オミクロン株の増加により、一部の地域でまん延防止等重点措置が出されました。
一時期は新型コロナウイルスの新規感染者が減少し、リアル開催で進められていた案件も、今回のまん延防止等重点措置を受け、中止又はオンラインに変更を余儀なくされています。
弊社でも対応に追われている中、講演・セミナー・研修を計画している主催者様から、どんな場合に中止しなければいけないのか、といったお問い合わせをいただくようになりました。
そこで、本記事ではリアル開催又は中止を判断する基準と、事後対応、突然のまん延防止等重点措置に慌てないための対策について解説いたします。
※2022年3月8日更新
■目次
まん延防止等重点措置下で開催か、中止か。その判断基準とは?
新型コロナウイルスが日本で最初に確認されてから2年が過ぎようとしています。確認されてすぐは、その感染の影響がわからなかったため、屋内・屋外問わず講演やセミナー、イベントの多くが中止となりました。
しかし、現在では新型コロナウイルスに関する研究も進み、感染率と収容率の関係もわかっています。
イベントが実施できる判断基準として、内閣官房が2022年3月4日付けで各都道府県知事に宛てた事務連絡によって収容人数及び閉会時間の条件を定めています(表1)。
この状況は随時変更になる可能性がありますので、最新の情報は、内閣官房「新型コロナウイルス感染対策」サイトをご覧ください。
表1 講演・セミナー・研修などの催物の開催制限(2022年3月8日現在)
各地域の開催制限 | リアル開催できる条件 |
---|---|
まん延防止等重点措置地域(3月21日まで) (北海道、青森県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県、熊本県) |
①安全計画(※1)を策定し、都道府県による確認を受けた場合 ・参加人数の上限は20,000人 ※収容率は100% ※対象者全員検査(※2)により、収容定員まで追加可能 ・閉会時間の制限は原則ないが、都道府県知事より要請があった場合には指示に従うこと ・不要不急の都道府県間の移動は、極力控える。ただし、対象者全員検査(※2)を受けた者は、その対象としない。➁安全計画(※1)を策定していない場合 ・参加人数の上限は5,000人まで。 ※収容率は大声なしの場合100%、大声ありの場合50%で、いずれか小さい方。 ・閉会時間の制限は原則ないが、都道府県知事より要請があった場合には指示に従うこと。 ・不要不急の都道府県間の移動は、極力控える。ただし、対象者全員検査(※2)を受けた場合は対象外となる。 |
それ以外の地域 | ①安全計画(※1)を策定し、都道府県による確認を受けた場合 ・収容定員まで。 ・閉会時間の制限は原則ないが、都道府県知事より要請があった場合には指示に従うこと。➁安全計画(※1)を策定していない場合 ・5,000人又は収容定員50%のいずれか大きい方る ※収容率は、大声なしの場合100%、大声ありの場合50% ・閉会時間の制限は原則ないが、都道府県知事より要請があった場合には指示に従うこと。 ・まん延防止等重点措置地域への移動は、極力控える。ただし、対象者全員検査(※2)を受けた場合は対象外となる。 |
(※1) 安全計画: 参加人数が 5,000 人以上で収容率 50%以上イベントを対象に、イベント開催時に必要な感染防止策の各項目を着実に実施するため、イベント主催者等がマスクの徹底や密集の回避など具体的な感染防止策を検討・記載し、各都道府県がその内容の確認及び必要な助言等を行うことにより、感染防止策の実効性を担保するもの。5,000 以下のイベントとなる講演・セミナー・研修ではこの安全計画は不要となる。
(※2)対象者全員検査: イベントの主催者、出演者、関係者、参加者全てがPCR検査を受け、全員が陰性という条件で人数制限を緩和することができる。まん延防止区域で、ワクチン・検査パッケージ制度について無効としている。
講演・研修・セミナーでは大声なしかつ小規模なイベントとなるため、まん延防止等重点措置区域である場合、以下の条件であれば、開催できることになります。
- 参加人数が5,000人以下でかつ会場の収容人数が半数以下であること。
- 参加者や講師、関係者が県をまたいでの移動がないこと。
- 都道府県知事より閉会時間の制限がある場合にはそれに従うこと。
- 適切な感染対策を行うこと。
逆に、以上の条件が満たせない場合は、リアル開催が難しいということになり、中止か延期、又はオンライン開催での講演に切り替えるという判断をしなければなりません。
