オンライン講演の中でも一番難しいとされるのがハイブリッド型配信です。
一部の聴講者が一つの会場に集まり、それをオンライン参加者に向けて配信するもので、リアルとオンライン、2つの会場を想定したセッティングが必要となります。

本案件は、1000名以上の大規模な研修をハイブリッド型で行うこととなり、本案件の主催者様は出張配信のサポートをご希望されました。
これまでオンライン講演の配信サポートは何度も行ってきましたが、出張配信のサポートは私が担当する上で初の案件となりました。
プロの手を借りることで成功できた本案件をレポートいたします。

労働組合・人材育成 担当 新井 麻衣子

■目次
講演テーマ: マシンガンズ滝沢と考えるゴミ問題
講師   : マシンガンズ滝沢秀一 氏
主催者  : A労働組合 様
開催日時 : 2022年5月中旬
講演時間 : 1時間30分
聴講者人数: 1,750人
講演タイプ: ハイブリッド型

東京でのライブ配信を全国各地の支店に中継

全国に支店のある大企業の労働組合では、年に数回、全国各地の支店から組合員を集めて集合型研修を開催することがあります。ここ数年は、あいにくのコロナ禍で、集合型研修が開催できておらず、「今年は何とか開催したい」とおっしゃる執行部様も多くいらっしゃいます。本案件の主催者様も同様のお考えで、開催2カ月前に「今年は何とかオンラインでもよいので開催したい」というご相談をいただきました。

一口にオンライン講演といっても、それぞれが個別で参加する個別視聴型もあれば、一部の拠点に受講生や講師が集まり、それを他の拠点に配信するという中継型(ハイブリッド型)、収録したものを後日配信する事前収録型など、さまざまです。
オンライン講演の方式を決めるにあたり、事前にオンライン講演の資料をお送りさせていただきました。開催時期にすでに「まん延防止」が解除されていたこともあり、本社の会議室で執行部の役員が20名程度集まり、そこに講師が出向き、100拠点以上ある全国の支店に配信するというハイブリッド型で行うことになりました。

ここで問題となったのが、だれが運営をサポートするか、ということです。弊社の東京スタジオからの配信であれば、弊社スタッフがサポートできますが、本案件では、本社会議室での出張サポートをご希望されました。私が担当して初めての出張サポートで、どうしたらよいものかと考えました。
本案件は、全国各地から1,700名以上が参加する大規模な研修となるため、先方から「高品質の配信を行いたい」というご要望もありました。そのような背景もあり、弊社と以前からつきあいのある動画配信業者をご紹介させていただくことになりました。

開催3週間前に配信業者のスタッフと下見に

ハイブリッド配信は、会場とオンライン上に聴講者がおり、リアル会場のセッティングに加え、ライブ配信用のセッティングも必要です。また、メラを講師だけでなく、リアル会場やオンライン聴講者を映し出すのか、また、会場聴講者とオンライン聴講者との間で音声でのやりとりを必要とするのかで、必要な機材やセッティング方法が変わってきます。今回の会場では、以下のような条件での配信となりました。

  • 全国各地の支店は個別ではなく支部の会議室から集合型で参加する。
  • リアル参加者とオンライン参加者に一体感を感じてもらえるように、リアル会場とオンライン会場をそれぞれ見れるような状態にする。
  • 会場聴講者やオンライン聴講者による質疑応答があるため、両会場で音声のやりとりができるようにする。

これらの条件に合わせた配信環境にするためには、以下の機材が必要です。主催者様の会社では、オンライン会議も積極的に行われており、本研修で使える機材も多数ありました。主催者様が用意したものと、配信業者側が用意したものとに分けてご紹介します。

主催者様が用意したもの 配信業者側で用意したもの
・会場撮影用webカメラ(リモート操作可能) 2台
・資料共有+オンライン聴講者表示用のモニター 2台
・HDMIケーブル
・LANケーブル
・インターネット回線・モデム
・参加者管理用パソコン など
・講師用ビデオカメラ 1台
・音声ミキサー
・スイッチャー
・運営用パソコン
・ケーブル・コード各種
・無線・有線マイク 数本 など

