渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く

渋澤 健 しぶさわけん

コモンズ投信株式会社 会長
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役

提供する価値・伝えたい事

「銀行は大きな河のようなものだ。銀行に集まってこない金は、溝に溜まっている水やポタポタ垂れている滴と変わりない。<中略> 折角人を利し国を富ませる能力があっても、その効果はあらわれない。」
日本の近代化の夜明けであった明治六年に、実業家の渋沢栄一が日本初の銀行である第一国立銀行を設立した際、株主募集布告で示した言葉である。
滴のような小資本が寄り集まって、大河のような大資本となる「合本主義」が、我が国における資本主義の発端であった。つまり、同じ目線を共有して集まった「共感資本」によって原動力が増し、その後、日本は経済的発展を成し遂げることになる。
また、渋沢栄一が説いていた「論語と算盤(そろばん)」とは、現代的にいうと「持続可能性」と解釈できる。算盤の計算が長けていれば、自分の懐は一時的に暖まるかもしれないが、それだけに頼ってしまうと、自身の幸福が継続されないかもしれない。一方、自分は論語読みであると鼻を高くしても、実は何事も始まらない。道徳(論語)と経済(道徳)が車の両輪になることによって、持続性が可能になるのだ。
「正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。」渋沢栄一の想いは、いまでも充分に通用する。現状を維持することに捕らわれている現在の日本に、渋沢栄一の思想を研究することは、決して過去の功績を尊ぶものではなく、これからの豊かな日本のために、私たちの現在の行いの指針になる。

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