新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業がテレワークに切り替えました。
そんな中、社員のモチベーション維持に困難を感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。
テレワークで働く社員たちが、セルフモチベーションを高め、積極的に業務に取り組めるようにするにはどうすればよいのか。今回は、メジャーリーガーやプロ野球選手を身近に見てきた奥村幸治氏(NPO法人ベースボールスピリッツ理事長)より、ビジネス社会に通じる思考について解説していただきます。

メジャーリーガーやプロ野球選手との出会いで学んだこと

メジャーリーガーや日本のプロ野球選手など、スポーツ界で活躍する一流選手には共通点がいくつかあります。
そのひとつとして挙げられるのが、一流になるほど、練習に来る時間、練習までの流れなど、“毎日のルーティーンが決まっている”ということです。「今日の練習では、こんなことをする」という明確な目標を日々立てて、練習を万全な状態でスタートできるよう準備をしています。

これを、テレワーク中の会社に置き換えて考えてみましょう。
出勤していた頃に比べると、テレワークはある程度、時間を自由に使える環境といえます。そこで、自由の意味を取り違える人が出てくるのです。例えば、人には「自由だから流されてしまう」タイプと「自由だからこそ時間を上手に使える」タイプがいます。
しかし、両者には大きな違いがあります。それが、自分をコントロールできているか否かです。スケジュールや考え方、方向性などを管理し、自分自身をコントロールしなければ、仕事でパフォーマンスを発揮することはできません。

これまでは会社に行くとスイッチが入っていた、という方もいるでしょう。これからはそれに代わり、自分のスイッチのON/OFFを、自宅にいても自分自身で管理できるようになることが、テレワークを成功させる近道です。

自分をコントロールできない人は、結果を残せません。時間も、その時間に行うべき業務も、自分でコントロールする必要があります。また、そこには思考のコントロールも含まれます。

セルフモチベーションの上げ方

セルフコントロールが必要だということは理解できたかと思います。では、実際に仕事と向き合う中で、セルフモチベーションを高めるにはどうしたらよいのでしょうか。

一流のプロ野球選手たちは、厳しいチーム練習の中で、常に結果も求められるという環境で過ごしています。次第に“やらされている”感覚になっても仕方ないでしょう。しかし、一流のプロは「やらされている」から「自分の意思でやっている」へ、そして「楽しんでいる」という認識へと転換しています

これも、日々の業務に置き換えたとき、「どうすれば与えられた仕事を楽しめるか、効率良くおこなえるか」という思考に変えていけるかがカギになります。セルフモチベーションを高めるには、この思考の転換が必要といえるのです。

一流選手から学ぶ目標達成の行動とは?

私はこれまで、一流選手を身近に見てきました。彼らに共通しているのは「自己管理ができている」という点です。

これはビジネスにおいても大切なことで、どのような仕事であっても楽しめるような思考へ持っていけるかどうかが大切です。また、テレワーク中心の働き方になり、求められることも変わってきた今は、楽しいと感じながら働くことが、より大切になってきているのではないでしょうか。

どんな仕事であっても、目の前の業務をただひたすらこなしていくだけでは、成長はありません。自分自身と向き合うことが必要になってきます。この厳しい時代に生き残っていくのは、「今後何をしなければいけないか」を考えられる人です。そのために必要なのは、自分に何が足りないかを分析することです。分析により、何をすれば目標像に近づけるかを明らかにできます。そのための一歩を踏み出せる人とそうでない人とでは、当然成長にも差が出てきます。
会社に与えられた仕事をしていくだけでなく、常に、自分には何が必要かを分析し、見極め、それを取り入れていくことが大切なのです。

目標達成のステップ

目標を達成するためには、具体的にどのようなステップを踏むのがよいのでしょうか。

  1. 大きな目標を立てる
  2. 目標達成に向けて小さな目標を組み立てる
  3. その小さな目標を達成するために必要なことは何かを洗い出す

いきなり最終ゴールや大きな目標を目指すと、何から始めてよいのか分からず、「できない」「どうしよう」という焦りばかりが先立ってしまいます。高すぎる目標は達成を困難にし、頑張れなくなってしまうのです。まずは「目標達成のための目標」を設定し、小さな目標を一つずつ達成していくことで大きな成功につなげるように工夫しましょう。