本格的な配信となったため、開催3週間前に動画配信業者スタッフと一緒に下見に行きました。その際、こちらが用意する機材と会場側で用意するもの、カメラ・スピーカーの位置、コンセントの位置や配線、機材の搬入経路、通信環境を確認しました。

主催者様より、当日必要なマイクの本数とカメラの台数などについてご要望があり、それを聞き取りしました。また、音響環境を考えて、会場の広さや天井の高さも確認させていただきました。主催者からのご要望は全てメモに取り、社内に共有しました。

最後に、当日のスケジュールを確認。この部分は特に重要で、スタッフの会場入りの時間や聴講者の入室・退室時間だけではなく、画面共有やカメラや音声の切り替えのタイミング、準備・撤収の段取りなど細かく打ち合わせしました。その時に、当日、講演後に動画を上映したいとのリクエストをいただきました。画面共有で音声付きの動画を配信するということで、音響セッティングを少し変更することになりました。

このような微調整を行うためにも、事前の会場の下見やリハーサルは欠かせません。会場の下見には結局1時間程度かかりましたが、当日の打ち合わせもでき、安心して当日を迎えることができました。

スタジオ並みの本格派セッティング

▲本格的な機材が並んだ運営ブースの様子

当日、動画撮影業者のスタッフが会場に3時間前に入り、機材のセッティングを行いました。私も当日講師のアテンド役として早めに会場に入らせていただきました。私が会場に着いたときにはすでにセッティングが終わっており、まるでスタジオのような本格的な配信環境ができあがっていました。

主なセッティングの内容は以下の通りです。

【カメラ】
講師用ビデオカメラ…講師の正面に置く。
会場用webカメラ…講師の横に会場全体を映し出すように置く。リモートで上下左右、アップ/ルーズの操作が可能。

【モニター】
会場聴講者用(2台)…会場の聴講者が見えるように、演台の左右に設置。
講師用(1台)…講師や司会者が画面共有した資料とオンライン参加者が見えるように、演台の正面に設置。
運営用(2台)…実際に映し出されている映像用と、複数の映像が映し出されたスイッチング用のものを運営ブースに設置。

▲オンライン聴講者も見れる講師用モニター

【マイク】
講師用マイク…講師の音声を拾うため、演台に設置。
会場用マイク…会場の声を拾うため、講師用モニターの下に設置。

【ミキサー・スイッチャー】
・運営用ブースに設置。共有資料や各種カメラの切り替え、音声の調整は、配信スタッフが担当。

▲リハーサルの様子

開始30分前に講師のマシンガンズ滝沢さんが到着され、音声やカメラの調整、接続テスト、画面共有などのリハーサルを行いました。会場にはにわかに緊張感が走ってはいましたが、映像のプロに任せてある安心感もあり、主催者様としてもご自身の仕事だけに集中できることができたようです。

感染症対策も忘れずに

「まん防」は解除になったとはいえ、完全にコロナ感染者がゼロになったわけではありません。主催者様より、感染対策についてどのように対応すればよいか、というご相談があったので、以下の内容を提案させていただきました。

  • 聴講者の前にアクリル板を設置
  • 演台と聴講者の座席の間は2m以上開ける
  • 1台の机に1人ずつ座る
  • 聴講者は講演中、原則マスク着用
  • アルコール消毒液の設置

このような対策のお陰で、当日、感染者を出すことなく終了することができました。

まるでテレビの生配信!臨場感たっぷりのスイッチング

▲配信スタッフによるスイッチング中の様子

オンライン聴講者の方々が、次々とZoomルームに入室してこられました。オンライン拠点の会場では、各支店やホテルの会議室に十数名が集まり、大きなモニターで本会場の映像を見ているようでした。

役員挨拶が終わり、いよいよ本番がスタート。マシンガンズ滝沢さんが登壇されると、テレビでお馴染みの顔とあって、多くの人が興味深くマシンガンズ滝沢さんを見ているようでした。話が始まると、さすが芸人さんとあって、話術巧みにゴミ問題について話をされました。