まん延防止等重点措置下でのリアル開催で気を付けたい感染対策
上記の条件を満たした上でリアル開催をする場合は、以下の感染対策を強化する必要があります。
- 入り口で検温を行い、37度以上熱のある参加者に対して入場を禁止する。
- 参加者に会の間はマスク(できれば不織布)の着用を周知・徹底し、マスクのない人にはマスクを配布するなどの対応を行う。
- 参加者が大声を出さないように呼びかける。
- 演壇から観客まで2m以上の一定の距離を確保する。
- 参加者にこまめな手洗いの徹底を促す。
- 会場は1時間に2回以上、1回に5分間以上の換気又は室温が下がらない範囲での常時窓を開ける。
- 入口やトイレなど適切な場所に消毒液を設置する。
- 時間差入退場など入退場の密室を回避し、入場口・トイレ・売店等など収容人数に応じて人数の制限を行う。
- 収容率が50%を超える会場の場合は原則飲食を禁止し、飲食エリア以外での飲食を制限する
- 事前予約制や参加者リストの作成、接触確認アプリ「COCOA」の利用など、参加者の連絡先を把握できるようにする。
- 参加者は座席を指定し、入退場するルートを指定して、密接しないようにする。
- 講師、主催関係者に症状が現れた場合、出席を見合せること。
- 催事終了後は、速やかに帰宅するように参加者に呼びかける。 など
➡参照「イベント開催等における感染防止安全計画等について(改定その4)」(内閣官房 2022年2月10日 事務連絡より)
また、まん延防止特別措置地域にて参加者が5,000人以上で収容率が50%以上となる講演・セミナーについては、主催者側で、開催前に所定の感染防止安全計画用紙を作成して都道府県から承認を得、開催後には、イベント開催時のチェックリストとイベント結果報告フォームを作成して公表する必要があります。5,000人以下であれば、こちらの手続きは不要です。
中止を判断した場合の対応
主催者側で感染防止対策ができないと判断した場合、中止した後の対応を考え、それについて関係者や参加者に通知する必要があります。
中止した際の対応の手順を解説します。
1. どのような対処をするのかを決め、関係者に連絡する
まずは、講演・セミナー・研修を中止するのか又は延期するのか、はたまたオンラインで開催するのかなど、どのように対処するかを決めます。対処方法によっては想定される対応が異なります。対処方法と想定される対応は以下の通りです。
①中止 中止を決めたら速やかに会場や講師依頼先、機材レンタル先、関係者に中止になった旨とその理由を連絡します。
➁延期 延期日程を調整します。具体的な日付まで決めらない場合は、開催可能な大体の時期(例:2~3か月後、秋ごろ、来年など)を決め、会場や講師依頼先、機材レンタル先、関係者に報告します。開催日を延期する場合は、事前に講師に延期が可能かどうか、確認しておくと安心です。
③オンライン開催 日付はそのままで開催するのか、また日を改めるのかを決め、会場や講師依頼先、機材レンタル先、関係者、参加者に報告します。日を改める場合は、事前に講師のスケジュール調整が可能かどうか、確認しておくとよいでしょう。
2. 参加者に中止を告知する
中止になったときにはなるべく早く、参加者全員に中止の案内を告知します。
告知方法は電話やファックス、メールに加え、公式サイト、SNSなどのツールを使用して漏れがないように伝えます。
案内文には冒頭に挨拶、中止になった理由、中止なのか延期なのか、オンライン開催なのかの対応方法、次回の予定、最後の挨拶などを盛り込みます。
<案内文の例1> 中止する場合
令和●年●月●日に開催しておりました「〇〇講演会」について、今般の新型コロナウイルスの感染拡大並びにまん延防止等重点措置発令の状況を鑑み、今回の開催を中止させていただくこととなりました。本講演をお楽しみにいただいた皆様には、今回のご報告は大変残念なことであり、深くお詫び申し上げます。
本講演の中止につきまして、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
開催日:●年●月●日 ●時~
会場:●●ホール連絡先:●●会社●●課(山田) ☎03-1234-5678
メール:abcd@efg.co.jp
<案内文の例2> オンライン開催する場合
拝啓、皆様におきましてはご清栄のこととお慶び申し上げます。弊社ではこの度、令和〇年〇月〇日(〇曜)に開催を予定しておりました「〇〇セミナー」につきまして、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大予防と、皆様の安全を考慮いたしました結果、リアルでの開催を断念せざるを得くなりました。
