近年の急速な技術革新による社会経済情勢の変化や働き方の多様化などにともない、仕事に関して強いストレスを感じている従業員が増えています。

そこで本記事では、メンタルヘルスケア研修の必要性や目的をもとに、研修を成功に導くためのポイントを解説します。

メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは「こころの健康」を意味します。すべての人が身体的・精神的に満たされた状態でいきいきと働くことができれば、社員のエンゲージメントも高まり、離職率も大きく改善します。厚生労働省では、メンタルヘルスケアの実践的意義を次のように述べています。

  • 職場の生産性の低下の防止
  • 生産性や活力の向上
  • リスクマネージメント

メンタルヘルスの不調は、だれにでも起こりうる問題といっても過言ではありません。メンタルヘルス対策として、社内全体で周囲へ気配りや援助を意識すること、職場内でメンタルヘルス研修を実践し一定の仕組みをつくることなどが挙げられます。

増え続けるメンタルヘルス不調

メンタルヘルスの知識不足によりさまざまな労災が起こっています。

たとえば「過剰なストレス状態」や「うつ病」。厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、(躁うつ病を含む気分障害の外来患者数は2017年が総数89.6千人に対し、2020年は91.4千人で増加傾向にあります。

さらに、厚生労働省が発表した「令和4年度 過労死等の労災補償状況」によると、2022年の仕事の強いストレスなどでうつ病などを発症したとする精神障害に関する労災請求件数は、前年度より337件増の2,683件。そのうち、認定を受けた事例が過去最多の710件「上司などからのパワハラ」が147件と最も多い結果となりました。

このように増え続けるメンタルヘルス不調に対して、事業所の対策状況はどうでしょうか?

厚生労働省の「令和5年版 過労死等防止対策白書」によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、前年度より4.2%増え61.2%となったものの、事業所の規模が小さくなるほどその割合が下がり、29人以下の小規模事業所は55.7%と半分ほどの事業所が未着手ということになります。うつ病、パワハラなどが増える一方で、小規模事業所ほどの対策が不十分である現状が浮き彫りとなりました)。

これらの実態を踏まえ、メンタルヘルスについて知識がないゆえ対策の立て方がわからない、気づいていながら見て見ぬふりをしているということはありませんか?

働きやすい職場づくりにするためにもメンタルヘルス研修を取り入れ、正しい知識を網羅的に習得することが必要です。

メンタルヘルス研修の必要性

前述の通り、職場でメンタルヘルスの重要性が認知されていないことで、さまざまな弊害が発生しています。職場で管理職だけでなく社員全体のメンタルヘルスへの認知度を高める必要があります。
社内でメンタルヘルスの重要性を認知させるためには、メンタルヘルス研修が有効です。

現に、厚生労働省の「令和3年度自殺対策に関する意識調査」によると、今後有効な自殺対策として42.2%の人が「職場におけるメンタルヘルス対策の推進」と答えています

メンタルヘルスケアはいまや企業の経営課題です。社員のメンタルヘルスを重要視し、適切なケア体制を整えることで、「健康経営」の考え方にもつながります。

健康経営について、経済産業省は「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」として位置付けています(「健康経営の推進について」より引用)。
実際に、健康経営を実施している会社は、社員の離職率の改善や業績パフォーマンスの向上が報告されています

健康経営の一環として、ますますメンタルヘルス研修のニーズは高くなっています。

メンタルヘルス研修の目的

研修の目的は、メンタルヘルスの「知識」を習得し「意識」を高めることです。

メンタルヘルスの考え方を理解することにより、職場でメンタルヘルスの重要性が認知されるようになり、うつ病等の早期発見にもつながります。

また、メンタルヘルス研修では、自身のストレスに気づき、対処する方法も学びます。
職場では、人間関係や理想と現実のギャップ、業績不振等さまざまなストレスに晒されており、社員自身が気づかないうちにストレスを背負い、それを消化できずに、精神疾患に陥ってしまうケースも増えています。そのためにもメンタルヘルス研修で、自身の心と向き合い、今の自分を受け入れる術を学ぶことで、ストレスとうまくつきあっていけるようになり、健康な心の回復が期待できます。
社員が心身共に健康でいられることで、社員全体が活気にあふれ、新しいアイデアが生まれやすい職場風土が形成され、生産性も向上します。

また、管理職向けのメンタルヘルス研修では、部下のメンタルヘルスケアや心理的安全性を維持できる組織作りについて学びます。管理職がメンタルヘルスに関する知識をつけることで相談しやすい環境がつくられ、離職率低下にもつながることでしょう。

仕事で精神的苦痛を抱える人の早期発見や職場環境の問題点の改善など、従業員のリスクマネージメント意識の向上のためにメンタルヘルス研修は大変有効です。

職場のメンタルヘルス研修内容

メンタルヘルス研修では何を学べるのでしょうか。階層別におこなわれることが多いため「新入社員・若手」「管理職」に大別し解説します。

新入社員や若手向け

新入社員や若手のメンタルヘルス研修では、おもにセルフケアについて学びます。

セルフケアとは「はやく仕事に慣れなければ」「責任をもって最後まで成し遂げたい」など、さまざまなプレッシャーからくる負担やストレスに早い段階で気づき、自分で対処法を知っておくことです。

