
SNSは今や若年層を中心に情報収集の主流となり、企業のマーケティングに欠かせない存在です。地方の中小企業でも、活用次第で大きな認知拡大が期待できます。
今回は、島根県の温泉旅館「竹葉」をSNSでV字回復に導いた“どじょうすくい女将”こと小幡美香氏に、成功の秘訣と実践のポイントを伺いました。
【監修・取材先】
小幡美香氏
山陰・しまねの名物女将 どじょうすくい女将
元気の源泉かけ流し
観光業と農業の二刀流女将
コストゼロのマーケティング、SNS活用で経営課題を解決する
小幡氏が経営に携わるようになったとき、旅館は「お客様がいない・知名度がない・資本力がない」という3つの「ない」に悩まされていました。
資金が無いのですから、集客のために広告を出すことはできません。そこで小幡氏が最初に始めたのがブログでした。旅館のスタッフがどのような想いでお客様をお迎えしているか、全員が誇りとするホスピタリティをまだ見ぬ人たちに届けるための手段がブログだったのです。その後、小幡氏は時代の流行に合わせてブログとSNSを併用して情報を発信していく形をとります。
ブログやSNSという手段は、多くの経営者が悩まされる「コストがかけられない」という課題の突破口になります。そして取り組みの結果はブログのランキングやフォロワー数といった数字として表れ、それらを確認しながら改善を加えていくことができます。有料のサービスを使わずとも、自分だけの力でマーケティング戦略を立てることが可能なのです。
さらに小幡氏は早い段階からSNSとメディアを絡めた戦略を考えていました。メディアの力を借りれば、個人のブログやSNSが一気に注目されるようになります。小幡氏のブログも週刊誌の記事内で紹介されたことで、格段に知名度が高まりました。そうして話題のブログとなると、またメディアに取り上げられてさらに認知度が高まるというプラスの循環が起きます。
この循環がやがて実際の旅館の集客につながっていき、当初の課題であった3つの「無い」が解消されたのです。
経営者ならではのブランド力!忙しくてもSNS活用に臨むべき理由

▲イメージ画像
SNSの必要性を理解しても、「自分は忙しいから、SNSは誰か担当者をつけて任せよう」と考える経営者も多いかもしれません。しかしSNSは経営者やリーダーの想いの集合体であり、企業や地域にとっての情報資産ともいえるものです。SNSで発信された考えや交わされた意見が、地域や業界の未来を作っていきます。中小企業の経営者こそ、自身でSNSに取り組むべきといえるでしょう。
また経営者という立場で情報発信を続けていると、話題になりやすいという利点もあります。実際に小幡氏は、旅館の女将が地元の魅力を発信している点が注目を集め、ブログを始めた比較的早い段階からメディアに取り上げられました。そしてメディアへの掲載や出演の予定をSNSで事前に告知するようにしたことで、SNS上に記録が残り、SNSは次に向けた広報の役割も果たし、さらに注目度が高まったのです。
小幡氏のケースでは、旅館というものが地域社会と強く結びついていると意識したことで、旅館の女将ならではのブランド力を生み出せたのが成功の要因といえます。食材の仕入れ先である地元の第一次産業の人たちのことも発信し、地域活性化という視点で意義のあるSNS運用ができました。
自社のステークホルダーのことまで考えて広い視野でSNSを運用できるのは、経営者としての強みです。
女将が実践した、SNS活用の経営戦術5つのポイント
SNSを始める前に意識しなくてはならないのが「最小労力、最大効果」という鉄則です。SNSによって認知度UPや集客を図れるという期待があったとしても、SNSばかりに注力して事業そのものが疎かになっては意味がありません。結果が出るまで継続と忍耐が求められるSNSマーケティングは、最小の労力で楽しみつつ取り組むのがコツです。
ここでは小幡氏が考える、少ない労力で最大の効果を発揮するためのSNS運用5つのコツを紹介します。
コミュニティの形成を意識する
