東日本巨大地震とストレス

内藤友子 ないとうともこ

精神科・心療内科 野々村クリニック精神保健福祉士
NPO法人キャリア・インディペンデンス代表理事

提供する価値・伝えたい事

東日本巨大地震は今なお社会や経済、生活そのものに影響を与えています。
「命に別状がなかったけれども、揺れの中で初めて死を実感した」という声を聞きました。

ささいなことであっても、長期にわたるストレスは心身に影響を与えます。ましてや、今回のような未曾有の被害のもとでは、初期こそ緊張状態で一時的に心身の抵抗力が増し、健康を保っているように思えても、次第に漠然とした不安や意気消沈、感覚の麻痺、動悸、フラッシュバック、不眠、悪夢、食欲不振、消化不良などの不調を招く可能性があります。意識していても、していなくとも、大きなストレスを感じているのです。自分の変化に気づきましょう。
ことのほか元気にふるまう人は無理を重ねていることがあります。助けを求めない人は「助けて」と言えないだけなのかもしれません。

大事な人や家、土地、何もかもを失った悲しみや怒りから回復するのに必要なのは、一粒の薬ではなく、感情を味わい尽くし、理解し、自分なりに納得する長いプロセスです。「あなたが生きているだけいいではないか」といった理屈や「頑張れ」という無責任な激励より、安全を保てる環境と、温かい人間関係、時間が助けになります。思うようにならないことへの苛立ちや不満、恐れの気持ちを否定するのではなく、そういう気持ちがあることを認め、傷ついた心をいたわりましょう。事実は変わらなくとも、受け取り方を変えることはできます。しかし、今すぐでなくてもいいのです。
考えすぎてしまう場合は精神的なアプローチの他、体を動かすなどもケアになります。

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