僧侶にしてアナウンサーという異色の経歴をもつ川村妙慶さん。
インターネットで始めた「妙慶の日替わり法話」が人気を集め、Yahooの人名検索で1位になったこともあります。
講演では、お釈迦様の教えをもとに、漢字の成り立ちを示しながら、わかりやすく解説する説法で、弊社でも人気の高い講師のおひとりです。

そんな川村さんですが、先日、弊社の大阪スタジオで2回目となるオンライン講演を実施されました。
「オンライン講演への不安はあまりない」と語る川村さんに、オンライン講演をやってみての感想やオンラインとリアルの違い、また講演の中で川村さんが常に訴え続けている「心の荷物を降ろす」ということについてお聞きしました。

■目次

リアルでもオンラインでも一方方向にならないように

――今回がオンライン2回目ということでしたが、実際にやってみていかがでしょうか?

川村 リアルと違って、聴いている方々のお顔が見えないという点は不安でしたが、アナウンサーの経験があるので、そこまで不安に感じませんでした。アナウンサーはカメラの向こうにいる視聴者を意識しながら、カメラの前で話さなければなりません。本日も、カメラの前に立ってライブ配信を行いましたが、カメラの向こうの聴講者の方々の表情を想像しながら講演させていただきました。

――オンライン収録にも慣れてらっしゃった感じがしましたね。それでも、リアルとは違いますか?

川村 そりゃあ、違いますよ。相手のお顔が見えるのと見えないのとは。見えれば、相手の方の反応を見ながら、次に返す言葉を考えることもできますし…。ただ、リアルであっても、オンラインであっても、一方的な発信にならないように気を付けています。例えば、本日の講演で煩悩について話しましたけど、煩悩は私も含めてだれにでもあるもんなんだ、と。画面越しに聴いている相手の仕事や年齢層、家族構成などを考慮して、相手がどのように感じるのかを考えながら、言葉を選ぶようにしています。
私の講演において共通のテーマが「心の荷物を降ろす」ことです。私の講和をリラックスして聴いていただきたい。聴いた相手が不快に思うようなことは極力話さないようにしています。

――オンライン講演の魅力は何でしょうか?

川村 やっぱり、どこからでも配信できる気軽さでしょうか。自宅からできるというのもよいですよね。
あと、感染リスクが回避できるのもよいと思います。
それに、パソコンでは講師の顔がテレビみたいに大きく映し出されるので、見ている方は講師に親近感を持ちやすいかもしれませんね。講演であれば、一番後ろの席の方は講師を近くに見ることができないので、(オンラインであれば)席による不公平感は解消されるのではないでしょうか。

あと、収録タイプのものであれば、後から好きな時間に見れるというのも魅力だと思います。この時間にどこそこにいなければならない、というのは聴講者の負担になることもあります。そういったものがオンラインであれば取っ払えられるので、聴講者の自由度も高くなりますよね。

ただ、やはり、リアルの方が、直接伝わりやすいし、伝えやすいということもあります。例えば、リアルであれば、講演が終わった後、聴きに来た方々をお見送りをして、感想をいただくようにしています。終わった後にいただく感想は、その時に聴講者の方が感じた正直な気持ちです。直接、感想をお聞きすることで、元気をいただけますし、次の講演の糧にもなります。それがないのは、残念ですね。

社内スタジオなら安心して講演に集中できる

――逆にオンライン講演の難しさとは?

川村 毎月面談している会社の社長さんがいらっしゃるのですが、コロナ禍なので直接会って話ができないということで、オンラインで面談をすることになりました。パソコンの前に座ってZoomを使ってオンラインで話をしていたのですが、突然パソコンの調子が悪くなって、スマートフォンに切り替えたんです。すると、途中で友達から電話が入ったり、メール音がなったりして、大変でした。

――オンラインだと予期せぬトラブルに見舞われますよね。

川村 そういったトラブルがオンライン講演の難しさだと思います。ですので、私は極力、トラブルを避けるため、システムブレーンさんのスタジオで行わせていただけるようにお願いしています。1回目のオンライン講演もこちらのスタジオでさせていただきました。何かのトラブルがあっても、(システムブレーンの)スタッフさんが対応していただけますし、私は講演だけに集中することができるので安心です。

――最初のオンライン講演は緊張されましたか?

川村 いや、緊張はしませんでした。というか、緊張しないようにしています。私がアナウンサー時代に所属していた芸能事務所には落語家さんが多かったのですが、その落語家さんから「話し手が緊張すると聞き手にも緊張が伝わるから、極力リラックスして話すようにしている」ということを聞いていました。話し手がリラックスしていると、聞き手もリラックスできる。やはり、話し手と聞き手の気持ちは連動しますよね。

講師から聴講者へ連動する想い

――確かに、講演で講師の方の気持ちが連動することってありますよね。

川村 私がアナウンサー時代のときに、ある作家さんの講演会で、講演前にその作家さんを紹介するという仕事をしたことがありました。その作家さんはとても著名な方で、会場にはたくさんの聴講者が入っていました。
ところが、いざ、作家さんの紹介が終わり、登壇された時にその作家さんが最初に言った言葉が「何を話そうか」でした。聴講者の方々はがっかりですよね。その作家さんからどんな話が聴けるのだろうとワクワクしながら待っていたわけですから。

