コロナ禍以降、テレワークでオンライン会議が急増した一方で、オンライン会議を負担に感じるビジネスパーソンが増えています。
無駄に時間が過ぎるだけの会議をできるだけ効率化して、ワークライフバランスを最適化したいですよね?
そんな悩みを解決すべく、ワークライフバランスコンサルタントの小澤絢さんが、労働組合主催のセミナーに登壇されました。
ストレスフルな会議を効率化するための8つの役割とは?
ぜひ、最後までご一読ください。

労働組合・人材育成担当 関 若奈

講演テーマ: 参加者の心構えで変わる!~会議の効率化と質の向上
講師   : 小澤 絢 氏
開催時期 : 2023年11月末
主催者  : A労働組合
講演時間 : 60分
聴講者人数: オンライン約150名
講演タイプ: ハイブリッド型(オンライン+オンデマンド)

会議が嫌われる理由

今回の受講生は、全国から参加している約150名の組合員の方々。講師も受講生も各拠点から参加する個別視聴型のオンライン配信で、今回参加できなかった組合員のために後日オンデマンド配信も行いました。

講師の紹介があった後、小澤さんの画面に切り替わり、講演が始まりました。
講演のタイトルは、「参加者の心構えで変わる!~会議の効率化と質の向上」です。会議の効率化がテーマの場合、その多くが司会進行のファシリテーションの内容となりますが、今回は、参加する側の心構えや役割といった内容になります。

まず、小澤さんは、参加者の皆さんに「会議は好きですか?」という質問から始めました。

各自、回答をチャットで募ったところ、半数以上が、3.4の「苦手」という結果になりました。
同時に、1日4件のテレワーク会議を行う企業で37%の社員が高ストレスを抱えているという調査結果も発表しました(「隠れテレワ負債」に関する調査より)。

会議が嫌われる理由として、以下のようなものがあります。

  • 発言する人が同じ
  • 議論が白熱しない
  • どうせ自分の意見は通らない
  • どうせリーダーの案になる
  • 目的があいまいで論点がわからなくなる など

これがオンライン会議になると、相手の表情が見えなかったり、話すタイミングがわからなかったりすることから、さらに参加者の不安が増えると指摘しました。

1時間の会議に2万円の費用が…!?

このように参加者の心理的負担が多い会議ですが、どれくらいの費用がかかっているか、考えたことはありますか?
小澤さんは、会議に最もかかる費用は人件費として、1時間の会議に10名が参加した場合の費用を具体的に算出して提示しました。
令和2年度厚生労働白書によると、正社員の1時間の平均時給は1976円。10人が参加した場合、19,790円となり、10分延長することに+3293円もかかってくる計算になります。
1時間約2万円もかけるのならば、やはり会議は生産性を高めて、効率的にすべきとし、改めてファシリテーションの必要性を説きました。

ファシリテーションスキルは神業

ファシリテーションとは、”会議を円滑に進めるための技法”です、具体的には以下のような役割を行います。

  • 場をデザインする…会議の目的、ゴールの確認共有、事前準備
  • 意見を発散させる…傾聴や質問、意見を言いやすい環境づくりを目指す
  • 構造化…意見や議論の内容を、皆がわかるように整理し、論点の絞り込み
  • 合意形成…会議のゴールに向かう、まとめる、結果を共有する

「技法」というからには、それなりの練習や訓練が必要であり、一般的な社員がこれらを身につけようとするならば時間もかかるのだそうです。

そこで小澤さんが提案するのは、このファシリテーションの役割をファシリテーターが1人で担うのではなく、みんなで分担する方法です。

小澤さんは、ファシリテーターの役割を以下の8つに分類しました。

  • 会議前に議題の決定と通知をしっかりと伝える
  • 会議のゴールと目的を参加者に伝える
  • タイムスケジュールを作る
  • 参加者の意見を否定せずに、肯定的な雰囲気を作る
  • すべての参加者から意見を引き出す
  • 自分だけが話している会議にならないように配慮する
  • 決定事項(だれがいつ何をする)を確認して終える
  • タイムスケジュール通り、時間内に会議を終える