そのほか、身近な人のメンタルヘルス不調に気づいた際の対処法や、職場におけるメンタルヘルスケアの対策について共通認識を形成し共有する手法も学びます。

新入社員や若手向けSBおすすめの研修プラン

管理職向け

管理職が従業員のメンタルヘルスケアに取り組んでいくことを「ラインケア」とよびます。部下のメンタル管理の必要性やハラスメントに対する理解を深め、よりよい職場づくりのために管理職の役割を考えます。

具体的には、自分自身がストレッサーになっていないか、部下の不調に気づいた場合の自身の対処法、従業員同士が助け合えるような雰囲気づくりができているかなどです。

とくに、普段からの密なコミュニケーションがメンタルヘルスケアに役立ちます。

管理職向けSBおすすめの研修プラン

メンタルヘルス研修の実施方法


メンタルヘルス研修の実施方法は大きく分けて3種類です。それぞれの方法について特徴やメリット・デメリットを紹介します。

①集合型研修

集合型研修とは、1か所に講師や受講者を集めて対面式でおこなう研修形態です。

メリットは、従業員同士のコミュニケーションの活性化、意見交換や議論により考えを深めることができる点で、グループワークやロールプレイングなどで実践的な手法が学べます。

デメリットは、会場費、講師や社員の交通費、研修資料の準備などコストがかかるところです。また、会場によっては収容人数が限られるため、多くの受講生が参加する場合には、数日に分けて開催しなければならず、その分主催側の手間やコストも増えます。

➁オンライン研修

オンライン研修は、「Zoom」などのWeb会議システムツールを使い、インターネットを介して講義やグループワークなどを行う研修のことです。受講者は、パソコンやタブレットなどを用いて参加します。

オンライン研修では、集合型に比べて移動時間がかからず、全国どこからでも参加できる便利さがメリットです。会場費・移動費・人件費などのコスト面、時間の面で効率的に研修をおこなうことができます。

一方でデメリットは、通信環境の整備の必要性・通信トラブルの可能性だけではなく、長時間の研修だと集中しづらい、受講者同士のコミュニケーションがとりにくい、理解度・習熟度の把握がしづらいなどがあります。

③オンライン研修:eラーニングや動画で学ぶ研修

eラーニングは、パソコンを活用し事前録画された教材で受講者が単独で学習する形式です。

時間が取りにくい役職者でも受講しやすく、個人の都合に合わせ受講でき、反復学習できることなどがメリットです。一方で、学習者任せにしているとモチベーション低下を招きやすい、すぐに質問できないなどのデメリットがあります。

動画による研修は、インターネット環境がそろえば場所を選ばず手軽に受講できる点がメリットです。

効果的に研修を進めるには

メンタルヘルス研修を効果的に進めるために必要なことは何でしょうか。開催者が押さえておくべきポイントについて解説します。

受講者にあらかじめ目的を共有する

研修をおこなう前に、受講者に研修の目的を共有することが大切です。

メンタルヘルス研修はすぐに結果が表れないため、社員が「業務の時間を割いてまでなぜ参加するのか」と疑問視する可能性があります。事前に研修目的を共有し、従業員が主体的に取り組めるようにしましょう。

研修目的の共有は頻回におこない、日常的にメンタルヘルスを意識できることが理想です。管理職など上長自らがメンタルヘルスに関して発信することでラインケアを実践していることの表れとなり、部下にも良い影響をもたらします。

研修計画の定期的な策定と見直しを行う

研修計画は、定期的な策定と見直しが必要です。なぜなら人間関係は日々変化し、メンタルヘルスにつながる悩みは決まったものとは限らないためです。

計画策定の際は、階層別や職種別に「どのような知識を身につけるべきか」を明確にします。
研修を受講後は計画書の定期的な見直しと実施を繰り返し、定着化や社内の改善点を目指すことが大切です。

研修後は手厚いフォローアップを行う

研修の最終ゴールは、研修で習得した知識やスキルの定着化です。

メンタルヘルス研修を受けた直後は、実践しようとする意識がありますが、時間とともにその意識は薄らいできます。
せっかく学んだ知識やスキルを定着させるために、研修後の手厚いフォローアップが必要です。
管理職が定期的に部下から話を聴く機会や研修で学んだ知識を再度共有する機会を設けるなどして長期的にフォローアップを行うことで、職場でメンタルヘルス意識の定着につながります。
結果、社員が学んだ知識を活用でき、職場内でメンタルヘルスケア対策がたてられるなど、以前より働きやすい職場になってこそ、メンタルヘルス研修の意味があります。

研修を内製より外部委託が効率的

これまで解説してきたメンタルヘルス研修ですが、実施する際は社外サービスを活用すると効率的です。

プロの講師がおこなう研修は、社内のリソースを活用しないため情報の偏りや学習内容の漏れがなく、体系的な知識や実践しやすいノウハウを学べます。さらに、講師による豊富な経験談は研修内容を充実させ、受講者はイメージがしやすくなるでしょう。

また、外部委託は費用対効果が期待できるおすすめの方法です。
講師紹介サービスを行う弊社は、業界最大の15200人以上の登録講師を抱え、テーマや研修目的によって最適な講師をご提案しています。
メンタルヘルス研修の講師をお探しの方はぜひお気軽にご相談ください。

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