パワハラ、セクハラなど多様なハラスメントが話題に上がる現代社会では、ハラスメント対策は企業の義務とされています。

そこで今回は、パワハラの定義や事例を踏まえてパワハラの知識を深める研修について紹介します。

これも「パワハラ」…? 職場で起こったパワハラ事例

実際にどのようなパワハラが起きているのでしょうか。事例を2つ紹介します。

事例①精神的ダメージを与える

以下の事例は、精神的なパワハラの一例であり、身近で似た経験をした人も多いかもしれません。

銀行員のAさんは、先輩と組んで新たに住宅ローンの取引開拓を担当しました。しかし、うまく提案ができないと、先輩から「お前は本当に使えないな」「人事が何でお前を採用したのか理解できない」などの暴言を浴びせられました。

事例②過大な要求を行う

続いてケースは、社員の能力に見合わない「過大な要求」を行うパターンです。

事務職のBさんは、資料作成・データ入力のほかに、本来の担当分野ではない顧客対応や営業活動など多岐に渡る業務をこなしていました。しかし残業続きで体調不良となり人員不足を訴えるものの、上司は改善策を取ってくれませんでした。

パワハラ防止研修で学ぶこと

これらの事例を踏まえ、パワハラ防止研修で学ぶ内容とは何でしょうか。4つのポイントに分けて解説します。

①パワハラが起きる要因やメカニズム

パワハラが起きるメカニズムの理解のため、考えられる原因の一部を紹介します。

  • 長時間労働の常態化(職場要因)
  • 厳しすぎる教育や上下関係(職場要因)
  • 適切に意思疎通ができない環境(職場要因)
  • パワハラに関する知識不足(個人要因)

これらが発端となり、正確な状況の把握や、組織の体制や風土変革の努力が行われない職場では、パワハラが起こりやすくなると考えられます。

②パワハラを防止する組織作り

このメカニズムを踏まえ、研修ではパワハラをなくすための組織作りを学びます。

とくに重要なのは社員への教育・指導です。何がパワハラにあたるのか、対面やオンラインの研修で正しい知識を身に付けます

職場への相談窓口設置も有効です。早めに第三者に相談できる仕組みを構築し、パワハラの早期把握を目指します。その際は顧問弁護士など社外の専門家へ協力を依頼しましょう。第三者であればパワハラ申告した被害者本人の人事評価に悪影響が及ぶ心配がなく、公正公平な判断を仰ぐことができます。

③部下や後輩との適切なコミュニケーション方法

コミュニケーション不足を起因とする、一方的な精神論の押し付けや誤った指導方法がパワハラとなることもあります。

たとえば「残業は当たり前」という発言や、多数の前で特定の部下を叱責することは、一昔前は許容されていました。しかし現在ではパワハラに該当します。これらのケースであれば、業務割り振りの見直しや機器導入による業務効率化、1on1面談の実施などが適切な対処法といえるでしょう。

管理職や上司が先陣を切って正しいコミュニケーションを学ぶことが重要です。

④事例を用いたグループワークやロールプレイング

パワハラ研修は座学に加え、実践特化のカリキュラムを取り入れるのもおすすめです。

ロールプレイングでは、一例として、役職者役、加害者役、被害者役のいずれかの役割を疑似体験します。暴力や身体的パワハラなど具体的事案を想定し、役職者役の受講者は当事者たちへヒアリングして、事態の概要を把握する手法を学びます。

グループワークでは、相談窓口の活用など被害者が取るべき行動、加害者の処遇など事後の対処法を議論します。

このような実践型研修で解決までの一連の流れを学ぶことで、実際の職場においても社員の認識改善や組織単位でのルール構築につなげます。

そもそもパワーハラスメントとは

ここで今一度、パワハラの概要を確認しましょう。本章ではパワハラの定義、法令で義務付けられた企業の責務、国が定めるパワハラの種類について解説します。

パワーハラスメントの定義

2019年「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」成立を背景に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」が改正されました。これがいわゆる「パワハラ防止法」です。2020年6月に施行され、職場内パワハラとは以下の3要素を充足するもの、と定義しています(※1)。

  • 優越的な関係が背景にある
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
  • 労働者の就業環境が害される

※1 参照:厚生労働省 「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

パワハラ防止法で企業が求められている義務

パワハラ防止法では、職場でのパワハラ防止対策を行うことが「事業主の義務」と明記されています。

同法に違反した場合に罰則などはありませんが、パワハラ事案の程度によっては行政より助言・指導・勧告を受ける場合があります。それに反した場合は企業名が公表されるため、企業イメージの低下とつながる可能性もあります。

