グローバル時代に今、あなたが親として子供に伝えるべきことは何か
~将来、子供に「職業選択」の失敗をさせないために~

小松俊明 こまつとしあき

東京海洋大学グローバル教育研究推進機構 教授

想定する対象者

小学生、中学生の子供を持つ保護者
少子化の時代を迎え、子供の能力開発に高い関心を持つ親はむしろ増えていると言います。一方で、どこの家庭の親御さんも、子どもが社会に無事に出ることができるのか、つまり、子供たちが職業選択で失敗しないかについて、大きな不安を感じているのではないでしょうか。

今の時代、一流大学を出たとしても就職できない学生がたくさんいます。運よく一流企業に入ったとしても、自分の事業部が買収にあい、リストラの憂き目にあうこともあります。

グローバル化の時代を迎え、価値観もますます多様化しています。子供に将来、職業選択で失敗させないためにも、各家庭において「仕事の本質」について深く話をすることが大切です。

提供する価値・伝えたい事

教育熱心な親御さんにこそ、今、伝えたいことがあります。それは偏差値が高い子供であればあるほど「職業選択」に失敗しているという事実です。

だからこそ、今、子供を大切に思う親御さんには是非とも真剣に考えてほしいのです。子供たちの潜在能力を引き出す教育方法を探すのもいいですが、それよりもむしろ、早期教育として「仕事とは何か」「どのような仕事が自分には向いているのか」というような、言わば「職業観」や「就労意識」に関する本質的なコミュニケーションを各家庭でしてほしいのです。

今、まさに世の中にある自分の仕事と向き合っている大人だからこそ、親御さんは自分の体験を通して、損得だけで「職業選択」をジャッジすべきではないことを自分の子供に教えることができます。

子供が世間体のいい大学や会社を選ぶことを後押しするのは、やめたほうがいいでしょう。高学歴で一流企業に入ったから人生がうまくいくわけではないことは、今の時代を生きる大人達が、実は一番よく知っているはずです。

内 容

主に次の二つを子供を持つ親御さんに伝えたいと思います。

1.なぜ大学生は「職業選択」に失敗するのか

今も昔も、大学生の人気ランキング上位に入る企業の傾向はまったく変わりません。また高年収なビジネスマンに聞いた「子供を働かせたい会社」調査の結果も同様の傾向があります。

現実は、大半の学生は希望する企業に就職がかないません。連戦連敗を繰り返し、自己否定される日々に苦しむわけで、最後は全く想定してなかった会社にかろうじて就職が決まり、「こんなはずではなかった」と、いわゆる負け犬根性が抜けぬまま社会人になる学生がたくさんいます。

「この就職活動、何かがおかしいのではないか」と皆、自問自答するわけですが、そのことに気づいたときは、すでに就職活動はとっくに終わっているもの。時すでに遅しということです。

各家庭の親御さんが、早期教育の一貫として「職業選択」をアドバイスすることで、学生たちの就職活動の中身は変わっていく可能性があります。本講演の前半では、親御さんがどのように子供たちに「職業選択」についてアドバイスをすべきかについて、お話します。


2.親だから伝えられる「仕事の本質」の中身

会社や事業規模、技術革新、業界シェア、会社の知名度や歴史、マスコミへの露出、有名経営者の存在などで大学生は就職ならぬ「就社」をするわけですが、結局、就活に苦戦した結果、最初に想定していなかった会社に入社することになった場合、いつまでも働く意欲が高まるわけはありません。

一方、どんな職業にも「仕事の本質」があり、早い段階でその本質に触れることができれば、仕事に対する興味も高まり、プロ意識を醸成することができるものです。

つまり、子供が小さいうちから、できるだけ「仕事の本質」に関する話をしてやり、職業に対するプロ意識を理解させることが、将来子供に職業選択で失敗させないための大きな投資になるのです。

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