営業社員のスキル向上は、売上拡大に必要な要素です。
しかし、多くの営業社員がプレゼンテーションやコミュニケーションスキルの不足を感じており、これが営業社員のモチベーションや売上に影響を与えています。

一方で、企業の経営者や管理職は、「営業が育たない」など人材育成で課題を抱えており、報酬や給与を高くして営業部員を採用してしまってもすぐに辞めてしまい、採用➡離職➡採用の負のスパイラルに陥ってしまっている話もよく耳にします。

このような課題の背景には、教育の不十分さやロールモデルの不在、評価制度の不足等があり、営業部門全体のパフォーマンスに影響を及ぼしています。

営業社員がやる気を持って業務に取り組み、持続可能な営業組織力をつけるにはどうしたらよいのか。

元P&Gアジアパシフィック最優秀マネージャー・小森康充氏は、このような課題を打開すべく、新しい研修プラン「営業組織力強化OJT型営業トレーニング」を考案しました。

このプランをもとに、営業の組織力向上の糸口を探っていきます。

営業社員の悩み

営業社員の一番の悩みといえば、やはり「売上が伸ばせない」「ノルマを達成できない」ではないでしょうか。

株式会社悠楽が2021年に実施した営業社員が抱える悩みの実態調査によると、全体の約半数が「売上ノルマをなかなか達成できない」という悩みを抱えており、次に「売りたい商材・サービスの良さをうまく伝えられない」(26.9%)、「コミュニケーションを取るのが得意でない」(25.9%)という課題を抱えていることがわかりました。

営業社員の多くが、プレゼンテーションスキルやクロージングスキル、コミュニケーションスキル不足を感じていることがわかります。

営業社員の悩みが生まれる背景

このような営業社員の悩みが生まれる背景として、以下の理由が考えられます。

①不十分な教育の機会

多くの企業は営業研修を提供していますが、内製研修では人事担当者や営業上司が準備に時間を割けず、講師不足や研修資料の不備が問題となっています。一方で、外製研修では、プロ講師ですので、モチベーションアップには一定の効果が見られます。しかし、研修後のフォローアップがないことで、その場限りで終わってしまったり、受講生が研修目的を理解してなかったり、研修内容が現場と乖離したりすることによって、学んだスキルが役に立たないという問題も起きています。

➁ロールモデルやメンターの不在

新入社員や若手社員は、特に経験豊富な先輩や上司から指導や助言を求める傾向にあります。先輩や上司は、ロールモデルやメンターとなり、成功した営業戦略や交渉スキル、顧客対応などの営業経験を教えるだけでなく、時には励まし、部下や後輩が悩みや疑問を抱えたときにアドバイスするなど、良き相談相手にもなります。

このようなロールモデルやメンターがいなければ、新入社員や若手社員は多くの成長や学びの機会を失います。また、問題を抱えたときに相談する場所がなくなり、孤立感を高めてしまい、結果的に離職へとつながってしまいます。

③適正な人事評価制度や報酬制度がない

営業部門において、従来の評価制度は売上や数字のみに焦点を当ててきました。しかし、営業業務は定量化しにくい要素も含んでおり、プレゼンテーション能力や顧客関係構築能力、長期的な戦略構築など非定量的な要素も重要な役割を果たします。

このような状況下で、適正な人事評価制度や報酬制度が欠如していると、営業社員は自らの努力やスキル向上が適切に評価されないと感じることがあります。特にZ世代と言われる若手社員は、金銭的報酬よりも「だれかの役に立っている」という承認欲求を強く求める傾向にあります

結果として、公平な評価や適切な報酬を得られない状況に対する不満やモチベーションの低下が生じ、優秀な人材でさえも他の企業への転職を模索することにつながります。

④無駄なタスクが多い

営業職は時間管理が重要であり、クロージングするまでにもプレゼンテーションの準備などさまざまな営業活動業務が生じます。しかし、実際は、無駄な事務作業や不要な報告など、本来の営業活動に直接関係のないタスクが多い状況が見受けられます。そのため、営業社員は、時間やエネルギーを本来の営業活動に注ぐことができず、無駄なタスクのせいで残業を強いられているケースもあります。このような環境では、やりがいや充実感を得ることが難しくなります。