SNSでは地元企業やご縁のある人たちとつながり、そのコミュニティ全体を盛り上げることを意識します。たとえば地元の経営者コミュニティ内で「この地域を活性化する」という目的意識を共有できれば、互いの情報を積極的に発信して、相乗効果で自然と注目度は高まっていくでしょう。SNSは1人で取り組むよりも、チームで取り組むほうが大きな効果が狙えます。
ユーザーが求める情報を
経営戦略としてSNSを活用するのなら、発信する情報は「ユーザーに喜ばれるものか」という視点で選別する必要があります。自分の興味のあることや自社のPRなどを書く場合もありますが、そのような場合にも「この投稿はユーザーに喜んでもらえるだろうか」と自分に問いただしてみましょう。
タイムリーであること
SNSはスピード感が大切です。今この瞬間に世間で注目されていること、あるいは注目されそうなことをトピックとして取り上げる必要があります。自社の事業領域を中心として、常に世の中のことにアンテナを張り巡らせておきましょう。
投稿には心をのせること
人を動かすのは人の心です。お得な情報や注目のニュースを取り上げる際にも、必ずそれに対する自分の思いを付け加えるようにしましょう。SNSには情報が溢れているからこそ、自分にしか書けない言葉、自分独自の目線が求められます。
フォロワー数にとらわれず目の前の顧客を大切に
最も大切ともいえることが、SNSを始めてもフォロワー数に一喜一憂しないことです。フォロワー数がアカウントの影響力を表す1つの指標であることは確かですが、フォローはしていなくてもSNSで商品やサービスの情報を知り、利用してくれる人は大勢います。フォロワーの増減ばかりに振り回されることなく、目の前の顧客に誠実に向き合う姿勢が大切です。
それが結果的にSNSにも良い影響を及ぼすでしょう。
SNS活用でご縁の好循環を!名物女将の講演から経営術を学ぶ

▲どじょうすくいで地域を盛り上げる小幡さん(画像:ご本人提供)
今回お話を聞かせていただいた小幡氏の経営観の根底には「ご縁がすべて」という考えがあります。自分の旅館の成功だけでなく、周囲の人たち皆の幸せを追求する姿勢は共感を得やすく、応援してくれる人が集まります。小幡氏はお客様や地元島根の人たちにどれだけ喜んでもらえるかを常に意識しているからこそ、SNS活用をはじめとした数々の経営戦略が成功を収めてきたのです。
地元の伝統芸能として小幡氏がPRに取り組んでいる「どじょうすくい」も、小幡氏の旅館を多くの人とのご縁に結び付けてきました。笑って楽しい気持ちになりたいという人が小幡氏の「どじょうすくい」を求めて遠方からも訪れるようになり、地域全体が賑わう。それが地元の人たちの誇りとなって、さらに地域の活気と魅力を高めていきます。小幡氏はこれをご縁の循環と呼び、地元の文化や観光業に根付いた旅館としての役割と考えています。
小幡氏の講演ではSNSを用いた経営戦術に加えて、地域活性やホスピタリティといったテーマについても学ぶことができます。集客や認知度アップの施策をお考えの方から、インバウンド需要を取り込みたいという観光業の方まで、ぜひ次回研修としてご検討ください!
小幡美香 おばたみか
山陰・しまねの名物女将 どじょうすくい女将
元気の源泉かけ流し 観光業と農業の二刀流女将
山陰・島根県の名物女将。SNSを活用し、地域密着型経営を軸に低迷中であった旅館を再建。ホスピタリティ・コーデネータ、唎酒師、しまね観光PR大使、女将インフルエンサー。観光業と農業の二刀流女将。島根県の伝統芸能「安来節どじょうすくい踊り」のしなやかな精神と経営に笑いを入れた講演が好評。
講師ジャンル
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ビジネス教養 | 地域活性 | 経営哲学 |
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ソフトスキル | モチベーション | コミュニケーション | |
実務知識 | 安全管理・労働災害 |
プランタイトル
どじょうすくい女将が伝える経営 どん底からの脱出
~会社・組織・地域の元気創生法~
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