平成28年12月9日に成立し、同月16日に施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」(部落差別解消法)。この法律は、部落差別は許されないものであるとの認識のもとに、部落差別の解消の必要性について国民の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することをめざしたものです。そのような背景の中、夏の同和問題強調月間、また冬の人権啓発講演会のご計画に合わせて、講師の臼井敏男さんをご紹介いたします。
【臼井敏男さん プロフィール】
朝日新聞記者時代からさまざまな差別や人権の問題に取り組む。
同社定年後も、シニア記者として各地の被差別部落を取材し
「ニッポン人脈記~差別を越えて」を連載。
根深い差別の現状を伝え、大きな反響を呼ぶ。
マスコミの部落問題に対する姿勢、
取材を通して見えてきたものなどを、ジャーナリストの鋭い視点で語る。
朝日新聞で連載されていた「ニッポン人脈記」を読んでおり興味があったのですが、お会いするととても温和なお人柄で、取材エピソードなども豊富で、ご講演をお願いしている他の講師の方々についてもよくご存知なのでご講演の合間も色々とお話しをすることが出来ました。
今回は「部落差別をこえて ~取材ノートから~」をテーマにご講演いただきました。
・「竹田の子守唄」に見る部落差別の実態。
・そこに部落の人がいないという前提で話が進む。
・身内が部落の人と結婚するときにあらわれる差別。
・西と東で差別の表れ方が異なる。
・屠場で働く人
など、過去の取材で得た具体的なエピソードを交えながら、差別の昔と今についてお話しされました。
また、このように取材をされることについての新聞社内部での反応について、部落問題について何を語っていいのか分からないということと、間違ったことを言って差別だと言われかねないという2つの背景があったのではと語られました。また取材を受ける側からも、「本当にこれが朝日新聞で掲載されるの?」と不信感を持たれたというエピソードもお話しされました。
しかし、実際に新聞へ記事を掲載したことで、これまでにない大きな反響があったそうです。その中で、一割くらいが「寝た子を起こすな」という批判で、あとは「今も部落差別があることを知らなかった」「『破戒』や『橋のない川』の時代のものだと思ってた」などの意見のように、大半は「部落差別についてよくわからない」という感想だったとのことです。また、「久しぶりに朝日新聞で部落差別について読んだ」という感想には、記者として正直ギクリとされたそうで、新聞としてもちゃんと取り上げなければならない問題だと改めて認識されたそうです。
「部落差別に限らず、差別とは集団として一括りにして見てしまうことが問題だと思います。各々個別に見つめていく視点を持ちながら、部落の人と部落外の人が直に話し、手をたずさえるといった内外での交流をもっと進めることが大切だと思います」(臼井さん談)
部落差別をこえて
~ 取材ノートから ~
臼井敏男 うすいとしお
元 朝日新聞論説委員
中央大学経済学部客員講師
1、なぜ被差別部落を取材しようと考えたのか。 子どものころの体験。記者としての経験。 2、部落を取材することに対し、周りの反応はどうだったのか。 一瞬の沈黙、そのまま話が終わる。校閲の担当者… (続きを読む)
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1948年12月10日に世界人権宣言が採択され、日本では1949年に法務省と全国人権擁護委員連合会により12月10日を最終日とする1週間を人権週間とすることが定められました。毎年、全国各地で計画・開催される人権啓発講演会へ向け、おすすめ講師や講演テーマをご提案いたします。
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