本来ならば、皆さまとお会いできることを楽しみにしておりましたが、感染対策の観点からオンラインでの開催に変更させていただきます。オンライン開催に詳細につきまして、以下の通りとなります。
期日は同じ日時を予定しております。開催日:令和〇年〇月〇日 14:00~15:30
参加方法: 開始時刻の下記のURLをクリックしてご入室ください。30分前より入室できます。
http://zoom………………………………………………
ミーティングID: 12345678
パスワード: abcd1245※事前にZoomアプリをダウンロードください。
ダウンロード先はこちらから https://zoom.us/download
※ミーティングにはミーティングIDとパスワードを入力するだけで参加可能です。アカウント登録は必須でありません。
※ビデオ・音声はオフにしてご入室ください。
※セミナー中に接続不良やトラブルが起きた場合には、担当者にチャットからご連絡ください。
※参加できない場合は、参加てきない旨を以下のメールまでお知らせください。ご不明な点がございましたら、こちらまでご連絡ください。
連絡先:●●会社●●課(山田) ☎03-1234-5678
メール:abcd@efg.co.jp敬具
3. 関係会社に所定のキャンセル料を支払う
講演・セミナーが中止又は延期になった場合、関係各所に所定のキャンセル料を支払う義務が生じます。キャンセル料が発生する可能性があるのは、会場や講師依頼会社、設営会社、機器のレンタル会社などです。
それぞれ所定の期間のよってキャンセル料が定められていることが多く、それに従うことになります。
ただし、中止の理由が新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下や天災など不可抗力である場合に、キャンセル料の一部又は全額免除の場合もあります。また、延期が決まっている場合はキャンセル料が不要になるケースもありますので、契約時にしっかりと確認しておきましょう。
中止を想定して確認しておきたいこと
新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいるとはいえ、まだまだ収束が見通せません。そのため、緊急事態宣言やまん延防止措置が発令されることも考えられ、それを見越して準備を行うと安心です。中止になったときのことを考え、事前に以下のことを確認しておきましょう。
1.中止になった場合の対策(中止、延期、オンライン開催など)
中止になった場合の対策については、中止にするのか延期にするのか、オンライン開催するのかについて決めておきます。
また延期にするのであればその候補となる時期、オンライン開催ならば同日でライブ配信なのか、又は後日オンデマンド配信なのかなど、配信日と配信方法、配信タイプを決めておく必要があります。
2.会場、機材リース代、講師依頼代などのキャンセル料
会場や機材リース代、講師依頼代などのキャンセル料については、契約時にどのような条件で支払い義務が生じることになるのかをしっかり確認します。
開催日の何か月前から何%ほどのキャンセル料が生じるのか、また天災や新型コロナウイルスなど不可抗力が中止の理由となった場合にキャンセル料が免除されるのかも確認しておきましょう。
3. 中止なった場合の告知方法
中止になった場合の告知方法や担当者、誰に知らせるかなどを決めておくことで、スムーズに漏れなく告知を行うことができます。参加者や関係者のメーリングリストを作成しておくのもおすすめです。
オンライン開催に切り替えた場合の対応
オンライン開催に切り替える場合は、以下の手順を踏みます。
1.講師にオンライン対応可能かを尋ねる
まずは、講師がオンラインで対応可能かを聞きます。講師によっては、すでにオンライン講演を何度か行っており、慣れている方もいらっしゃいますが、慣れていない方もいらっしゃいます。慣れていない講師の場合は、弊社でサポートに入ることも可能です。
➡詳しくは「SBオンラインサポートプラン」を参照
2.オンラインの開催方法を考える
オンライン講演の開催方法には、生放送のように講演を中継しながらインターネット配信するライブ配信、録画したものを後日配信するオンデマンド配信、リアルとオンラインを併合したハイブリット型の3通りがあります。
方法 | 特徴 | |
---|---|---|
ハイブリット型 (リアル+オンライン) |
