数々の実業家たちから高い評価を受ける中学生起業家レウォンさんへのインタビュー企画後編。
今回は、レウォンさんが運営する株式会社polarewonの社外取締役である藤野英人さん(レオス・キャピタルワークス株式会社 会長兼社長)を迎え、レウォンさんが小学6年生で起業したきっかけと現在取り組んでいる事業への想いを伺いました。

困難の多い挑戦を続けるレウォンさんの原動力とは?
そして、そんな彼が掲げる目標とは?

逆境に負けず歩み続けるレウォンさんの、素敵な出会いと挑戦に溢れたお話をご覧ください。

尊敬しあえるパートナーとの出会い。偏見の壁を越えるため起業

――レウォンさんは小学6年生で株式会社polarewonを設立されましたが、なぜ起業されたのでしょうか?

レウォン ぼくが行っているもうひとつの事業である「UWABAKIプロジェクト」を実現させるために起業を決意しました。UWABAKIプロジェクトというのは、白くて汚れが落ちにくいうわばきを今の時代に合った心地良い履き物に革新しようというプロジェクトです。これまでの元素カルタや漢自missionは紙ベースだったので自分で試作できたのですが、さすがにうわばきを自分で試作することはできなくて。でも色々な企業に協力をお願いしても、「子どもだから」という理由で上手くいきませんでした

そこで『メイクマネー』の方々や藤野さんに相談したところ、「小学生というのは弱みでもあるけど強みでもあるから、今のうちに起業した方がいい」と言っていただいたので、起業してみようと思いました。特に藤野さんからのひと押しが大きかったですね。

藤野 小学生との契約となるとなかなか踏み切れない人も多いので、会社形態になって役員などがいれば契約もしやすいと考え、アドバイスしました。当時レウォンさんはまだ小学生だったので、「小学生のときに会社を作るというのは今しかできない。小学生のとき会社を作ったというのも一つの勲章だし、今小学生であることが強みになる」と伝えました。結果的にこのアドバイスは間違っていなかったと思いますね。

――そもそもおふたりはどのように出会われたのですか?

藤野 共通の知人である福岡大学経済学部の阿比留正弘教授から、ある日1通の長いメールが届いたことがきっかけでした。そこには「人生の師匠を見つけました。その師匠と共に残りの人生を歩みます」と書いてあったのですが、その“師匠”が当時11歳ですよ。阿比留先生はもうすぐ退官されるお年ですし、最初は正気か疑ってしまいました。でも「もし本気でおっしゃっているなら、会う価値のある人物かもしれない」と思いZoomで話してみたら、「なるほど、そういうことか」と納得しました

レウォン 藤野さんには、ぼくが疑問に思ったことをよく相談させてもらっています。いつもすごいアドバイスをくれるので、すごく会話が深まるし、盛り上がっています。ぼくにとっては疑問について一緒に考えてくれる、パートナーのような存在です

大切なのは「どう在りたいか」。日本に教育から革命を起こす

▲レウォンさんが運営する株式会社polarewonの経営理念[CAMPFIRE「僕らは楽しく学びたい!ドリルから漢字ミッションへ!幸せになる為のレウォンの挑戦!」(レウォンさんのクラウドファンディングページ)より]

――株式会社polarewonで手掛けている事業について教えてください。

レウォン ぼくたちは「ラーニングイノベーターとして学びのソーシャルイノベーションを起こす」という志のもと、イベントや研修の開催、漢自missionの製品化など様々な事業に取り組んでいます。実は企業だけではなく公教育にも漢自missionを取り入れてもらいたいと思い活動してきましたが、教育現場を変えることはとても大変だということが分かりました。そこで今、力を入れているのが「之楽館(しらくかん)」という学び場作りです

之楽館とは、孔子の『論語』の一節である「之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむものに如かず(※注1)」から付けた名前です。Polarewonの経営理念の1つに「自分発のイライラとモヤモヤを発見し、社会問題の解決を目指す」というものがあるのですが、之楽館はまさにこの理念の通り、ぼく自身が楽しく学びたいという思いから始まっています

ぼくは様々なチャレンジをしていく中で、藤野さんをはじめ、たくさんのカッコいいオトナに出会いました。そんなカッコいいオトナたちから様々なことを学ぶことができるのが之楽館です。実はこれも藤野さんに「レウォンくん、学校作っちゃいなよ」と言われたのがきっかけでした。之楽館を本気で実現するために、今またクラウドファンディングに取り組んでいます。

ーー学ぶ側であるレウォンさんが学び場を作るというのもすごいアイデアですね! 藤野さんはどのような思いで提案されたのですか?