厚生労働省によるパワハラの6類型

パワハラは行為の種類によって以下の6類型に分かれます。しかしこれはあくまで型であり、パワハラは状況や要因によって判断されます。

  1. 身体的な攻撃…従業員のネクタイを引っ張るなど、身体に直接危害を加える
  2. 精神的な攻撃…クビをちらつかせたり、人前で罵倒したりするなど、脅迫や名誉棄損で精神的ダメージを与える
  3. 人間関係からの切り離し…会議に参加させないなど、特定の従業員に対して人間関係から切り離す
  4. 過大な要求…膨大な業務量に対して短期間でのノルマを課すなど、遂行不可能な内容を強制する
  5. 過小な要求…事務職なのに雑務のみをさせるなど、能力とかけ離れた業務を命ずる
  6. 個の侵害…個人情報を勝手に暴露する、許可を得ずに写真を撮るなど

パワハラ防止研修の期間と実施形態

それでは、パワハラ防止研修ではどのくらいの期間が必要で、どのような実施方法があるのでしょうか。以下で解説します。

パワハラ防止研修の実施期間

一般的に実施時期は10~12月人権週間(12月4日~12月10日)の前後が多くなる傾向があります。頻度は年に1回、実施期間は2〜3時間もしくは1日程度で、じっくりと知識に向き合える時間を費やすことを目安にすると良いでしょう。

パワハラ対策の重要性は企業の置かれた状況によって変わります。働く現場の課題や解決の優先度を明らかにしたうえで実施するようにしましょう。

主な研修スタイル

パワハラ防止研修の開催方法は、以下の4つに大別できます。それぞれのポイントについても紹介しましょう。

  1. 外部講師を自社に派遣
    専門的知識や実践的スキルが習得できる点が魅力。
  2. 社外での集合研修
    分かりやすく知識習得できる反面、内容が限定的で自社の目的に沿わない可能性がある。
  3. オンライン(eラーニングやZoom)
    コストが抑えられる一方で、講師や他の受講者とはコミュニケーション不足になりやすい。
  4. 社内リソースと外部コンテンツの組み合わせ
    社内講師+外部教材、社外での集合研修+eラーニングなど、組み合わせることでより実効性のある研修となる。

パワハラ防止研修の効果をしっかり定着させるポイント

パワハラ研修の定着力を高めるポイントを解説します。

全階層を対象に、アップデートしながら繰り返し実施する

パワハラ研修は、新入社員から経営陣まで、もれなく全階層が受講すると全社的に効果を高めることができます。「新人・若手」「リーダー・管理職」、「経営陣」のように、階層別に実施すると成果につながりやすいでしょう

また、現在は不快感に過剰反応しハラスメントを訴える「ハラスメント・ハラスメント」が問題視されるなど、パワハラをめぐる状況も日々変化しています。研修内容は常にアップデートしましょう。

1回きりで終わらず継続的に受講することで、定着効果が持続します。

アンケートで実態を把握する

研修効果の定着のため、定期的にアンケートを実施しましょう。社としてパワハラ断固反対の姿勢を示すためにも重要です。

設問項目は、厚生労働省実施の調査内容が良い見本です(※2)。パワハラ被害の経験や見聞きした事案、その他自由に回答できる項目を入れましょう。

現在のパワハラ対策の改善点や、社員満足度など、職場環境の改善のためのアンケート調査は継続的に実施してください。パワハラ防止へ高い意識を持つ組織をつくることにつながるでしょう。

※2 参照:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査について」令和2年度調査 報告書

経営トップからのメッセージを伝える

パワハラ防止へ高い意識を持つ企業となるには、経営トップ自らが「パワハラは許されない、根絶する」というメッセージを現場へ伝えることが必要です。

トップによる明確な意思表示により、互いの人格を尊重しながら働くムードが高まります。仮にパワハラの疑いがある事例があっても同僚・上司へ相談もしやすくなります。従業員同士でパワハラについての会話が増えるなどの効果も期待できるでしょう。

SBのパワハラ防止研修おすすめプラン

パワハラ研修は「こんなこともパワハラにあたるのか」とこれまでにない気付きを得られ、多くの企業が働きやすい職場づくりを目指せる研修です。

弊社では経営者・幹部向けパワハラ対策研修、労働組合役員向け講演プランなどを用意し、多彩な講師を紹介しています。ぜひ以下の講演紹介ページをご覧ください。

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