ランチタイムはビジネスパーソンにとって貴重なリフレッシュの時間です。心身共にリラックスしている状態だからこそ、学習を兼ねても良い効果が期待できます。

本記事ではランチタイムを有効活用したランチョンセミナーについて、メリットやおすすめのテーマなどを紹介します。また実施の際の注意点も解説しているので、自社の研修スタイルとして取り入れようとお考えの企業の方は、ぜひ参考にしてください。

ランチョンセミナーとは?

「ランチョンセミナー」という用語を聞き慣れない人もまだ多いでしょう。ここではランチョンセミナーの概要を解説していきます。

ランチョンセミナーの定義

ランチョンセミナーとは「ランチタイムの間に実施される勉強会やセミナー」のことです。受講者は昼食を取りながら講演を聞いたり、他の参加者とディスカッションをしたりして学びを深めます。

業務外の休憩時間中に実施されるものなので、原則として参加は任意になります。また飲食を伴うカジュアルな雰囲気で、受講者が気負わずに参加できるのが特徴です。

他にも「ランチ・アンド・ラーン」や、意見交換が中心の場合には「ランチミーティング」といった呼び名があります。

よく取り入れられている業種

ランチョンセミナーは、病院や大学などの研究機関や医療系学会などでは以前からよく取り入れられていました。常に最新の知識をアップデートする必要がある業界であるため、ランチタイムも学びの機会として効率的に活用されてきたのです。

ランチョンセミナーのトレンド

2020年頃より、世界的な感染症対策の1つとして非対面の交流方法が普及しました。そうした背景から、ランチタイムに受講できる手軽なオンラインセミナーが増えています。

以前は一部の業種向けが主でしたが、今ではさまざまな企業や団体が一般のビジネスパーソン向けに多様なテーマでランチョンセミナーを開催しています。

ランチョンセミナーを実施するメリット

あえてランチタイムにセミナーを実施することは、どのような効果をもたらすのでしょうか。ここでは3つのメリットについて解説します。

時間の有効活用

業務時間外のランチタイムを学習に充てることで、時間の有効活用が可能です。

昼休憩の時間であれば、社員は業務のスケジュールを無理に調整してセミナーに参加する必要がありません。また就業後や休日など、本来プライベートの充実のために使える時間を、仕事のために割かずに済みます。

通常業務もプライベートの時間も圧迫することなく、効率的に知識のインプットを行えるのが魅力です。

リラックスした環境での学習

参加者全員が食事をしているランチョンセミナーには、通常のセミナーとは違いリラックスできる環境があります。受講者同士で意見を交換する際も、和やかな雰囲気のなかで自由な意見が出やすいでしょう。余計なプレッシャーのない環境で、学びに集中できます。

社内コミュニケーションの促進

ランチタイムであれば、子育てや介護などの事情で、通常のセミナーには参加しづらい社員の参加も期待できます。普段は交流機会の少ない社員同士が、食事をしながら和やかに場を共有することで、社内コミュニケーションの促進につながります。

ランチョンセミナーにおすすめのテーマ4選

次にランチョンセミナーにおすすめの4つのテーマを紹介します。

テーマ1.業種における最新知識やスキル

ランチョンセミナーはそれぞれの業種で求められるスキルや、業界の最新知識を習得する場として活用されています。

例えばエンジニア向けであれば最新IT技術の共有や取り組み結果の報告、クリエイター向けであれば情報発信の方法や新規事業の事例といったテーマが人気です。また人事関係者が、弁護士に労務関係の最新の法制度について学ぶセミナーなどもあります。

講演を聞くだけでなく、ランチタイムのリラックスした雰囲気を活かして、受講者同士が業務に関する意見交換をするのもよいでしょう。

テーマ2.キャリア開発とスキルアップ

通常業務から離れたランチタイムは、キャリアについて改めて考えるのにも最適な時間です。

ランチョンセミナーを活用して、社員はキャリア開発の講義を聞いて自身のキャリアプランを立てたり、その達成のために有効なスキルや資格を習得したりできます。

テーマ3.健康とストレス管理

健康やストレス管理についてのテーマは、1回あたりの所要時間が短いものも多いため、ランチョンセミナー向きです。

栄養や運動に関する豆知識を学べば「1回あたりの食事で摂るべき野菜はこのくらい」など、自身の食事内容とも照らし合わせて考えられるでしょう。

また現在はほとんどの企業で義務化されているストレスチェックを実施することもできます。

テーマ4.参加者とのコミュニケーション促進と企業文化の強化

受講者同士の交流を促すのもおすすめです。

日頃は業務上の関わりがないメンバーとも接点を持たせられます。例えば、欧米の企業や学校では、ランチ交流会の慣習が参加者同士の多文化理解につながっています。また在宅勤務が一般化した現在、ランチョンミーティングの社内講演で理念や考え方を浸透させ、組織文化づくりに役立てている国内企業もあります。