目標達成のためのコツ

小さな目標を立てても、それらをすぐに達成できるわけではありません。それは一流のプロ選手でも同じです。

ただし、目標達成のための思考のコツを掴んでおくことで、行動は変わってきます。例えば、一つの小さな目標をうまく成し遂げられなかったとしても、何かしら次につながるものが得られたり、失敗からチャンスを掴めることもあります。

失敗したときに「どうしよう…」だけの思考に陥ってしまうと、前向きな行動は生まれにくいものですが、先に述べたように考え方を転換することで、次の行動も変わってくるのです。

かつてイチロー選手は、「納得する三振もある」ということを言っています。自分が「こうしたい」というプレーができたことで、たとえ結果的には失敗でも、そこには次につながる何かが生まれます。
大切なのは、「成功した」「失敗した」という、すでに過去になったことではなく、未来を見ることです。次に良い結果を出すためにはどうすればよいのか。そこに思考を向けることが、成功のコツといえます。

個々の可能性の引き出し方

プロ野球選手でも会社員でも、個々の力や可能性を引き出すことは大切です。テレワーク全盛となった昨今、物理的距離が近い状態で雑談することもなくなったため、個々の意見を聞きにくくなった、相手の個性を見いだすことが難しくなったと感じている方もいるでしょう。

しかし、こうした状況であっても、工夫すれば、きっと個々の可能性をうまく伸ばせます。

オンラインでも、コミュニケーションを取る、ということが最も大切です。例えば、上司が部下に質問を投げかけ、一緒にいろいろなことを考えます。そうすれば、相手がどのように考えて、何に気付いているのか、次第に理解できるようになります。

これはメールやチャットのやり取りでもできることです。そうした投げかけをしながら、定期的にオンラインで話す場を設けるだけでも相手との距離感は変わってくるでしょう。
オンライン中心の業務でも、社員の結束を高めるのはやはり「コミュニケーション」です。1日10分でもよいので、皆が顔を合わせて話せる機会を積極的につくってみてください。

社員も一人ひとりに個性があり、得意なことや性質も異なります。主体性があり、率先して業務をこなすタイプもいますが、受動的で、依頼したことしかしないというタイプもいるでしょう。
受動的なタイプは、上司から見ると「手が掛かる、自ら成長しない」といった印象になるかもしれませんが、「依頼したことをミスなく丁寧に仕上げる、やり続けられる」という見方ができれば、それもまた素晴らしい能力であると捉えることができます。

上司が社員一人ひとりの能力に気付くことは、彼らのモチベーションを高めるきっかけになります。まずは個々の能力を認め、本人に「自分が認めている」ということを伝えることが大切です。
そのうえで、今後その人が、何ができるようになると会社としてありがたいかを伝えるなどして、うまく成長できる道筋を用意する。それが、個々の可能性を引き出すことに直結すると私は考えます。

テレワーク中のモチベーションを高めるために

今回は、私が一流選手から学んだ思考や行動などを参考に、実際にビジネスに使える方法として、テレワーク中のモチベーションの高め方を解説しました。

私の講演では、これまでの野球生活の中で体験したさまざまなエピソードを交えながら、ビジネスに生かせる方法をお伝えしています。私だから話せるイチロー選手の言葉や、田中将大選手、大谷翔平選手などの秘話をお聞かせできる機会もあるかもしれません! 野球好きな方はもちろん、そうでない方も、思考のあり方として参考にしていただける内容です。ご興味のある方はぜひシステムブレーンまでお問い合わせください。

奥村幸治  おくむらこうじ

NPO法人ベースボールスピリッツ 理事長 パーソナル・トレーナー


スポーツ関係者・指導者

イチローの専属打撃投手を務め、“イチローの恋人”として一躍マスコミに紹介され話題となる。現役を目指し挑戦し続けるが、夢は叶わず1996年に自らユニフォームを脱ぐ。現在は、少年野球チームの監督も務め、野球少年たちに夢を与え続けている。目標達成のセルフマネジメントセミナーも好評。

プランタイトル

目標達成のセルフマネジメント
~イチローの原点を知る男、田中将大を育てた男~

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