経営陣の悩み

HubSpot年次調査:日本の営業に関する意識・実態調査2023』によると、経営者・役員が感じる営業の人事・マネジメントの課題として、「従業員のモチベーション維持」を挙げるところが45%と高く、次いで「組織内の人間関係構築」「従業員満足度など社員の声を会社トップが拾い上げられていない」というところも2割以上ありました。

また、営業社員の離職率の高さも問題となっています。事実、日本労働調査組合が2021年に実施した「営業職の勤務意識に関するアンケート」によると、7割近くが「最近退職を検討した」と回答しています。
社員のモチベーションの低さや組織力の低下が離職率の高さにつながっていることは明らかです

また、部長などの管理職に営業現場を一任していた場合、その部長が退職することで、司令塔が不在となり、現場がうまく回らないということも考えられます。

経営陣は付け焼き刃的ではなく、長期的な人事戦略を構築するとともに、営業社員の思いや考えを汲み、社員のモチベーションや「この会社で働いてよかった」というようなエンゲージメントを高める施策を考える必要があります。

営業社員のモチベーションをあげ、成果の出せる営業組織にするために

このような課題を解決するために、何をすべきなのか。

P&G営業本部にて初代トレーナーを経験し、これまで30万人の営業社員の講師、トレーナーを行ってきた小森康充さんによると、やはり重要なのは「営業社員のモチベーションアップ」と「組織力強化」に鍵があると言います。

そのための方法を具体的に見ていきます。

ステップ1 営業社員に実践的な営業スキルを連続的に習得させる

営業経験のない新入社員には、現場で使えるスキルが必要です。スキル習得には営業研修が手っ取り早いですが、現場と直結していることが重要です。そのため、小森氏はOJT(実地訓練)の重要性を説いています。

先輩や上司が、新入社員に営業スキルを教える場合、現場以外の場所で教えることも多いかと思います。ところが、新入社員が実際に現場に行ったとき、現場で想定していない状況も多々起こるため、どう対処していいかわからない状況も考えられます。そこで、先輩や上司がついていき、まずは営業先でのマナーや立ち振る舞い、クロージングの現場を実際に見せることで、新入社員の中で自分がクロージングしているイメージができあがり、実際に行動しやすくなります。

また、営業研修は1回限りでなく、フォローアップし、スキルとして定着するために連続開催がおすすめです。
小森氏は、研修の連続開催を推奨しています。新しいスキルを学ぶとき、1回目で50%、2回目で70%、3回目で90%の人がそのスキルを確実に習得すると言われています。

また、小森氏の研修では、1回目で学んだスキルを現場で実践し、2回目のときに実践発表という形をとっています。

例えば、第1回で、クロージングや信頼構築方法など「スベらない商談力」研修でスキルを学び、第2回目で実際にそのスキルを使った結果を受講者に発表してもらいます。成功体験をした人は自信にもつながりますし、逆に失敗した人には何が失敗したのか、皆でその原因を考えます。他の受講者の成功・失敗体験は、自身の営業スタイルにも参考にできます。
このように1回で終わりではなく、2回、3回と連続開催することで、営業社員が自己の営業スキルをブラッシュアップできるのです。

ステップ2  メンターを育成する

メンターは、営業社員だけでなく、全ての組織で必要な存在です。メンター(指導する立場)は、以下の役割があります。

  • メンティー(指導される立場)の話を聞く
  • 会社との橋渡し(ブリッジ)
  • メンティーの不安解消
  • コーチング・フィードバックをする

メンターとなる中堅社員に、メンターの役割を教え、メンターに必要なスキルを学ぶ機会を提供します。メンターの育成は、若手営業社員の離職率低下に大きく貢献することでしょう。

ステップ3  リーダーを育成する

組織をまとめあげ、組織のパフォーマンスを最大化するリーダーは、組織力強化に欠かせない存在です。リーダーには、以下の能力が必要です。

  1. 目標と戦略の設定: 組織を率いるリーダーは、明確なビジョンを提示し、チーム全体が共有する戦略を策定する能力が必要です。的確な目標を設定し、それを実現するためのロードマップを示します。
  2. チームのモチベーション維持: 目標達成にはチームのモチベーションが重要です。チーム内1人ひとりの心の動きや性格を把握し、目標達成までに適切なフィードバックやコーチング、評価を提供しながら、チームのエンゲージメントを促進します。
  3. コミュニケーション能力: リーダーシップで絶対欠かせないスキルが、円滑なコミュニケーションスキルです。適切な情報共有や指示を出すことで、チーム全体が目標に向かって一致団結することを支援します。
  4. 成果の評価と改善: さまざまなデータに基づいて、チーム全体で適切な評価を行い、現状を追跡、必要な場合は改善策を考えます。

