提供する価値・伝えたい事
生物学者の視点から、「真の環境問題」が何かを提唱し、皆さんとともに環境保全を考えます。
内 容
エネルギー問題と食料問題をどう解決するのかが人類の大きな課題です。
エネルギー問題の解決策として自然エネルギーが重要だと言われますが、問題点もあります。風力発電は風速7mくらいの風がコンスタントに吹かないとダメですし、メガソーラーには、太陽光バネルの寿命問題があります。また、メガソーラーを増やすには相応の広さの土地が必要ですが、わが国ではどうでしょうか。その土地の下に暮らす生き物の問題もあります。
そして、これらのエネルギーは安定性に欠けるため、依存度が高まれば高まるほど、停電の可能性が増えます。となると、バックアップを用意しておく必要があり、結果的に火力発電も必要になるという矛盾が生じるのです。
一方、原子力については、ウランがあと90年でなくなると言われています。そのため、廃棄燃料を再利用する高速増殖炉のもんじゅが開発されていますが、使われていません。そもそも、もんじゅは、維持するのに1日5000万円かかる上、セキュリティー上賢い選択ではありません。しかし、廃炉にするにしても、その手順が分かってませんし、それにも莫大なお金がかかります。
こうしたエネルギー事情を考えると、日本が、自前で生み出せる安定的なエネルギーについて、より前向きな検討が必要ではないでしょうか。
その一つとして挙げられるのが地熱発電です。これまでわが国では、多くの地熱発電所の建設場所が国立公園の中にあることがネックとなっていましたが、法律を変えて作れるようになりました。しかし、設置費用やメンテナンス費用が莫大なことが課題となっています。
これらの問題を考えていく際に大切なのは、「コストとベネフィットを考える」ことです。つまり、それを払って何を得られるのかです。
私たちの国は、年に1兆円かけてCO2を削減することに一生懸命ですが、果たしてそれだけのメリットがあるのでしょうか。トランプ大統領はパリ協定を離脱しました。日本だけが真面目にやっても、世界の足並みが揃わないのでは意味がないこともあるのではないでしょうか。先ほどお話しした自然エネルギーの開発にしても、原子力政策にしてもそうですが、先の計算が立たないままにお金を使っているようでは、得るものはありません。
人類にとって、安定的に存在していくための最も大きな環境問題はエネルギー問題です。エネルギーがなければ、食料を作ることもできないですし、文化的生活もできません。化石燃料、原子力、自然エネルギー、それぞれのメリットやデメリットをよく考えて、これからのエネルギー政策がどうあるべきかを考えていかなければならないのです。
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