A.会場からの生配信 | 通常より半分以下の聴講者と講師が会場に集まり、一部の聴講者はオンラインで参加します。 |
ハイブリット型 (リアル+オンライン) |
B.講師から会場聴講者へ生配信 | 一つ又は複数の会場に聴講者が集まり、講師は自身の事務所や貸会議室・スタジオから講演を配信します。 |
ライブ型 | C.講師から個別視聴者へ生配信 | 講師も聴講者も異なる場所から参加 |
オンデマンド型 | D.録画配信 | 事前に講師の事務所や貸会議室・スタジオで録画したものを、後日聴講者にオンデマンドで配信するというものです。聴講者はいつでも好きな時間にどこからでも見れるというメリットがあります。A~Cでライブ配信したものを録画し、後日参加できなかった人に向けてその動画を共有する併用プランもあります。 |
➡詳しくは「3密を避けての開催可能!弊社がおすすめするオンライン講演タイプを詳説」を参照
開催目的、人数、予算によって上記の中から開催方法を選択します。
3.配信ツール、機材、配信場所、投影資料を手配する
【配信ツール】配信ツールにはZoomやV-CUBEなどさまざまなウェビナー用のツールがあり、そちらを選択してから、アカウント登録し、人数によって有料プランを選択、加入となります。加入後は、各ツールに操作マニュアルに従い、ミーティング(ウェビナー)ルームを設定します。
➡詳しくは「初めてのオンライン講演~方法と手順、おすすめツールを徹底解説」を参照
【必要な機材】配信には、最低でもカメラ付きのPC、webマイク、インターネット環境が必要です。さらに映像にこだわりたい場合は、一眼レフカメラ、マイク、スピーカー、合成用クロマキー、モニターを手配します。
【配信場所】講師が別の場所から配信する場合、講師の事務所やスタジオなど、配信場所の手配をします。弊社では大阪と東京にオンライン講演専用のスタジオを完備しております。
【投影資料】講師が投影資料を使って講演を行う場合は、パワーポイント資料を事前に講師からもらいます。当日、画面共有は講師か主催者であるホストが行うのかを決めます。
4.参加者に招待メールを送る
参加者に、開催日時、開催方法、配信ツールの開催URLなど、参加するのに必要な情報を入れた招待メールを送ります。
5.リハーサルを行う
リハーサルは、本番の接続不良や操作ミス、音声トラブルなどを防ぐためにも、本番1時間前までに必ず行うようにしましょう。リハーサルでは、接続テストと試し撮り、全体の流れの打ち合わせなどを行います。
オンライン開催を想定して事前に確認しておきたいこと
コロナ禍で先が読めない状況の中では、リアル開催を考えつつ、何かが起きた場合にはオンラインなどの代替プランを用意しておくと安心です。オンライン開催に切り替えた場合を想定して、計画時以下のことを確認しておくとよいでしょう。
- 講師はオンライン対応可能か?
- オンライン開催した場合の配信方法(ライブ配信orハイブリット、オンデマンド配信など)や使用ツール(Zoomなど)、配信場所(貸スタジオなど)
- オンライン開催に切り替えるタイムリミット(2週間前など)
- オンライン開催に切り替えた場合の参加方法(いくつかの会場に分けて参加するのか、各自宅から参加するのかなど)と通知方法(メーリングリストの作成)
- オンライン開催時の運営サポート(自力でするのか、業者に頼むのか)
オンライン講演はリアル開催の保険にもなる!
主催側としては、講師と対面するのを楽しみに待っていらっしゃる参加者のためにも、ぜひともリアル開催したいという気持ちもあります。しかし、コロナ禍の現状では、急な緊急事態宣言発令も考えられ、先が読めない状態です。
しかし、緊急事態宣言を見越して、オンライン開催も視野に入れて計画していれば、何か起きた時にも冷静に対処できます。
弊社では、リアル開催時とオンライン開催時、両方のケースを考え、いずれの場合にでも対処できるよう、両方のケースを考えて企画させていただいております。
また、主催者様の中には、リアルからオンラインに変更した場合、どれくらい費用が変わってくるのか、気になっている方も多いようです。そのため、リアル、オンライン時の両方のお見積りをお出しすることも可能です。
リアル開催でなかなか開催の判断ができないという主催者様は、ぜひとも弊社にご相談ください。御要望にあった方法と代替プランを考えて、ご提案させていただきます。もちろん、ご相談は無料です。下記の無料相談フォームボタンよりお気軽にお問い合わせください。
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