藤野 最初から理想形を考えることが非常に大切だと思ったからです。漢自missionはレウォンさんが感じた学びの在り方や先生と生徒の在り方に対する疑問への1つの答えでした。そういった点から「レウォンさんが最終的に実現したいのは、“理想の学校の在り方を提示すること”ではないか」と思ったので、まずはその理想形をイメージするために学校づくりに取り組むことを提案しました。最初に明確なイメージを作れば、そのあとの行動の一つひとつにも意味が出てきます。最初からうまくはいかなくとも、いつか実現すると確信するために、早い段階から取り組んだ方がいいと考えました。

――理想実現のためのステップということですね。

藤野 そうですね。レウォンさんの抱えている疑問は、「“何になりたいか”ではなく、“どうありたい”や“どうなりたい”を考えることが大事なんじゃないか」ということです。よく大人が子どもに「将来どんな職業に就きたい?」と聞きますが、本当は「どんな職業に就きたいか」ではなく「人生をどう過ごしたいのか」を考えるべきです。

どんな仕事かもよくわからないうちからなんとなく仕事を決めてしまい、働くうちに自分のやりたいことや適正を見失って仕事嫌いになってしまう。日本はそんな仕事にやる気のない人間が世界で最も多いと言われている国(※注2)であり、そんな人を作り出している原因が今の日本の教育システムや会社です。その問題を解決するには、根本である教育システムから問い直す必要があるとレウォンさんは考えています。

※注1「物事を知っている人は、それを好んでいる人には及ばない。それを好んでいる人は、それを楽しんでいる人には及ばない」という意味。

※注2 米ギャラップの2023年6月「グローバル職場環境調査」によると、「熱意あふれる社員」の割合が日本は6%となり世界145カ国中で最下位となっている(「State of the Global Workplace: 2023 Report」)

失敗はポジティブに。「いいや」「もちょ」の精神で困難に挑む

▲レウォンさんの行動原理「いいや」[YouTube「いいや」より]

――パートナーである藤野さんから見た、レウォンさんの一番の魅力は何ですか?

藤野 「自由で頑固」というところですね。レウォンさんは自分が納得できないことに関しては行動できないので、そういった部分は頑固です。でも自分が思ったことに対しては自由に行動したいという思いが大きい人です。そこがレウォンさんの一番の魅力だと思います。

――レウォンさんはこれまで困難なことにも数多く挑戦されてきましたが、その挑戦の原動力は何ですか?

レウォン 藤野さんがおっしゃった「自由で頑固」というところが大きいと思います。自分が面白いと思ったり、疑問に思ったことから出てきたアイデアを放っておけないから、その実現のために頑張っているという感じです

また、ぼくが行動の基本としている「いいや」という考え方も、挑戦の原動力になっています。「いいや」とは「言ってみる」「行ってみる」「やってみる」の頭文字を取って作った言葉です。まずやってみたいことを口に出してみる。次に、色々な場所に行ってみる。最後に、実際にやってみる。この3つが僕の行動の基本となっていて、クラウドファンディングや起業のときにも「いいや」を意識して進めていました。

――レウォンさんの挑戦はなかなか困難なものが多いように思いますが、挑むのが怖くなることはないですか?

レウォン もちろん恐怖心はあります。でも、怖いよりも放っておけない気持ちが勝ってしまうんです。怖くなったときには、以前藤野さんがおっしゃっていた「勝つか負けるかじゃない。勝つか学ぶかだ」という言葉を思い出しています。「失敗ではなく学びだ」という考え方は、失敗をポジティブにとらえるための力になっています。

ぼくは普段から「失敗」のことを「もちょ」と呼ぶようにしています。これは、「もうちょっと」を略したものです。「失敗」と言うとどうしてもマイナスイメージになってしまうので、怖くなったり上手くいかなかったときは「もちょもちょ!あと一歩!」と思うようにしています。

挑戦で得た刺激的な出会い。カッコいい大人たちから学べる場所を作る

▲”カッコいい大人”たちと出会い、学んできたレウォンさん [CAMPFIRE「僕らは楽しく学びたい!ドリルから漢字ミッションへ!幸せになる為のレウォンの挑戦!」(レウォンさんのクラウドファンディングページ)より]

――講演会ではどのようなお話をされていらっしゃいますか?