このようなスキルはリーダーシップ研修で習得することができます。リーダーシップには多角的なスキルが求められるので、こちらも連続開催がおすすめです。

ステップ4  営業戦略を考える

単に売上目標を決めただけでは、営業の成果を上げることはできません。だれが、だれに、どのタイミングで、どのようにアプローチしていくのか、綿密に戦略を立てる必要があります。

  1. 市場分析と顧客理解: まず初めに、競合他社の分析や市場動向の把握が必要です。顧客のニーズや悩みを理解し、その要求に応えるための戦略を考えます。
  2. 独自の価値の提供: 競合他社との差別化し、独自の価値を見出し、自社商品の特長を得意先の利点に置き換えて提供します。
  3. 目標の設定と戦術の選択: 具体的な営業戦略上の目標を設定し、それに向かっての戦術を選択します。戦略の柔軟性を持たせ、実行可能なステップに分割して計画を立てます。
  4. 顧客との関係構築: 長期的な関係構築に重点を置きます。良好な顧客関係を維持し、新たな関係を築くためのアプローチを考えます。
  5. 成果のモニタリングと改善: 戦略を実施した後は、成果をモニタリングし、定期的な評価を行いましょう。失敗から学び、戦略を修正することが重要です。

営業現場の課題を解決する営業組織力強化OJT型営業トレーニングとは?

▲小森氏の代表研修プラン「スベらない商談力」の研修風景

小森氏は、さまざまな分野の企業で営業研修を行ってきました。しかし、そこで感じるのが、1回の研修だけでは継続した成果に結び付きにくいということでした。

前述通り、経営陣と営業社員は、さまざまな課題を抱えています。それを全て解決するには、長期的なトレーニングの必要性を痛感したそうです。

そこで生み出されたのが「営業組織力強化OJT型営業トレーニング」です。

前述の「成果の出せる営業組織にするために」のステップに従って、営業社員と組織の観点で、以下のサービスを提供しています。

①勝てる営業社員の育成

▲営業組織力強化OJT型営業トレーニング風景(左が小森氏)

  • 「スベらない商談力」研修: 森氏がP&G等の外資系企業で培った商談力を余すことなく伝授。傾聴力、顧客との信頼構築術、クロージング術など、しっかりと成果の出せるスキルを習得できます。連続開催で、フォローアップも行い、スキル定着を目指します。
  • プレゼンテーションの作成指導・ロールプレイ: 客に刺さる資料作成のコツ、プレゼンテーション方法をお教えします。ロールプレイにより、さまざまな顧客の反応に臨機応変に対応できるようになります。
  • 営業同行: 小森氏が「自社の営業部長」として、営業社員とともに、実際の現場に同行。まずは、小森氏が、各社に応じた営業手本を現場で見せ、それを営業社員が実践します。その後、小森氏が、評価・フォローを行います。実践指導により受講者自身のブラッシュアップにつながります。

➁勝てる組織力の強化

  • メンター・リーダーの育成: 連続研修によって、メンターとリーダーの育成を行います。このトレーニングでは、コーチングやリーダーシップ、部下とのコミュニケーション術、部下のモチベーションアップ方法、目標設定・評価等、さまざまなスキルを学びます。
    小森氏が抜けた後でも、上長が部下にOJTができるように、上長、営業社員、小森氏の3者同行を行い、小森氏が部下育成のためのOJTやコーチング手法を現場でお教えします。
  • 営業戦略の提案: 営業のプロである小森氏が、営業目標と戦略をトータルでアドバイスをします。客観的な立場で、現状の営業戦略を評価。より強い営業戦略への策定アドバイスをします。
  • 無駄なタスクの見直し: 営業活動だけに注力できるよう、無駄なタスクの見直しを行います。

ここまで現場が変わる! 小森式OJT型営業トレーニングの成果

▲座学での研修シーン

ここでは、営業組織力強化OJT型営業トレーニングを導入したA社の事例をご紹介します。

【会社の問題】

統括していた上長が退職し、若手営業社員を指導・助言する人材がいなくなった。
また、営業方針が個人によってバラバラで、若手社員がどうしたらよいかわからない状況に。
加えて、適切な評価制度がないために、若い営業社員のモチベーションが低下。それに伴い、優秀な若手社員が離職していき、定着しない状況が続いていた。

