一流アスリートを支える社員たちから学んだ
「プロの仕事の極意」とは?

原 幸彦 はらゆきひこ

相手の良いところを「探して育てる」専門家
中小企業診断士・社会保険労務士

想定する対象者

・人手不足に悩んでおり、人材育成に力を入れたいと考えている中小企業の経営者及び経営幹部
・社員の育成をどのような切り口で行えば良いかのヒントを知りたい中小企業の経営者及び経営幹部

提供する価値・伝えたい事

私はスポーツ用品メーカー「ミズノ株式会社」に31年間勤めてきた。ミズノには一流アスリートたちの活躍を支える技術職・販促スタッフの社員、より良いスポーツ品の企画・開発、販売、広報宣伝に携わる社員など、いろいろな社員がいる。ミズノ社員の仕事に対する熱意やこだわりに接してきた経験から、仕事でプロとして活躍するために「大事なこと」をたくさん学んできた。

これらの「大事なこと」は、ミズノ株式会社という大企業の現場でしか通用しない「遠い世界のこと」ではなく、小さな会社・店舗でも使える「身近なこと」である。今回、その「身近なこと」の中から特に重要な「3つの心」に絞ってセミナーを企画した。それぞれの「心」で印象的なミズノ社員のエピソードを事例紹介し、その要点をもとに個人ワークと意見交換を交えて、受講生の皆さんが自分の会社に置き換えて考える機会を提供する。

中小企業にとって人材確保や育成は今後ますます難しくなる。そんなお悩みを解消するために、中小企業の現場で「これだったら取り組めそうだ」と実践できるヒントがセミナーから見つかることを願っている。また、限られた人材を有効に活用して仕事の質を高め、業績アップにつながる活路を見出してもらえれば非常にありがたい。

内 容

1.スポーツに携わる仕事の魅力とは?
(1)「スポーツ」という言葉の語源は「遊び」である
(2)スポーツに対する価値観は時代によって変化している
(3)スポーツ用品メーカーに対する企業イメージを「見える化」してみよう
《ワーク》あなたが感じる「スポーツ用品メーカー」のイメージとは?
(個人ワーク書き出し2分 → メンバー間の意見交換3分)
(4)ミズノ株式会社の社員に浸透している「3つのF」
 ①Fighting Spirit(ファイティング・スピリット)
 ②Fair Play(フェアプレイ)
 ③Friendship(フレンドシップ)

2.Fighting Spirit(挑戦する心)
(1)「や”ら”ない」と「や”れ”ない」には天と地ほどの違いがある
(2)「できない理由」を考えるのではなく、「どうしたらできるか」をまず考える
(3)「何としてもプレーさせたい」という強い気持ちが他人を動かす
《事例紹介》指に障害があるソフトボール選手のために特注品を作ったグラブ職人の話
(4)最後までやり抜くことで得られる「自信」を大事にしよう
《ワーク》あなたが「最後までやりきった」と胸を張って言えることは何ですか?
(個人ワーク書き出し2分 → メンバー間の意見交換3分)

3.Fair play(公平・公正な心)
(1)安心・安全を保つためには「ルール」に基づく秩序が大事
(2)自らの非を潔く謝罪することが信頼感を高めることにつながる
《事例紹介》「飛ばないボール問題」で謝罪した役員・関係者の苦悶・葛藤
(3)多様性の時代だからこそ「特別扱い」をしない
《事例紹介》障害者である部下を大きな戦力に変えた総務課長の采配
(4)仕事で成果を出すためには物事の判断基準を明確に持つことが必要条件
《ワーク》あなたが下してきた「大きな判断」は何か? その時の基準は何か?
(個人ワーク書き出し2分 → メンバー間の意見交換3分)

4. Friendship(助け合う心)
(1) 選手とメーカーはお互いが信頼し合う「パートナー」であるべき
(2) 選手の喜び・苦しみを同じ目線で感じることができる関係を構築する
《事例紹介》幼少の頃からメダリストになるまで見守ってきた卓球販促部員の話
(3) 共通の目標を達成するためならば、時にはライバルを味方につける行動をとる
《事例紹介》得意先の店舗改装で他社を巻き込む「総監督」を務めた営業部長の話
(4) 他人の成功を自分ごとに喜べる素直さが人間性を高める
《ワーク》他人の成功を喜ぶことができた経験談を書き出そう
 (個人ワーク書き出し2分 → メンバー間の意見交換3分)

5. まとめ: 一流のビジネスパーソンとして心得ておきたいこと
(1) ミズノ創業者・水野利八翁が大事にしていた心構え: 「常に備えよ」
(2) ミズノ入社時の社長・水野正人氏が社員に言い聞かせていた心構え: 「修羅場でニコッと笑える胆力を持て」
(3) 最も影響力を受けた上司から受け継いだ心構え: 「相手の良いこと探しを優先せよ」
(4) 「心は熱く、頭は冷静に」行動できる社員で満たされる会社を目指そう
《ワーク》今日のセミナーを踏まえて、自社で取り組んでみようと思ったことを書き出そう
 (個人ワーク書き出し2分 → メンバー間の意見交換3分)

根拠・関連する活動歴

スポーツ用品メーカー・ミズノ株式会社で31年間勤務し、2020年(令和2年)春に個人事業主として独立。開業当初から「奈良県よろず支援拠点」や奈良県内の商工会・商工会議所で地域の中小企業の経営相談に対応。経営改善計画の作成や補助金申請のサポート、創業希望者のスタートアップ支援、労働条件の整備などを得意分野とする。現在は京都府の商工会特別経営指導員として会員事業者の経営・資金繰り支援や経営指導員の指導・人材育成に従事している。

ミズノに在職中、営業得意先である中小スポーツ店の事業計画立案や進捗管理、社員教育、店頭マーケティング支援などを約10年間経験。その後、大阪本社総務課長として社内規程の制定・改変や全社行事の取りまとめなどを行なってきた。本社の総務を経験したことで、多岐にわたる部門のキーパーソンたちと接する機会に多く恵まれた。また、新入社員教育や新任課長研修などの場でミズノ社員としてのあり方も指導してきた。他人と向き合うときは、「改善点よりも、良いところを徹底的に探して、相手に自信と勇気を持たせる」ことを自らの基準として、現在の仕事にも活かしている。この基準はミズノで経験してきたことが大きく影響している。

ミズノを退職した後の2年半で対応した相談件数は延べ約600件。支援を受けた事業者から「自分では思いつかない新しい気付きを与えてもらえた」「孤独で不安な経営者の背中を押してもらえた」「笑顔が優しく、何でも話しやすい雰囲気が心地よい」「話がわかりやすくて、霧が晴れるかのように、モヤモヤが解消した」「仕事が丁寧で、ちょっとした気配りがあって大変ありがたい」などの好評な声が相次いでいる。

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