笑いはたっぷり、商売はしっかり
  -落語的発想の転換ー

桂 文喬 かつらぶんきょう

上方落語協会理事
環境省3R推進マイスター

想定する対象者

主に商売をしている方、商工会議所、商工会のメンバーさん」

内 容

私の師匠(五代目・文枝)に教えられたのは、「世の中の人をよく観察しなさい。そして、人を観察して、面白いと思ったことををメモして、どんなときでも引き出せる笑いの引き出しを持っていなさい。それから、人を観察した時に人がいいことをしてたら、真似しなさい。逆に人が、人道的に悖ることをしていたら、人のふり見て我がふり直すじゃないけど、人間性を一段でも二段でも高めなさい。それが大切やで」と。何をするにも人間性が重要です。基本的に優しさ、誠意がなくては、だめですよね。勿論、商売をするにおいては、なおさらです。
 以前、腎臓疾患で二か月ほど、入院したことがあります。入院当初は、「なんで、僕だけ、入院せなあかんねん。寄席にも出られないし、講演にも行けないし・・・」とネガティブになっていました。でも「落語家で今、入院しているのは僕だけやな、それも一般の病院ではなく、大学病院に入院しているのは」とポジティブに考えると落語家としての創作意欲がふつふつと湧いてきてそれ以来、入院生活をこと細かく観察しました。そんなふうに考えると今まで見えなかった面白いことが、いっぱい見えてきました。その観察日記が新作落語「研修医・山田一郎」となって産声を上げ、全国各地で好評を博しています。これも発想を百八十度転換したおかげです。なかなか、ピンチがチャンスになりませんが、ちょっと発想を変えるだけで、ピンチがチャンスになるんですよね。
 落語は、一種の伝承芸能ですが、伝承というのは、継続と変化が大切だとつくづく感じます。先人が苦労して作り上げた落語を守りながらも、時代に即した新たな笑いを吹き込まないと落語は、時代の遺物になってしまいます。これは、どんな世界にもあてはまると思いますよ

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