人も生きてる・景気も生きてる

中川政雄
なかがわまさお

経営哲学

中川政雄
なかがわまさお

株式会社オフィス・なかがわ代表 元気コメンテーター
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提供する価値・伝えたい事

“伝説の信金マン”が独特の切り口で語る、これからの経済・景気の話です。

内 容

ここ数年の景気の動きをフレーズで言えば・・

平成15年は・・大掃除の年であった。バブルが弾けその後始末をこの年までに終わってしまった企業は、その後の景気回復時期に勢いに乗るチャンスを得た。

平成16年は・・萌える年と名付けた。枯れた芝生を捲ればそこには数多くの青い芽が頭を持ち上げている状態であった。しかし、「羹に懲りて膾を吹く」の例え通り、バブルの崩壊で大怪我をした心の痛みがずっしりと残っているので、勇気を持ってその枯れた芝生を突き抜けることができるかどうかが問題であった。突き抜けた企業と突き抜けられず躊躇していた企業の差が現れてくる。

平成17年は・・膨らむ年といった。じわっと芽が膨らんでくる年であった。上記したように、この年まで大掃除を引き伸ばしていた企業は、立ち上がりが遅れたとえ立ち上がったところでそのパワーは弱かった。負は早く処理する。変化がはげして時代はこうでなければならない。

平成18年・・開く年であった。景気上昇は「いざなぎ景気」の期間を超えた。しかし一部の大企業は好景気に沸いたが、大多数の国民にはその実感がない。変な景気上昇であった。それはバブルの後始末の段階で大量の人員整理を行い、リタイアを余儀なくされた人たちの再就職の道は厳しく、たとえ運よく再就職できたとしても、派遣社員やパートであることが多く、個人所得に大きな差が出たのである。
 企業も全てが儲けていた訳ではない。しかも大企業も、一部を除き国内の業績は今一つで、海外企業が好調で連結決算ベースで好業績を上げているところが多いのである。
 今後中国との貿易が拡大してくるので、もっと安価な商品が入ってくる。国内需要に頼っている企業は先行き厳しいと思わなければならないだろう。だから景気が上昇を続けているからと言って、給与を上げる訳にはいかないのである。この傾向はまだ続くであろう。

●さて平成19年は・・横ばいの年であろう。国民負担が増加し始める。数字上で景気は良くなっているといいながら、ますますその実感がなくなる。落ち込み始めている個人消費も回復は厳しいだろう。
 加えていくつかの不安材料がある。頼りに思うアメリカの景気が平成18年末にきて不調なのである。住宅関連が最も落ち込んでいる。アメリカで上下両院で民主党が過半数を取った。日本に対する経済面での要求は強くなろう。その手始めが円高政策であろう。輸出で景気を押し上げているわが国には、これが堪える。
 もちろん悪い面ばかりではない。安倍首相の中国訪問があり、今後ますます中国との貿易は盛んになるだろう。目をアジアに向ける必要が増してくる。平成19年度は、富の格差が一層大きくなる。大方の見方は、景気はいいところ横ばいであると見られている。

 景気は良い時でも悪い時でも循環がある。その循環は普通年明けから下がり始める。平成19年もそうなるだろう。平成18年もそうだった。多くは景気が低迷期に入ったと言った。しかし私はそうではなく、景気循環の下降線に入っただけだと言った。
 果たして景気は頭をもたげた。なぜなら、小泉内閣は景気面で助ける政策を打たなかった。だから今の景気の回復は企業の自力であった。だから簡単に腰折れしないのである。
 この自力回復はいい面だけではなかった。政治がある程度介入する場合は、格差が出ることを懸念して手当てをするのだが、民間が自力で行なう場合は、弱いところを切って立ち直ろうとする。だから後遺症が出るのは仕方がないのである。これが格差となって今問題になっている。二ついいことはないということである。

 今年(平成19年)も昨年と同じで景気循環のために年明けから3月ごろまでは頭を下げるだろう。今年は昨年よりもやや頭を上げるのが遅れるだろう。それは個人消費が落ち込んでいることと、アメリカの景気の低迷が影響するからである。でもやや遅れながら頭を持ち上げてくる。夏前には景気循環の上げにのってくる。
 政治は経済よりも先行する。とすれば、春の統一地方選挙、そして関が原と言われる参議院選挙がどうなるかが、今年の景気を大きく左右することになる。


 変化の激しい時代は、下手をすれば短期間で会社をダメにしかねない。上手にやれば短期間で大化けさせることもできる。大企業の戦略は数多くの隙間を作り出した。その隙間に知恵と勇気で手を入れることができたら、飛躍する年にすることができる。

 元気を出して希望をもって進んでいこう。

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