コロナ禍の中、得意先とアポイントが取れないため商談ができず困っている、という声をよく耳にします。これまで当たり前に行われていた「訪問」ができなくなった今、これからの営業は、どのようにして得意先と商談すればよいのでしょうか。
営業力強化コンサルタントの小森康充氏が「禍転じて福となす」オンライン商談のポイントを解説します。

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小森康充氏

営業力強化コンサルタント
元 P&Gアジアパシフィック最優秀マネージャー

イシュー(課題)は何か?

「コロナ禍で得意先に会ってもらえない、契約がとれない」と言う営業は多いが、このとき何が「イシュー」となっているだろうか? ここで言う「イシュー」とは、解決すべき本質的な課題と、課題解決へと導く最も重要なポイントのことである
コロナ禍は世界レベルで取り組み課題であり、それはここでいう「イシュー」にはならない。それを踏まえて、営業がアポイントを取れない、売り上げが上がらない現状を打開する3つの「イシュー(課題)」を考察していこう。

1. 信頼関係の構築力がない

営業で最も重要なスキルは、得意先との信頼関係構築力である。相手の潜在的なニーズを聞き出し、利点に合いたした企画提案をすることで、商談締結の確率はアップする。

効果的な信頼関係を得意先との間に構築ができれば、訪問でなくとも電話、メール、Zoomといったオンライン会議ツールによる商談で契約がとれるはずである。つまり、コロナ禍という環境的要因が問題なのではなく、得意先との信頼関係を構築できていないことが問題なのである。

ここで、ストーリーマップを使った「スベらない商談力」研修を紹介したい。研修のポイントを表した1枚のユニークなイラスト・図=「ストーリーマップ」を活用する画期的な研修手法で、楽しく学べ、記憶効果・復習効果にもすぐれている。「スベらない商談力」研修では、信頼関係構築のポイントから、得意先の心の窓を開く実践商談スキルの習得を目指す。

「スベらない商談力」研修で活用するストーリーマップ

2. Zoomを使ったオンライン商談を営業が活かせていない

得意先を説得するには、①企画の利点を理論と数字で説明し、➁良い印象を持ってもらう必要がある。③先方からの質問にはタイムリーに返答することも大切で、それには④時の共有、➄場の共有が有用だ。そのうえで⑥営業にかかるコストは最小限に抑えたい。この6つのポイントと、商談におけるZoom、電話、メール、訪問の適合性をまとめたのが下記の表である。

【Zoom、電話、メールの使い分け】

①理論/数学 ➁印象 ③会話質問 ④時共有 ➄場共有 ⑥コスト効率
Zoom ×
電話 × ×
メール × × × ×
訪問 ×

①〜➄のいずれも○の訪問は、移動時間・待ち時間、交通費などが発生するため⑥コスト効率が悪い。一方、①〜④と⑥が○のZoomは、オンラインツールであるためリアルな➄場の共有はできない。×となっている項目で両者を比較すると、Zoom商談はデバイスの画面上に企画書や資料を表示でき(①)、営業の強みである顔と声の対面アピール(➁、③)もできる。場の共有(➄)がないだけで、訪問と大きくは変わらないのである。それどころか、商談の移動時間や交通費がかからない点は大きなコスト削減につながり、商談機会(コンタクト回数)の増大もたやすい。
実際のところ、Zoom、電話、メールをフル活用すれば、従来の訪問と同等以上に効率的な営業活動が可能である。

3. 営業のタイムマネジメントができていない

ある営業の1日を、Zoom(オンライン商談)導入の前後で比較した。円グラフ(下図)左がZoom導入前(ビフォーコロナ)、右がZoom導入後(ウィズコロナ)である。得意先商談(2時間)、移動時間(2時間)、社内ミーティング(2時間)、デスクワーク・内勤(2時間)で合計8時間。最も重要な得意先との商談に2時間しかかけられていない。売上拡大ができないのも当然の結果だろう。

コロナ禍となってからは、2時間の商談さえできなくなる。ここで対策として導入したのが、オンライン会議ツールのZoomである (円グラフ右)。

まず、移動と社内ミーティング時間の大幅減少に加え、事務処理・資料作成などの内勤業務を最小限の1時間に抑えたことで4時間を捻出。Zoom、電話、メールによる得意先商談を2時間から4時間に増やせただけでなく、スキルアップにあてる時間を生み出せたことも大きなメリットと言える。

Zoomをフル活用すれば得意先との商談回数を劇的に増やせ、さらに、トレーニングで商談の成功率アップも図ることができる。これが、商談回数を2倍、商談契約率を1.5倍にして、売り上げ3倍を実現させるロジックである。

まとめると、コロナ禍で売り上げを2倍にも3倍にもする営業のポイントは

1.信頼関係構築力
2.Zoomを使ったオンライン商談の実施
3.商談とトレーニングにフォーカスした時間管理

の3つである。

「コロナ禍をチャンス」と捉えてこの3ポイントを実施すれば、営業売上が飛躍的にアップする日も遠くない。自信を持ってチャレンジしてほしい。

小森康充 こもりやすみつ

営業力強化コンサルタント 元 P&Gアジアパシフィック最優秀マネージャー

コンサルタント

人材輩出企業といわれるP&G営業本部にて初代トレーナーを経験。実力主義の外資系企業で20年間の営業キャリア、人材育成キャリアを積む。2009年『スベらない商談力』を出版。お客様の心の窓を開ける会話の進め方に始まり、成約率を最大限にあげるための実践手法を伝授する。

プランタイトル

【オンライン版】コロナ禍に負けない、真の営業とは
~オンラインでのスベらない商談力~

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