マーケティングやブランディングなどさまざまに活用できる手段・SNS。一方で、社員が知識不足のまま利用すると逆効果をもたらすリスクも潜んでいます。この記事では、企業にとってのSNS研修の必要性と、おすすめのSNS研修プランについて紹介します。
SNS研修の主な目的には2つの視点
この章では、SNS研修を行う目的について、スキルアップとリスクマネジメントの2つの視点から解説します。
【スキルアップ】企業PRや事業へのSNS活用
昨今、集客やファン獲得などのためにSNSを導入する企業が増えています。活用次第では、企業のPRや事業拡大につながる可能性が大いにあるためです。
企業がSNSで成果を出すには、目的の明確化や媒体の使い分けなど、正しい運用知識やノウハウを身に付けることが大切です。
【リスクマネジメント】社員のSNS利用
SNSで情報の発信や収集をすることは容易です。しかしやり方を一歩間違えると、トラブルに発展するリスクもあります。
現場の一社員の不適切な投稿などが原因で起こった企業不祥事は、枚挙にいとまがありません。そうした事態を未然に防ぐためにも、社員へのSNS研修が不可欠なのです。
SNS研修の必要性
SNSのノウハウはwebなどでも得ることができます。それでは企業がわざわざ研修を受けて学ぶ意義はどのような点にあるのでしょうか。ここではSNS研修の必要性について、3つのポイントをご紹介します。
①SNS利用率増加に伴うSNS活用のニーズの高まり
ICT総研が2022年度に行った「SNS利用動向に関する調査」によると、日本国内のSNS利用者数は年々増加傾向にあることが明らかになりました。
これによると、2017年末の時点では「SNS利用者数(利用率)」が「7,216万人(72.1%)」だったのに対し、2024年末には「8,388万人(83.2%)」に増加する見込み、という推計が出ています。
またSNSを利用する理由に関しては、「仕事や趣味などの情報収集目的(44%)」や、「知人同士の近況報告(37.1%)」はという答えが多く見られました。今後も、利用目的に応じて異なるSNSを選択するユーザーが増加し、それに伴ってSNSの活用率自体も高まることが見込まれます。
②SNS戦略やノウハウの増強
また同年、『月刊総務』編集部が読者などに対して行った「企業ブランディングとSNS活用についての調査」の調査結果も紹介しましょう。
全回答のうち9割以上の企業が、SNSの活用が「必要」と回答しているのに対し、自社におけるSNS活用については、51%と半数以上が、「全く進んでない」と回答しました。ここからは企業の理想と現実にギャップがあることが分かります。
また、活用が進まない原因については、上位2項目に「ノウハウがないから」や「何をすればいいかわからない」が挙げられました。必要性に対し、企業内には専門的知識が不足している実態がうかがえます。
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③SNS炎上などの重大リスクの回避
さらにSNSの発信には、常に炎上のリスクがあることを理解しておかなくてはなりません。
例えば過去には、紳士服販売の企業による男性ワイシャツのSNSキャンペーンの投稿が、不適切な名称だと批判を浴びる事例がありました。また外食チェーンのアルバイト店員が、衛生管理や基本的マナーに反する行動の動画や写真を面白半分で投稿し、瞬時に拡散されるケースも後を絶ちません。
こうしたリスクを回避するためにも、研修を通じて各事例の原因や、万が一発生した場合の対処法などを知っておく必要があります。
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SBおすすめのSNS研修プラン
それではここからは、システムブレーンのスタッフイチオシの研修プランをご紹介します。
①SNS活用術
広告費0円で理想のお客様が集まるInstagram集客研修
14歳当時、メルマガ読者20,000人を8カ月で集めた経験を持つ、上村菜穂氏による研修プランです。Instagramを使った集客についての成功事例などを交えながら、投稿の内容や、気をつけるべき点など、Instagramならではのノウハウを伝えます。
おばたのお兄さんによる
100万人のフォロワーを生む SNS発信講習会
お笑い芸人・おばたのお兄さんにSNS発信について学ぶプログラムです。コロナ禍の自粛期間に約3カ月で280,000人以上のフォロワーを増やした経験を元に、基本的なポイントや投稿内容を面白くする方法などを伝授します。
企業SNS運用改善研修
日本での企業ソーシャルメディア運用の第一人者である、風間公太氏による研修プランです。「無印良品」ブランドのSNSアカウントを開設し、500万人を超えるフォロワーの窓口を担った講師に、SNSの基礎知識や運用方法などについて、体系的に学べます。
うまくいっている企業は知っている! 「SNSマーケティング」
販売促進や広報手段について総合コンサルティングを手がける、片桐かほり氏による研修プランです。SNS活用のコツやSEO対策、炎上対策などについて、成功事例を交えつつ、小規模事業者向けに解説します。
法人で動画を活用するための 効率的な自社運用で実現する動画活用法(YouTube、SNS、ZOOMなど)
映像・テレビプロデューサーである木村博史氏に、動画コンテンツの活用方法が学べる研修プランです。講師はこれまで500社を超える企業に対し、プロの演出を活用して社員が動画制作できるようサポートした実績があります。YouTubeやSNS動画などの撮り方や、運営で失敗しないための知識を伝えます。
中小企業の広報・PR 担当者のための SNS 活用研修
40年以上のIT業界でのキャリアをもとに、SNS・動画による顧客開拓の仕組み構築の専門家として活躍している菅野弘達氏による研修プランです。広報やPR担当者向けにSNS活用事例の紹介するほか、写真の撮り方などについても実践しながら学べます。
SNSで儲かる会社に変わる!~成功事例に学ぶ!利益を生む活用法~
SNSや情報リテラシー教育を専門とする、高橋暁子氏による研修です。各SNSのメリットやビジネスでの活用方法などを、実際の成功事例と併せて紹介します。また注意点やコツについて、実践形式で習得しましょう。
中小企業がITで集客するためのソーシャルメディアとWeb運用
~Webサイトを「自動販売機」にする方法
webコンサルタントとして、50社以上の中小企業・大企業へのコンサルティングを提供してきた、田村憲孝氏による研修プランです。検索エンジンから自社のwebサイトへアクセスを呼び込み、問い合せなどへ結びつける具体的な方法などを解説します。
本気で活用するSNS!!!