ランチョンセミナーの種類

それではランチョンセミナーは具体的にどのような形で実施するのでしょうか。ここではセミナーの3つの形式を解説します。

オンラインセミナー(ウェビナー)

オンラインセミナーはインターネット環境と端末さえあれば、どこからでも参加できるのがメリットです。

社員は自分のデスクで昼食をとりながら、よりリラックスした状態で受講できます。研修担当者も会場や設備の準備といった手間が省けるでしょう。

集合型ランチョンセミナー

集合型のランチョンセミナーは、受講者同士のチームワークの強化などの狙いがあるときに適しています。

運営側で食事を用意すると、社員がセミナーへ興味を持つきっかけにもなるでしょう。ケータリングサービスを利用する方法のほか、有名店の弁当を手配したり、数種類からの選択式にしたりするパターンも多いです。

ハイブリッド型ランチョンセミナー

オンラインと集合型を組み合わせた、ハイブリッド型のランションセミナーも存在します。

例えば一部の受講者は会場で、それ以外はオンラインで参加といった形をとります。本社で開催した様子を、支社配属やリモート勤務者に配信するなどの工夫が可能です。これにより社員の参加率を上げることができます。

ランチョンセミナーに向いている層

次にランチョンセミナーに適した、対象者の4つのタイプについて解説します。

新入社員・若手社員やインターン生

新入社員や若手社員、インターン生にとっては、ウェルカムランチを兼ねた機会となります。ランチの場であれば上司や先輩社員とも気軽に会話ができ、和やかな雰囲気のなかで企業文化への理解が深まります。

子育て・介護中など時間外労働に制約のある社員

ランチョンセミナーは就業時間内に設定されているため、夜や休日には同僚との交流や学習時間がとれない社員にも向いています。

子育てや介護と仕事を両立する社員も、同じ立場の同僚と悩みを共有したり、キャリアプランの立て方について先輩社員から学ぶことができるでしょう。

リモート勤務者


リモート勤務では孤独感やストレスが募りやすくなります。

ランチョンセミナーで同僚とつながる時間を確保すれば、1人で黙々と業務に取り組むうちに時間の区切りを忘れがちな社員にも、生活上のメリハリが生まれるでしょう。

リモート勤務者のランチョンセミナーでは、チームの抱える課題についてなど、簡単なディスカッションもおすすめです。

研究機関や大学・医療従事者

研究者や大学関係者、医療従事者などにとって、ランチョンセミナーはなじみの深いものです。

欧米には大学教員や学生がランチを持ち寄り、和やかな雰囲気のなかでさまざまなテーマついて語り合う文化があります。

また医師や看護師に対しては、医療関連企業などがスポンサーとなり、新技術や商品のプレゼンを盛り込むランチョンセミナーが頻繁に行われています。

ランチョンセミナーの実施時の注意点

①計画と事前準備を徹底する

ランチョンセミナーといえど、運営側は通常の研修と同じように企画から準備、アフターフォローまで綿密に計画を立てなくてはなりません。

受講者のニーズの把握や、参加しやすい日時・会場の設定、講師の選定を行いましょう。資料の作成や機材チェックなども重要です。また受講者の食事を用意しなくてはならない場合もあります。

②食事に差し支えのないテーマを選ぶ

業務に直結する内容や、参加や発言に強いプレッシャーのかかる議題はふさわしくありません。また食事をしながらの参加になるので、筆記を想定した内容も不向きです。

食事を楽しみながら参加できるようなテーマを吟味し、講演後は情報交換できる時間を作るとよいでしょう。

③食事スタイルの選択と内容の配慮

食事を手配する場合は、食べやすさやメニューの内容にも配慮しましょう。

食べるときに切り分けなければならないものなど、手間のかかる料理は適しません。弁当やサンドイッチのように手軽に食べられる料理を選びましょう。仮に食べきれなかった場合にも持ち帰りやすいようにしておくと安心です。

また受講者の特定食材へのアレルギーや、宗教的あるいは菜食主義などの文化的背景も考慮しなくてはなりません。事前にアンケートで状況を把握したり、数種類からの選択式にしたりするとよいでしょう。

④会場選び

セミナーの実施会場が、ランチョンセミナーに対応している施設かどうかも確認してください。当然ながら飲食不可の施設は避けましょう。弁当配布やビュッフェ形式の軽食を配置する場合は、そのためのスペースを見積もる必要もあります。

⑤労務管理上の扱い

ランチョンセミナーは労務管理上の扱いに注意してください。昼の休憩時間とはいえ、参加が強制であれば通常の業務時間と同じ扱いになり、社員にはセミナーとは別に休憩をとってもらわなくてはなりません。

また任意参加の場合は「不参加だと人事考課で不利になるのでは」という不安を抱かせる可能性があります。出欠状況は評価の対象外であることを事前に周知しましょう。

ランチョンセミナーは効率的な学びや社内コミュニケーションの促進に効果があります。組織活性化と同時に新しい学びの文化を取り入れたいとお考えの企業の方はぜひご検討ください!

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