これらの役割を踏まえて、次のワークでは、5人1グループとなり、以下のような係を決めて、模擬会議を行いました。

  1. ファシリテーター…司会進行、みんなの納得感を出す
  2. ゴールチェッカー…会議の論点がずれていないかチェック。
  3. タイムキーパー…時間通りに終わるようにする
  4. スタンスチェッカー…聞くだけ会議ではなく、全員意見が話しているかをチェック
  5. ポジティブチェッカー…ネガティブなことを言っている人がいないかチェック
  6. 反応リーダー…話しやすい雰囲気を作るために、「うなずく」「なるほど」などの反応をする
  7. 議事録係
  8. アクションリーダー…今日の会議を決まったことを宣言する

【ワーク】みんながファシリテーターになる参加型の模擬会議

模擬会議の議題は、「会社の一番よいところを決めよう」。会社のよい部分をみんなで意見を出し合って、1つの回答にしぼるというものです。

グループワークは、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使い、15分ほどの時間が設けられました。全国の支部からの参加で、普段なかなか顔を合わすことのないメンバーであったため、どのグループも少し緊張した面持ちでした。
15分の会議内で、1人1分間ずつ自己紹介の時間が設けられ、2分で役割確認、5分で意見出し、2分で一番を決め、1分で最終確認というスケジュールでした。

小澤さんに促され、参加者の皆さんはテキパキと自己紹介をし、役割を決めていきました。時間が短かったこともあり、躊躇することなく意見を出し合っていたという雰囲気でした。ァシリテーターの役割を一人ではなく、皆で負担することで、積極的に参加する姿勢が感じられました。実際ワークに参加した人からは、「いつもより会議が活性化した」「とても気軽な気持ちで会議のワークに参加できた」という声が聞かれました。

見出し5  ”これならできそう”と思える感覚が重要

ファシリテーションの研修では、さまざまな技法を学びますが、実際は役割が多くて一度学んだだけでは、すぐに発揮できるものではありません。何度か練習をしながら、ようやく習得できるというような高度な技法です。

その点、小澤さんの研修では、ファシリテーターの役割を参加者全員で分担し、司会進行役の負担も分散されるため、「これならできそう」と思える前向きな姿勢が生まれます
また、実際にワークに参加した方々をパソコン画面で見ていましたが、自分の役割ができることで積極的に参加している姿勢が見受けられました。

研修終了後、主催者様からは、「内容も分かりやすく、参加した方もなるほどと思うところが多々あったようです」という感想をいただきました。このような「わかりやすさ」と「なるほど」という思いが、次の会議で実際にやってみようという思いにさせる動機づけとなるのです。

小澤さんの講演は、学んだスキルの再現性の高さが魅力です
本講演では、会議を活性化・効率化させるために、心理的安全性の必要性や維持の方法、オンライン会議の活性化のヒントにも触れ、大変充実した時間となりました。ワークもあり、あっという間に終わったという印象です。

小澤さんは、今回のファシリテーション以外にも、ワークライフバランスやダイバーシティ、心理的安全性のコミュニケーション術等、組織づくりに有益な情報を発信しています。労働組合セミナーや社員研修におすすめの講師です。
ぜひ次回の講演会・セミナーにご検討ください!

小澤 絢 こざわあや

ワークライフバランスコンサルタント


コンサルタント

働き方改革(働き方の改善)で社員にも会社にもよい会社作りをする、ワークライフバランスの専門家。中小企業に向けて、チーム力を大切にして生産性高く働く社員を増やし、定着させるサポートをしている。

プランタイトル

聞くだけ?耳だけ? 身体だけ? みんなが参加する会議の開き方

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