レウォン 基本的には3タイプの講演会を行なっています。1つめは元素カルタの制作秘話に関するもので、科学の面白さをお伝えしながら元素カルタを体験してもらう研修型の講演です。2つめは、ぼくの起業体験をお話しする講演です。こちらではぼくの体験談から、「いいや」や「もちょ」をはじめとしたチャレンジ精神のお話と、ウェルビーイングなどの幸せに関するお話しています。

3つめは、漢自mission(※前編参照)を使用した社員研修です。漢自missionは漢字学習教材ですが、好きな漢字を選んで学ぶことで、自己分析やチームの信頼度をアップさせるツールにもなります。この使い方を利用して、企業様向けの漢自mission研修を実施しています。

漢自mission研修は企業で開催することが多いですが、元素カルタ大会のご依頼など学校からの問い合わせも増えています。特に対象を限定しているわけではないので、色々な場所で講演をやっていきたいと思っています。

――最後に、レウォンさんの夢をお聞かせください。

レウォン 僕たちは小さなときから「将来の夢は何?」って聞かれることが多いと思いますが、ぼくはどんな職業に就くかよりも、どんな大人になりたいかがとても大事だと考えています。ぼくは今まで色々な活動をしていく中で、「超カッコいい!」と思える大人の人たちとたくさん巡り会ってきました

そんなカッコいい大人たちは、それぞれお仕事も年齢も性格も違うし、めちゃめちゃ個性的なんですが、みんな感動的にカッコいいんです。みんなそれぞれの世界でめちゃめちゃ楽しそうに、生き生きキラキラしているように見えます。の人たちのカッコいいところにもっとたくさん触れて、ぼく自身が何をカッコいいと思うのかを探して、感じて、真似して、学んでいきたいと思っています。

だから今の夢は、ぼくだけでなくたくさんの人がカッコいい大人たちと出会って、触れ合って、たくさん学び取れる、感じ取れる、「之楽館」という学び場を作ることです。僕にとって“学び”や“知る”ということは本来楽しいものなので、ぼく自身もラーニングイノベーターとしてこれからも楽しく学んでいきたいです。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらもご覧ください!
【講師特別インタビュー】 レウォンさん 前編
実業家たちを魅了する13歳
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前編である今回は、レウォンさんが起業するまでのお話です。わずか小学4年生でクラウドファンディングを達成し、数々のプレゼン大会で実業家たちを驚かせたレウォンさんの挑戦をご覧ください。…

レウォン (李 禮元) れうぉん

中学生起業家 ラーニングイノベーター 株式会社polarewon CEO

経営者・元経営者大学教授・研究者

小4で『元素カルタ』考案開発商品化。翌年『漢字mission』で「スタートアップ Jr.アワード 2020」大賞など 受賞多数。“自身の問題解決が社会問題解決につながる”を理念に小学生で起業。NHKドキュメント20min「12 歳、社長になる」他、メディアで注目される。学び関連イベントや登壇、企業研修も大好評。

プランタイトル

漢自mission研修~絆と成長の共有体験

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レウォン氏のお母さまであるポラムさんの講演も受け付けています!

今回インタビューさせていただいたレウォンさんを支え続けている母・チュ ポラムさんの講演も受け付けています。12歳で起業し社長になった息子・レウォンさんの子育術とは? ご興味がございましたら、システムブレーンまでお問い合わせください。

チュ ポラム 

小学生起業家、株式会社polarewon CEOレウォンの母 株式会社polarewonCOO(チーフおしゃべりオフィサー)

教育・子育て関係者

小4で不登校になり小6で(株)polarewon CEOとなったレウォンの母。経営理念「自分の問題解決が社会 の問題解決につながる」を掲げ、母でありながらも、一人の人間・ビジネスパートナーとして活動中。オリジナル「子育て親育ち 」真っ最中。親子関係や教育、学びについて語る。

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息子「レウォン」が起業家になったわけ

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