私らしく、自分らしく
~落語で知るジェンダー

桂 七福 かつらしちふく

落語家

提供する価値・伝えたい事

まず、ジェンダーを知ってもらいたい。
ジェンダーとは、社会的・文化的性差や、女らしさ・男らしさのこと。これまで、こうした性差や女らしさ・男らしさは、生まれながらのものであると思われていましたが、これらはむしろ社会的・文化的につくられたものなんです。
そこで、「女性と男性は、生まれながらに性質が異なる」という考え方(性別特性論)をやめようと、ジェンダーということばが使われるようになりました。
ジェンダーは、私たちの意識や生活の中にとけ込んでいて、気づきにくいものです。ですから、私たちは、知らず知らずのうちに、ジェンダーにしばられたものの見方や、言動をしています(ジェンダー・バイアス)。
男女共同参画社会をめざすためには、私たちの意識や生活のなかに組み込まれいるジェンダーに敏感に気づいて、なくしていく必要があります(ジェンダー・センシティブ)。

古典落語の中の1場面や、現代の中のジェンダーを小噺のように紹介しながら、私たちの意識や生活の中に、巧妙にかくされているジェンダーを見つけだす第一歩のお手伝いをしたいと思います。

内 容

ジェンダーにしばられて人間らしく、自分らしく生きられないとしたら、それはとても不幸なことではありませんか。
ですから、ジェンダーは『人権問題』なのです。

私自身も母子家庭に育った環境で性別的偏見にさらされた日々を深く記憶に刻まれています。
「男のくせに」「女のくせに」「男らしく」「女らしく」など言葉を並べたらきりがありません。それだけ日常の中にジェンダーが入り込んでいるんです。
誰しも「自分」「わたし」「人間」らしくありたいはずです。
現在たくさんの「男女共生参画企画」のイベント・行事・広報が多いにもかかわらず、いまだに「つまり女性擁護でしょ?」なんて誤解している人がたくさんいる。まず根本を知ってもらえるような話の内容で構成しています。加えて、どんな表現に引っかかってもらいたいかというような問題提議も行っていきたい。

たとえば、今でも「ピンクの服を着るのは女の子」というような刷り込みに近いようにして頭にジェンダーが入ってしまう男の子は、いつ、なぜにそういう刷り込みが行われてしまうんでしょうね? そして、どうすれば拭い去ることができるんでしょうね。こういう具体例は山のようにあります。
ジェンダーという言葉が必要無くなった世界には、みんなが「自分」であり「わたし」でいられることを強く伝えたい。

身の回りで、気が付けば「あれ?」と思うことって多くないですか?
・妻を「奥さん」、夫を「主人」と呼ぶ。
・夫の意見や好みが優先。
・「誰に食わしてもらってんだ」という男。
・子どもは母親が育てる。
・夫は働いていれば、家事はしなくてもいい。
・ドラマなどで「男性は仕事、女性は家事・育児」という性別役割分業が普通のように演じられている。
・TV番組の司会は、男性がメインで女性がサブである。
・「女らしいやさしさ」「女性特有の感情」「男らしい決断」「男ならではの実行力」などの表現。
・従来の感覚と異なる言動した人について「でも、こういうところは女らしい(男らしい)」と、古いイメージで表現する。
・女性の場合だけ「女性〜」「女〜」「女流〜」「女社長」「女医」とつける。
・「女にしては」「女だてら」「男まさり」など、女性が男性よりも下にあるとした表現が使われている。

限りなく存在する「あれ?」をいっしょに考えてみませんか? 気が付きにくいけど、心に感じるものもたくさんあります。「あれ?」を考えることで自分を見つめなおすよいきっかけになります。
「あれ?」に反応できる心を持つことも大切になってきました。反応したら考えませんか? 男も女も子どもも年輩の方も…。
ここにも「あれ?」がありますよ。

落語家の講演ですから、楽しむ中から何かを感じ取る気持ちを持ってください。

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