【会社からの要望】

  • 営業社員のモチベーションを高めて、優秀な若手社員の流失を防ぎたい。
  • 営業の組織力を強化し、売上を拡大したい。
  • 明るい組織風土を醸成したい。

【OJT型営業トレーニングの内容】

営業社員対象

まずは、現状の課題を洗い出すために、営業個人とチーム全体の強み・弱み、各個人のやる気とスキルを分析しました。

つぎに、行ったのは課題抽出です。チームと個人で最も重要なイシューとは何かを考え、どの課題から解決していくのか優先順位をつけました。優先順位1~3までの課題を解決するために計画を立案しました。

翌月は、その課題を解決するために、商談力のOFF JT(座学)を実施し、受講生同士でロールプレイングを行いました。そして、小森氏が実際に営業現場へ同行。営業の見本を見せて、次の得意先で受講者に実践してもらいました。

次回の研修で、受講者が前回で学んだスキルを実践した成果を発表。成功・失敗体験を共有し、各個人で改善点を考えました。

受講者が、その改善点を翌月の営業活動で実践し、ブラッシュアップしていきました。座学➡実践➡評価・フォロー➡改善のサイクルを3ヶ月ほど続けました。
最終的に結果を検証し、各個人のベストプラクティスの成果を発表し、次のステップについて考える時間としました。

次期管理職対象

次期リーダー、メンターの育成のため、コーチング、マネージメント手法を伝授。小森氏が、実際に営業現場に管理職の社員と営業社員を連れ立って、部下育成の手本を見せ、トレーニングの手法を教えました。

営業会議に入り、これまでの営業戦略を分析。過剰なサービスの提供だった営業方針を、価値あるサービス提供による適正価格主義に切り替え、利益率をアップさせました。

【期間】

1ヶ月12日間×6ヶ月=72日間

【成果】営業のベストプラクティス(成功事例)

①営業社員Aさん

  • 同行商談により商談力を身につけ、目標売上の2倍を達成。受注率をアップさせた。

➁営業社員Bさん

  • 小森氏とともに、顧客に刺さるプレゼンテーションを作成、ロールプレイングでプレゼンテーションスキルを習得。結果、既存額より2倍増額の長期契約を獲得
  • 成功体験よりモチベーションと自信の増加
  • ネクストステップの目標設定スキルの習得

③係長Cさん

  • 顧客トップへ同行営業。過剰値引きをやめる決断を既存顧客に伝えづらいということで、小森氏が同行。顧客の担当者では決定権がないため、先方の役員と面談し、過剰値引きを是正する自社の方針を伝えることで価格交渉の合意を得られた
  • コーチング手法を学んだことで、部下に適切なアドバイス、声掛けをできるようになった

成果に直結する営業研修

営業社員の離職率の高さは、ここ数年経営陣の頭を悩ませてきた問題でした。

この「営業組織力強化OJT型営業トレーニング」は、前述の営業社員や経営陣が抱える問題を解決するために開発された画期的なプランです。

小森氏が、ロールモデルとなって若手営業社員や次期リーダーを導き、現場でより実践的に指導します。社員の声に耳を傾けながら、組織全体で成長を目指していきます。
小森氏のサポートが終わった後でも、その成長していく組織風土が熟成されるように、管理職や次期リーダーもしっかりと支援しています。

これまでの導入企業の実績から、この研修プランが、営業社員のモチベーションと営業スキルをアップさせ、営業組織力を強化できたことが実証されています。

優秀な若手社員を育成し、営業組織全体の強化を目指すのであれば、こちらのプランをぜひご検討ください。

小森康充 こもりやすみつ

営業力強化コンサルタント 元 P&Gアジアパシフィック最優秀マネージャー

人材輩出企業といわれるP&G営業本部にて初代トレーナーを経験。外資系企業で20年間の営業キャリア、人材育成キャリアを積む。お客様との会話の進め方や、成約率を最大限にあげるための手法を伝授。著書『リーダー3年目からの教科書』、『スベらない商談力』など多数。

健康営業・販売・マーケティング人材・組織マネジメントclass=”title”>その他実務スキルclass=”title”> 危機管理・コンプライアンス・CSR

プランタイトル

効果的OJT部下育成

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