それが反面教師になっているというか、私はいつも登壇するときに、聴講者に興味を持って聴いていただけるよう、いろいろなことを考えて、ネタを準備し、講演に臨んでいます。それに、いつも講演の始めに「皆さんとお会いするの楽しみにしていた」と言うようにしています。それはリップサービスではなく、私はこの仕事が本当に好きで、情熱を持って楽しみながらやっています。その気持ちが相手に伝わればよいなと思って、発言するようにしてます。私の楽しいという気持ちが相手に伝われば、相手もリラックスして聴くことができますよね。

――川村さんの講演テーマに「心の荷物を降ろす」というものがありますが、川村さんのこのような考え方が反映されているかもしませんね。

川村 講演というと、頑張ってこうしよう、頑張って改善しようというような内容のものが多いかと思いますが、私の講演では、そうではなく、少し心の緊張の糸をほどいて、力を抜いてみましょうということに重きを置いています。そうすると、周りが俯瞰的に見えるようになるというか、少し冷静になれるので、自分の心を観察して、整理することができます
人は、頑張ろうとすることで、勝手に必要だと思いこんで、本当は必要でないものも背負ってしまう時があります。私の講演では、その荷物を一度おろして、その荷物は本当に必要なの?みんな抱えている問題は同じ。必要以上に頑張る必要はないんだよ、ということを伝えています。

――私自身も川村さんの講演を拝聴して心が救われた気持ちになりした。川村さんは、ただ一方的に説法をとくのではなく、ご自身の体験を交えながら講演していただけるので、より身近に感じやすいというか、自分の境遇と照らし合わせて考えることができるので、それもよいなと思いました。

川村 そうですね。講演の前半では、お釈迦様の教えをもとに漢字の成り立ちを関連付けながら講話をしていきますが、後半では、自分がお坊さんになった経緯や自分の家族に起こった事件を交えながら話すようにしています。みんなそれぞれ、生きていく道を苦しみながら選択し、時には後悔しながら、それでもがんばって生きています。私が、これまで苦しんだこと、辛かったことを聴講者の方々に共有することで、聴講者の方々が共感し、それぞれご自身の境遇と照らし合わせて、第三者的な目線でご自身を見つめ直すことができると考えています。

私はお寺の家に生まれましたが、若いころ家業を継ごうとは思っていませんでした。兄がいたので、兄が継ぐだろうと、周囲も私もそう思っていました。私はアナウンサーになるのが夢で、上京し、芸能事務所とも契約しました。ところが、兄が心の病を患い、引きこもりに。私の方は私の方でなかなかアナウンサーの仕事で芽がでない。そのうち、父が病に倒れ、兄が継げないということがわかると檀家さんがいなくなり、うちの寺も廃業寸前にまで追い込まれてしまいました。私は仕方なく長年の夢を諦め、実家のお寺を継ぐために、京都の大谷専修学院に行きました。そこで、先生に言われました。「お前の人生は最悪やというが、だれが決めたんや。お前のお父さんが亡くなったから、兄ちゃんが引きこもりになったから、仏教を学ぶというご縁をいただけたんだ。私と会えたのもご縁や。そのご縁を活かせ」と。

今の状況を生かすのか、殺すのかも、本人の心の持ちようです。今自分のある境遇を「重たい荷物」とするのか、「与えられたご縁」とするのかは、本人次第。講演では、今の辛い状況は自分が「辛い」と思っているだけで、本当はそこに何かのご縁が眠っているのかもしれない。今抱えている問題はあなたが思うよりも実は単純なことで、あなたがそれを複雑にしているだけかもしれない。だから、一度、その荷物を取り去って、少し下がってみて、自分を見つめてください。そうすれば、心の荷物を降ろすことができます、という話をさせていただいています。

――本当に、自分で勝手に思いつめて、必要以上に荷物を重たくしていることもあります。そんな時に、川村さんの講演にふれて、自分を落ち着いて見つめることができました。また、今回の講演の最後で、聴講者の方から「頭に血がのぼった時にどうすれば冷静になるのか」という質問がありましたが、そんな時は「胸に手を当ててみる」というご回答をいただきました。例えばだれかとケンカして、頭にカアーと血がのぼったとき、なかなか冷静になることが難しいときがあります。そんな時に胸に手を当てて、自分の鼓動を聴くことで、少し冷静になれるように思えました。

川村 昔の人は本当によいことを言っていて、手を当てて目で見るという動作は、漢字で「看」という字に表されます。興奮しているときこそ、胸に手をあてて、自分の心を「看る」。「看」には「注意してみる」という意味がありますが、胸に手を当てて、自分の心を注意して看ることで、冷静に自分の心を見つめ直すことができます。本当にそれは激憤するまでのことであったのか、自分が事を大きくしているだけではないか、心を整理する時間が生まれます。総じて、それは心の荷物を降ろすことになるのです。

――川村さんのお話は、まさに心にしみていくものでした。だから川村さんの講演を聴いて「救われた」という方も多いのだと思います。本日は、深いお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。

川村妙慶 かわむらみょうけい

僧侶 アナウンサー


教育・子育て関係者実践者

僧侶とパーソナリティの観点から「心の問題」に取り組み、“生きがい・仕事・人間関係”をテーマに講演。お釈迦様の教えを基にしたわかりやすい内容が注目を集め、過去にはヤフーの人名検索で1位になるほど、カリスマ僧侶としてメディアでも紹介される。日替わり法話も更新中で、毎月6万件のアクセスで人気。

プランタイトル

心の荷物をおろす“人生に役立つ智慧”

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