これからのSNSはビジネス活用だ!
BtoC事業を展開する中小企業や個人事業主に向けた研修プランです。女性集客コンサルタント・丹羽綾氏に、SNSの使い分け法と運用術、伝わる投稿の作り方などのほか、オンラインマーケティングの基礎を学びます。
ビジネスアニメーションを使ったこれからの販促
経営コンサルタントの永田仁史氏による研修プランは、比較的安価で始められるビジネスアニメーションを使用した販促の方法が学べます。実際の導入事例や導入方法などについても、わかりやすくレクチャーします。
②ネット炎上、リスク対策
炎上してからでは遅い!
今すぐ考えよう、SNS時代の新しいリスクマネジメント
元テレビ局員でリスクマネジメントアドバイザーの加賀敬章氏による研修プランです。講師はテレビ局で、コンプライアンス局長を務めた経験を持っています。過去の事例から、炎上が起こる原因やそれによる影響、リスク対策の方法などを学べます。
炎上しない企業公式SNSアカウント運用
元警視庁・サイバー犯罪捜査官で、デジタル鑑識アナリストである中村健児氏による研修プランです。警視庁初のSNSアカウントにおいて150,000フォロワーを獲得した実績のある講師が、運用経験を通じて心得た、炎上を引き起こさない言葉や話題の選び方を伝えます。
ネット/SNS炎上における効果的なトラブル対応策と予防法
多数のメディアへの出演や、厚生労働省での研修実績もある新田龍氏によるプランです。SNSで炎上が起きるメカニズムや、炎上発生時の正しい対処法などについて解説。今日から始められることを、事例などを通して学びましょう。
企業として効果的なSNS炎上対策
テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍する、文筆家・古谷経衡氏による研修プランです。講師はインターネット文化や若者論にも精通。企業として知っておくべき、SNS炎上の仕組みや、効果的な対策について伝えます。
企業のSNS炎上対策
セキュリティ、ネット事件、IT全般が専門のITジャーナリストである三上洋三氏による研修プランです。テレビやラジオなどでも活躍し、セキュリティに関するわかりやすい解説には定評があります。SNS運用のメリット・デメリットや、活用法などを学べます。
サイバー担当元刑事が教えます
経営者が考えるべき、炎上・風評被害対策
~指先一つであなたの会社を潰せます~
警部補として約15年間、サイバー犯罪などの「特別法犯」を担当してきた、森雅人氏による研修プランです。企業経営者に向けて、風評や炎上被害が起こるメカニズムや、そうした事態から会社を守る3つのポイントなどを解説します。
SNS研修のカリキュラム例
続いては、実際はどのような内容でSNS研修を行うと良いのか、カリキュラム例を7つ紹介しましょう。
(1)SNSの種類や最新トレンドなどの基礎知識
FacebookやInstagramなど、SNSの種類といった基礎知識から、「運用にChatGPTやCanvaを利用して効率化する」といった最新トレンドまでを学べるカリキュラムは、SNS研修の定番の1つです。
(2)SNSごとの特性をふまえた使い分け
SNSはそれぞれ異なる特性をふまえて、使い分ける必要があります。例えばXは「リポスト」機能に、Instagramは画像メインで投稿できる点などに強みがあるといえるでしょう。
より効果的な結果をあげるためには、媒体の特徴やユーザー層を把握することが大切です。
(3)社内SNSガイドラインの必要性・策定方法
SNSの炎上などを未然に防ぐためにも、ガイドラインは必要不可欠です。
社名を開示して行う投稿に関するルールや、他人の権利を侵害する行為を禁止することを明記し、社内共有しておかなければなりません。
その必要性や策定方法を学ぶ時間も、研修に取り入れると良いでしょう。
(4)企業のSNS活用成功事例
企業のSNS活用成功事例も、人気のあるテーマです。
SNSマーケティングでは、自社プロダクトの認知向上やブランディング、ファン育成のほか、ショップ機能の連携などで、直接的な売上アップも期待できます。
研修では、動画を使用して視覚的に商品の魅力を訴求したり、潜在顧客の生活に役立つ情報を投稿したりするなどの事例やノウハウを学べます。
(5)企業アカウントのSNS炎上やステルスマーケティング対策
企業アカウントのSNSで炎上が起こる仕組みを理解すれば、予防につながるだけでなく、実際に問題が発生したときにも、迅速かつ適切な対処ができます。
また、広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティング(ステマ)対策も、研修ではよく取り上げられます。「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の定める「不当表示」にならないようにするために、不可欠な知識です。