私は、運営ブースで講演の様子を見ていましたが、まるでテレビの生配信を見ているかのようでした。配信スタッフが、途中、講師のアップや資料、資料と講師、会場全体、質疑応答時は質問者の画像に切り替えながら、臨場感たっぷりにスイッチングを行い、同時に音声の調整も行っていました。オンライン聴講者を飽きさせることなく、会場の臨場感を伝えられる技術は、さすがプロだなと感心しました。

▲オンライン聴講者が見えている映像

資料動画を流す時に、リアル会場に音声が聴こえないといったトラブルもありましたが、全体としてはスムーズに進行できたとして、主催者様から以下のようなメッセージをいただけました。

コロナ禍により2年見送った研修会も3年ぶりに開催することができました。webでの開催にはなりましたが、画面を見ながら一人で参加する研修会ではなく、これまでのように全国の組合役員が同じ会場で聴講し「共感し分かち合う研修会」に少しでも近づけた開催を目指しました。今回の研修会の開催にあたり、システムブレーンの皆様には無理な要望も快く受け入れて実現に繋げて頂けたことに感謝しております。

大変嬉しいお言葉をいただき、今後の励みにもなりました。

講師紹介以上の価値

弊社は本来講師派遣の会社ですが、「講師を紹介して終わり」ではありません。今回のように運営対応や講師のアテンドなども行い、企画から開催までトータルでサポートしています。

講演・研修は一つとして同じものがなく、それぞれにやり方やご要望も変わってきます。私がお客様に対応する際に心掛けていることは、「お客様の出会いを素晴らしいものにすること」。そのために、お客様の言葉一つ一つをしっかりとお聞きし、ご要望実現に向けて「どうすれば主催者様だけでなく聴講者の方々にも満足していただけるか」を考えて動いています。

本案件の「出張配信」はこれまで弊社があまり対応していなかった事例でしたが、お客様からご相談をいただいた際に、最初に「できない」ではなく、「どうすれば実現できるか」を考えました。
今後も、弊社のミッションである「いい日いい出会いをプロデュース」できるよう、最良のサービスを提供していく所存です。「実現できるかな」と思うようなことでも、お気軽にご相談ください。

【この記事を書いたスタッフ】


新井 麻衣子 あらい まいこ
1989年3月東京都出身。大学卒業後、様々な人や業界に触れたいとの思いから2011年に入社。入社後は経営者向け講演会を中心に講演会のお手伝いをしています。 趣味は音楽鑑賞・美味しいものを求めて街歩き・写真撮影をすることです!
「相手の素敵なところを見つける」「出会いを大切にする」をモットーにしています。この仕事で出会えた主催者様・講師の方々とのご縁を大切に、公私ともども充実させていきたいです。主催者様が安心して当日を迎えられるよう、明るく心を込めてお手伝いさせてただきます!

あわせて読みたい


【SBスタッフ事例レポート第30回】
リアルからオンライン開催に!開催スタイルの変更も臨機応変に対応

早いもので、今年(2022年)の後半期に突入しました。上半期を…

【SBスタッフ事例レポート第3回】
Zoomミーティングのいろいろな機能、使い分けるポイント

弊社のオンライン講演で普段使用しているZoomミーティング。 …

【SBスタッフ事例レポート第34回】
いまだに難しいと感じる「講師提案」のやりがいと課題

私たちのような講師依頼会社の業務には、主催者様と講師の橋渡し役…


 他の記事をみる

オンライン講演お役立ち記事


【Zoomミーティング初級編】ブレイクアウトルームの設定方法

Zoomの便利な機能であるブレイクアウトルーム。 参加者(聴講…

【Zoomウェビナー上級編】代替ホストの役割と基本の設定方法

オンライン講演(ウェビナー)で使われるツールとして最もよく知ら…

【Zoomウェビナー上級編】クイズや参加者の理解度測定にも。投票機能の活用方法

弊社では毎週オンライン講演を行っていますが、その中で、主催者様…


 他の記事をみる