回目のオンライン開催は盛況に終了
オンライン開催が初めてとはいいえ、主催者様と弊社でリハーサルも行い、綿密にすり合わせをしていたので、全体を通してスムーズに進行することができました。
安全標語の表彰式では、最初は表彰者の名前を呼んで、その人が写った画面に切り替えるという話もありましたが、200名近く参加する中で各表彰者を探し出すのに時間がかかるということで、表彰者の顔写真をスライドで出し、表彰者を発表するという形式をとることになりました。主催者様が事前に表彰状を表彰者に送り、表彰者に表彰状を持って撮影してもらつた画像を送ってもらったそうです。スライドには表彰状をもって誇らしげに写る表彰者の顔写真が投影され、表彰者の喜びを共有することができました。また、表彰式自体は5分程度でおわったので、大変効率良かったと思います。
本番では、スイッチングと画面共有、参加者のトラブル対応を担当させていただきましたが、こちらもトラブルもなく、終了後はほっと胸をなでおろしました。
初めてのオンライン開催について、主催者様の感想をお聞きすると、「リアル会場のように大がかりな準備も必要でなく、手間がかからなかったのが良かった。また、会場費や参加者の交通費も浮かせることができた」とご満足のようでした。また、参加者からは「参加者は自分専用の画面で見るため、講演に集中できた」「移動が不要だったので、気軽に参加できた」といった声が聞かれたとのことで、盛況のうちに終了することができました。
第2回目のオンライン開催を打診
昨年(2021年)、盛況のうちに終了できたおかげか、主催者様は今年もオンライン開催を打診されました。2度目のオンライン連続開催の理由について、「主催者にとって手間がかからず、参加者はどこからでも参加できるという手軽さもよい」ということでした。今年(2022年)に入り、安全大会はリアル開催で行う案件が多い中、このような案件は珍しいといえます。
2度目のオンラインということで、慣れているということもあり、メールと電話でのやり取りだけですり合わせを行いました。
今回は、元現場監督で安全大会ベテランの小宮勇人さんをご紹介させていただきました。
的確なタイミングでスイッチング
当日の運営では、スイッチングが主な作業となりました。すでに進行スケジュールも頭に入れておいたので、変な間を入れることなく、的確なタイミングでスイッチングできたと思います。
講演を聴講していた他のスタッフから「スイッチングが素晴らしく、進行が安定していた」と言われました。すでに何度となく運営を行ってきているので、スイッチングの技術は高くなったではないかと思っています。
安全を徹底するには当たり前を大切にする姿勢が重要
小宮さんの講演は、まず、現場監督時代の話から始まります。
小宮さんは建設会社に入社し、現場監督を任せられますが、さまざまな職人を束ねる難しさを感じたといいます。そこで、「のみーティング」と題し、安全ビデオを見た後に、お酒を飲みながらざっくばらんに安全について意見を出しあう研修会を行ったそうです。通常の研修会だと、安全ビデオや講演を視聴して終わり、というパターンが多いですが、飲み会スタイルをとることで、普段話さないような職人さんも進んで「ああしよう、こうしよう」という意見を積極的に出すようになったのだとか。
小宮さんは、10年の現場監督時代に「のみーティング」以外にも、職人さんが先生になって自分の失敗談を話す「笑みーティング」など独自の研修スタイルを編み出し、実施していくうちに、評判を聞きつけた他の業者さんから「うちにも研修に来てほしい」と問合せを受けるようになったそうです。
「従来とは異なる視点で実践していくことの重要性」をお話したあと、講演の本題に移りました。
労働災害の原因となるヒューマンエラーをなくすにはどうすべきか?
結論からいうと、建設業界共通の課題でもある「ヒューマンエラー」はゼロにすることはできないが、意識を変えることで減らすことはできる、というものでした。
ヒューマンエラーを減らすためには、もちろん、災害の原因となるような環境を改善し、 ミスコミュニケーションがないように事前の声かけも重要です。しかし、その前に、「当たり前のことをバカにしないでちゃんとする姿勢」が一番大切だというお話をされました。
その重要性を示すため、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング氏が考案した「割れ窓理論」を紹介しました。割れ窓理論とは、1枚でも割れている窓が割れていると、その建物は放置されていると思われ、ゴミが捨てられたり、他の窓が割られたりするなど、さらに環境が悪くなる。つまり、小さな不正を取り締まることで、大きな不正が抑制できるという考え方です。
小宮さんは、この考え方を引用して、安全対策も周囲の環境をきちんと整えることで、大きな事故が防げるというお話をされました。現場の整理整頓、日ごろの挨拶や声かけなど、後回しにされそうな日ごろの習慣をきちんと持続できれば、労働災害を減らすことができるといいます。
講演では他にも、ワークなどを使いながら、コミュニケーションの必要性、仕事ができる人の3つの気配りなど、安全意識を習慣化させる方法をレクチャーされました。
写真や資料をスライドで表示されながら、大きな声でテンポよく話されるので、集中して聞くことができました。主催者様からは「現場の話に直結して、話しが聞き取りやすかった」というご意見をいただきました。
主催者様からの嬉しいお言葉
弊社では、開催後に主催者様からのアンケートをいただいておりましたが、今回の運営サポートにあたり、10点満点中10点の評価をいただき、以下のような嬉しいご感想をいただけました。
「会社のシステムがしっかり確立されており、対面での打合せを行わずとも安心してお任せできる。担当の方(西澤)のご提案、ご対応の素晴らしさ、また、西澤さんご不在時の代理の方のご対応等も含めとても安心できる。」
このようなお言葉は、次回の運営の励みとなります。これまでさまざまな失敗があっての成果だと思います。このような主催者様のお言葉を糧にして、今後も心に残る講演が実現できるように頑張っていきたいと考えています。
今後もオンライン講演は残っていく
リアル開催が重視される安全大会において、今後もこのようにオンライン講演を支持する層も一定数残っていくと思います。オンライン講演といっても、オンラインとリアル開催を併合したハイブリッド開催などさまざまな方法があり、主催者様の要望にそったスタイルをご提案できます。
オンライン講演は、コロナ禍だけでなく、台風などの天災が起きたときにも実施できる計画のしやすさも魅力です。オンライン講演にご興味を持たれた方は、お気軽に弊社までお問合せくださいね。
【この記事を書いたスタッフ】
西澤 優香 にしざわ ゆうか
横浜市出身。東京都内在住。学生時代より能楽をみることが好きで、今も定期的に能楽堂に通っています。このお仕事に就き、落語家さんをご紹介させて頂くことも多く、寄席にも足を運ぶようになりました。他にもミュージカルやコンサートなど、生のものが大好きです。
お客様の目線に立った提案を心掛けています。最高の「一期一会」となるように、聴講者の方々の心に残る講演をプロデュースいたします!
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