(6)社員の私的なSNS投稿の具体的注意点
社員個人の私的な投稿がきっかけで、機密情報や個人情報が流出するケースも少なくありません。また匿名であっても、公序良俗に著しく反する投稿をする従業員は、雇用する企業にとってもトラブルの元です。
そうした問題を防ぐためには、現場のメンバーが私的な目的に社用端末を使わないことや公開範囲の設定、コンプライアンスなどを学ぶのが有効です。
(7)グループワークやディスカッション
さらにグループワークやディスカッションを行うことで、現場で即実践に移すことができるでしょう。
例えば「自分がSNSで好感を持っている企業や、評判の良い企業の投稿内容を検証してみる」、「炎上の予防策や発生時に取るべきアクションを検討する」などの課題が出されます。
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SNS研修の対象者
SNS研修を受けるのはSNS業務の担当者だけでよいのでしょうか。ここでは研修の対象者と、各対象者が特に学ぶべきポイントを説明します。
マーケティング担当者
研修をまず受けるべきなのはマーケティング担当者です。
担当者が、SNS特有の作法や技術だけではなく、炎上リスクへの対策などを身に付けることが、企業のSNS戦略としては最も早道です。
新入社員・若手社員
新入社員・若手社員にもSNS研修が必要です。
この層は早いうちからSNSに慣れ親しんでいます。しかし業務上の守秘義務や公私の切り分け、承認欲求の抑制については十分な知識・経験がありません。
研修を通し、SNSの使い方やガイドラインをしっかり学ぶ機会を設けてください。
管理職
現場だけでなく管理職にも、SNS研修は価値があります。特にリスクマネジメントの観点から、SNSリテラシー向上は必須といえるでしょう。
部下を指導する立場である管理職が、基本知識不足のために教育できない、問題点を本人に上手く伝えられない状態では意味がありません。
SNS研修を実施することで企業が得られる4つのメリット
最後に、SNS研修の導入で企業が得られる4つのメリットについておさらいしておきましょう。
メリット1.SNSに潜むリスクの認知
SNSには多くのリスクが存在します。
例えば、公開前の取引内容が、現場にいた新入社員のSNSから漏洩し、契約先企業からの信頼を失ったり、公式アカウントの不適切発言が拡散し、ブランドイメージが急降下したりすることがあります。
猛批判を受けてから「こんな反応が来るなんて知らなかった」では済まされません。研修では、過去の実例などから、SNSに潜むリスクを正確に知り理解することができます。
メリット2.社員のSNSリテラシー向上
社員一人ひとりのリテラシーを上げるのも重要な研修メリットの1つです。
企業の公式アカウントだけでなく、社員の個人アカウントから炎上が発生するケースも多分にあります。その裏には、本人の情報セキュリティへの理解不足があります。
SNSを使う以前のリテラシー、機器の取扱いやネット詐欺・ウイルス感染の実情、パスワード管理の重要性などの情報リスク全般について組み込むのも一案です。
研修の場での周知徹底が、会社にとってのリスクヘッジにつながります。
メリット3.低コストで効果の高いマーケティングチャネルの確立
企業にとって、SNSは低コストで効果の高いマーケティングチャネルになるでしょう。
まずアカウントは無料で開設可能です。フォロワーを増やすには定期的な情報発信が必須で、手間はかかりますが、広告のような規模の制作・掲載コストは発生しません。
またユーザー同士でやりとりできるため、顧客とダイレクトな関係性を築きやすいのもメリットです。
これらは他の媒体や手法にはない、SNSならではの特長といえます。
メリット4.企業ブランドや知名度の向上
最後のメリットは、企業や商品、ブランドへのイメージ向上につなげられることです。
企業が積極的に情報発信したり、その周りにユーザーの良い口コミが集まったりすると、外側から見ているだけのユーザーにも、親しみを感じてもらいやすくなります。その結果、顧客ロイヤリティも向上するでしょう。
さらに採用活動においても、企業のリアルな情報発信の姿勢に学生が親近感を持ち、「魅力的な企業だ」と感じてもらえるかもしれません。
企業にとってSNSの利用は多くのメリットをもたらしますが、一方で、情報漏洩や炎上などのリスクもはらんでいます。研修を通して正しい知識やノウハウを得ることは、より効果的なSNS運用につながるのみならず、リスクマネジメントにも強い、安定した企業経営を実現するでしょう。
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